ニュルブルクリンク24時間レースとは
世界一過酷なコースで開催される24時間耐久レース
ドイツ西部の山奥、深い森の中にニュルブルクリンクは存在する。
世界の自動車産業が創生期にあった1927年、自動車産業の発展と、山がちなこの地の振興を目的として建設され、今なお自動車メーカーによる車両開発の舞台としての歴史が続いている。しかし、ここで車両開発が続けられている理由はそれだけではない。建設当時の土木技術水準では地形に合わせて造らざるを得ず、人海戦術でできたコースは、170以上のコーナーをはじめ、高低差300mと起伏が激しく、路面もうねりを伴い、サーキットというよりは、峠を走る一般道と形容したほうが近い。このような過酷な道が20.8kmも続く、世界でも唯一のコースだからこそ、「車両開発の聖地」と呼ばれ、自動車メーカーがクルマを鍛えるために集まり続けているのである。
この場所で開催される24時間レースは、レーシングカーであるGT3車両から、最低限の改造を行っただけのハッチバック車両、市販前の開発車両まで、参戦車両の幅が広く、200台近くのクルマが、峠道のようなコースで200kmオーバーのバトルを24時間に渡って繰り広げられる。しかし過酷なコースである故に、クラッシュや車両トラブルも多く、24時間を完走すること自体が難しいことが他のレースにはない最大の特徴である。
トヨタが「ニュルブルクリンク24時間レース」に挑む理由
レースを通じて「人とクルマを鍛える」。これが2007年から参戦を行っているTOYOTA GAZOO Racingのニュルブルクリンクの挑戦の原点である
車両開発に携わる社員がレースメカニックやドライバーを担当することも、レースの“勝ち負け”ではなく、「いいクルマづくり」のための人材を育成することが目的であるためである。
路面がフラットなサーキットをレーシングカーで走るレースとは異なり、一般道に近い過酷なコースが特徴であるニュルブルクリンクを、市販車ベースのクルマで24時間を戦うために、速く、安全に走るためにはどのようなクルマづくりを行わなければならないかを、レースという限られた時間の中で考え、手を動かし、体で覚えることにより、人材を育成することができ、クルマも鍛えられるのである。