- Round5
- ラリーチャレンジ 2017年 第5戦 陸別
レポート
北海道特有の締まった硬質グラベル(未舗装)コースを
砂埃を上げながら果敢に攻める
6月18日、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ 第5戦となる陸別ラウンドが開催された。昨年に引き続き北海道十勝地方の陸別町を舞台として行われた本戦はJAF北海道ラリー選手権およびJMRC北海道ラリーシリーズの中で開催。ラリーチャレンジクラスには昨年の参加台数の2倍以上となる25台がエントリー。先述のJAFおよびJMRCの地区戦に参加する22台と合わせて47台が出走する賑やかなラリーイベントとなり、日本全国から北海道でのラリーを体感しようと多くのラリーストが訪れた。
冬場はマイナス20℃を下回り日本一寒い町として有名な陸別町らしく、当日朝の気温は6℃と肌寒い中でのスタートとなったが、晴天の日差しとともに気温はぐんぐん上昇。ピーク時には25℃近くまで達し、参加者は強い日差しに苦戦しながらも、北海道ならではの攻めがいのある難しいコースを楽しんでいた。
3本のコースを使用し、計6本のSS(スペシャルステージ・タイムアタック区間)が設定された陸別ラウンドは、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両方を走行するミックスラリーとなる。前半はターマックのGinga SSを2本とグラベルのKunnebetsu SSを1本。後半はKunnebetsu SSを2本とコース途中からグラベルになるUenbetsu Plus SSを1本のグラベル主体のコースとなる。
6台の86によって争われたE-2クラス(Expert/TOYOTA 86)は、伊豆野 康平/東山 徹大組がGinga SS1から好タイムを記録。他車に20秒近く差をつけてのアタックとなり勝負は決まったかと思われたが、続くSS2では地元の高桑 昌基/前鼻 一洋組が伊豆野/東山組に対して3秒以上上回る走りを見せる。しかし、対する伊豆野/東山組はグラベル、ターマックどちらでもスピードを見せ、SSごとに差を広げ、最終的には1分以上の差をつけての優勝となった。
C-3クラス(Challenge/TOYOTA 86)は3台の争いとなったが、SS1においてE-2クラスが記録したベストタイムを中野 勝文/鍋嶋 一憲組が更に更新する。続くKunnebetsu SS2では熊谷 俊則/前田 翔平組が中野/鍋嶋組を7.5秒上回る走りを見せる。ターマックが得意な中野/鍋嶋組とグラベルが得意な熊谷/前田組の間で激しいデッドヒートが展開したが、午後はグラベルがメインとなるため熊谷/前田組がリードを広げ、14.5秒差で勝利した。
トヨタ車限定(1501cc以上)のE-4クラスは3台がエントリー。注目は、先の恐竜 勝山ラウンドにおいて86で好走を見せたAki HATANO/渡辺 千尋組。グラベルで速さを見せ、Kunnebetsu SS2において全体ベストタイムを記録。その後も安定した速さで、E-2クラス伊豆野/東山組に約15秒差に迫るタイムでクラス優勝を果たした。コ・ドライバーの渡辺 千尋選手も習熟を深め、今後さらに上位争いに絡むことが予想される。
トヨタ車限定(1500cc以下)のE-3クラスは、全て初代ヴィッツの3台がエントリー。常勝の細谷 裕一選手は、コ・ドライバー初経験となる藤田 勝正選手とタッグを組んでのエントリーとなる。上り基調でパワーのないヴィッツには厳しいGinga SSにおいても細谷/藤田組は無駄のない力強い走りを見せ、上位86勢に割って入る全体4位のタイムでクラス優勝となった。
毎戦激しいバトルが展開する注目のC-2クラス(Challenge/ヴィッツ1500cc)には4台がエントリー。厚地 保幸/髙橋 由貴組が5秒近いリードのまま迎えた後半で、今年からラリーを始めたという森岡 史雄/田所 英一郎組が逆転。最終SSで厚地/髙橋組が好タイムを記録するも2.5秒及ばず、森岡/田所組が勝利を収めた。
5台がエントリーしたC-1クラス(AQUA)には、地元の高篠 孝介/廣嶋 真組がART・KojimaアクアYHで参戦。最近活躍が光る女性ドライバー勢を抑え、6つのSSのうち、5つのSSでクラストップタイムを刻み見事優勝を果たした。
晴天に恵まれた陸別ラウンドには地元のラリーファンも多く訪れた。かつてWRC(世界ラリー選手権)が開催され、ラリーには深い繋がりがある陸別町。町の住民の方々が路肩から手を振ってくれるなど、アットホームな雰囲気の中でラリーが進行した。 今回、Ginga SSに2箇所、Uenbetsu Plusに3箇所と、多くの観戦可能なエリアを設定。Uenbetsu Plusにおいては、以前あった樹木が大きく伐採され陸別町を見下ろせる観戦エリアが注目スポットとなった。まるで空に向かうように道を駆け上り、登りきると目前は崖という、選手にとっては非常にスリリングなスポットだが、選手達の迫力の走りに観客は大きな声援を送っていた。
PICK UP北海道の〝道〟の特性を知る地元選手。ラリーを楽しむ姿勢も
地元北海道から多くの選手が参戦した本戦。伊豆野/東山組の圧勝で終わったE-2クラスではあったが、地元参戦の高桑 昌基/前鼻 一洋組も好走を見せた。難しいグラベル(未舗装路面)のSS2で伊豆野/東山組を上回るタイムをマークするなど、光る走りを見せ、見事クラス2位となった。
昨年の新城戦にもドライバーとして参戦経験がある米屋 賢吾選手をようする、米屋 賢吾/中村 朝子組はお馴染みのZZT231セリカでE-4クラスにエントリー。「去年の新城を走ってみて、北海道との路面の違いにびっくりした。でも、その経験が確実に自分たちの走りにプラスになっていると感じます」と話してくれた米屋選手。タイヤがパンクするトラブルもあったが、コ・ドライバーの経験が浅い中村選手をうまくサポートし、見事クラス2位でラリーを終えた。
Entrant interviewサーキットでのレース歴30年のベテランドライバー。夫婦でラリーに挑戦!
