“生きた道”でライバルと“戦う”というリアルワールドでクルマを鍛えることで、ここで生まれた不満や問題点を量産車開発へとフィードバックさせる。ニュル24時間のゴールは、「いいクルマ作り」のスタートなのだ。ここで培った経験やノウハウは、LFAを筆頭に、GRMN/G'sなどのスポーツコンバージョンモデル、そして量産モデルへもフィードバックされている。
新車開発は極秘だが、LFAは正式発表前にニュル24時間に参戦。話題作りではなく純粋な開発テストのためだった。ニュルを安心して速く走るためには“基本性能”が重要と、ニュル24時間の経験は量産モデルにフィードバックされた。また、クルマだけでなくエンジニアの意識改革も大きく役に立った。
2014年にクラス優勝した86のレーシングカーは「走る/曲がる/止まる」のバランスが非常に高かった。ニュルを24時間速く走れるクルマは「運転が楽」で「快適」。86 GRMNはこのレーシングカーのロードバージョンとして開発が進められた。量産の域を超えた“理想の86”と言うわけだ。
C-HRに採用されるTNGAは今後のトヨタを支える技術の一つ、このクルマのニュル24時間への参戦で、トヨタの“いいクルマ作り”はより広がるのは間違いない。海外メーカーはスポーツ系ではない普通のモデルもニュルで鍛えているが、トヨタはC-HRでそこに足を踏み入れた…と言うわけだ。