チーム名:真狩モッコリステップVITZ
ドライバー:安藤 義明
コ・ドライバー:安藤 岐代
地元北海道から参戦した安藤 義明さん(53)、安藤岐代さん(53)はご夫婦のチーム。もともとサーキットでのレースに参戦していた義明さんが岐代さんを誘って、今年からラリー参戦を始めた。レースからラリーへの挑戦の理由とともに、ラリーの魅力を聞いた。
Q:モータースポーツ歴を教えてください。
A(義明さん):かれこれ30年近くレースをやってました。十勝スピードウェイができた頃にはレースしに行ってましたね。
A(岐代さん):主人(義明さん)の応援でサーキットに行くことはよくありましたが、自分で参加したことはありませんでした。本当に素人です。
Q:ラリーチャレンジに参戦するきっかけは?
A(義明さん):もともとラリー…というか、雪道で遊ぶのが好きだったんです。農家をやってるんですが、冬期間、雪に埋もれて使えない畑を仲間達と整地して走り回ってたりしました。レースに長年参戦してましたが、やはりラリーをやりたくなり、今年からJAFやJMRC地区戦ラリーに参戦しました。ラリーチャレンジは、Bライセンスがあれば誰でも参加OKや1day開催で参戦しやすそうなのと、同じヴィッツで凄腕と噂の細谷 裕一選手の走りを間近で見てみたいという気持ちがありました。
Q:参戦費用は?
A(義明さん):まだ参戦し初めたばかりなので、大きな費用はかかってないですね。持っていたレース車両をベースにラリー車用の必要部品を買った程度で、あとはエントリー代くらいです。
Q:ラリー参戦で大変だったことは?
A(岐代さん):私、本当は騙されたんです。「横に乗ってるだけでいいから」って(笑)。でも、参戦してみるとそうもいかない。今回、ラリー前日に開催された奴田原 文雄選手(全日本ラリー選手権ドライバー)のラリー講座を受講していろんな質問に丁寧に答えてもらったので、やっとペースノートの基本が分かってきました。とはいえ、まだまだ分からないことばかりですが。
Q:今後の目標は?
A(義明さん):本当は次戦のRd.6 弘前にも出たかったんですが、都合が合わず…今後は北海道や東北などの参戦しやすいラウンドがあれば是非参戦したいです。そしてこれはできれば…の話ですが、いつか全日本ラリー選手権に出て地元 真狩を走りたいです!
Q:ラリーチャレンジに参戦してみての感想
A(義明さん):ラリーチャレンジは華やかなのがいいですね。他の企業チームの応援団の方でも、スタートや観戦コースで手を振ってくれる。人がいると、やっぱりやる気がでますよ。
安藤組はコース中のタイヤバリアにマシンをヒットし足回りの部品を破損してしまうトラブルに見舞わられたのだが、インタビューにもあった同クラスの細谷 裕一選手からスペアの部品を借り、見事修復し完走を果たした。ライバルとはいえ助け合える雰囲気がラリーチャレンジの良い所とも語ってくれました。
クラス:E-3
車種:トヨタ ヴィッツ
型式:NCP13
Rally DataTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 陸別
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主催
ラリーチーム.カンサー(RTC)
〒080-0047 帯広市西17条北1丁目37-20 (株)クニイカーズ内 -
開催日
2017年6月18日(日)
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セレモニアルスタート会場
陸別町イベントセンター
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サービスパーク
陸別町イベントセンター
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ゴール会場
陸別町イベントセンター
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セクション数/SS本数
2/6本
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SSトータル距離/総走行距離
23km/73km
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参加台数
25台
C-1 5台/C-2 4台/C-3 3台
E-1 1台/E-2 6台/E-3 3台/E-4 3台/OPEN 0台 -
出走台数/完走台数
25台/22台
クラス別順位
E-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 伊豆野 康平/東山 徹大/トヨタ 86 |
2 | 高桑 昌基/前鼻 一洋/トヨタ 86 |
3 | 小倉 康宏/高田 高志/トヨタ 86 |
E-4
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | Aki HATANO/渡辺 千尋/トヨタ 86 |
2 | 米屋 賢吾/中村 朝子/トヨタ セリカ |
E-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 細谷 裕一/藤田 勝正/トヨタ ヴィッツ |
2 | 安藤 義明/安藤 岐代/トヨタ ヴィッツ |
3 | 小林 直広/小林 紀子/トヨタ ヴィッツ |
E-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 天野 浩明/羽琉/トヨタ ヴィッツ |
C-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 熊谷 俊則/前田 翔平/トヨタ 86 |
2 | 中野 勝文/鍋嶋 一憲/トヨタ 86 |
C-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 森岡 史雄/田所 英一郎/トヨタ ヴィッツ |
2 | 厚地 保幸/髙橋 由貴/トヨタ ヴィッツ |
3 | 西野 義人/吉野 学典/トヨタ ヴィッツ |
C-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 高篠 孝介/廣嶋 真/トヨタ アクア |
2 | 洪 銘蔚/古本 舞桜/トヨタ アクア |
3 | 勝間田 恋七/織田 千穂/トヨタ アクア |
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