Round6
ラリーチャレンジ 2017年 第6戦 弘前
レポート
C-2クラス優勝の森岡/田所組

大きな歓声に包まれた弘前
特性の異なる未舗装路を果敢にアタック!

 7月16日、第6戦 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジカップ in 弘前が開催された。青森県弘前市を舞台として行われる本戦は2017年JAF東日本ラリー選手権 第6戦および2017年 JMRC東北ラリーシリーズ第2戦と併催で行われ、ラリーチャレンジには34台がエントリー。総エントリー72台という大変な盛り上がりを見せるラリーとなった。
 天候は、前日まで晴天が続いた東北地方だったが当日は朝から土砂降りの雨。路面状況が心配される展開となった。
 4本のコースを使用し、計6本のSS(スペシャルステージ・タイムアタック区間)が設定された弘前は、一部舗装路はあるものの、ほとんどがグラベル(未舗装路)のラリーとなる。前半のセクション1は、フラットな地形ながら、細かく滑りやすい砂利質の百沢SSと、深めの砂利路面で走行を重ねる度に砂利が掘られ轍(わだち)が出来ていく大助SSを2本ずつ走行。午後のセクションは、アップダウンが激しく時折舗装路面となり路面変化に注意が必要な沢田SSと、大小の岩が散乱した路面で急な上りが続き、マシンコントロールが難しい湯口SSとなる。
 また、午前中に2本ある百沢SSには一般観戦可能なコーナーが用意され、雨で足元が悪い中、多くの観客が訪れ声援を送った。

E-4クラス優勝を果たしたものの、チームメイトの伊豆野/東山組(E-2クラス優勝)に2秒差で総合ランキングで敗れたことを悔しがった三枝/吉澤組。クラスを超えた戦いも熱くなる。
E-4クラス優勝を果たしたものの、チームメイトの伊豆野/東山組(E-2クラス優勝)に2秒差で総合ランキングで敗れたことを悔しがった三枝/吉澤組。クラスを超えた戦いも熱くなる。

 E-2クラス(Expert/TOYOTA 86)には5台がエントリー。前戦陸別ラウンドでダントツの速さを見せ、勢いに乗る伊豆野 康平/東山 徹夫組が本戦でもスタートダッシュを見せるが、SS2においてフロントガラスが曇り前が見えなくなるトラブルが発生。その処理で大きくタイムロスをしてしまう。しかし、その後気合を入れ直しアグレッシブな走りで総合トップタイムを連発。第5戦 陸別ラウンドに続き見事連勝を決めた。
 トヨタ車限定(1501cc以上)のE-4クラスは3台がエントリー。第5戦 陸別でクラス優勝を決めたAki HATANO/渡辺 千尋組と、第3戦 木曽ラウンドで好走を見せた三枝 光博/吉澤 慎司組の86同士のバトルとなる。SS1でAki HATANO/渡辺 千尋組が総合2位のタイムを記録し、三枝/吉澤組に対し4秒以上リードするが、SS2から三枝/吉澤組が猛追。SS4において7秒以上の差をつけ三枝/吉澤組が逆転、そのままリードを広げクラス優勝となった。

E-4クラス優勝を果たしたものの、チームメイトの伊豆野/東山組(E-2クラス優勝)に2秒差で総合ランキングで敗れたことを悔しがった三枝/吉澤組。クラスを超えた戦いも熱くなる。
E-4クラス優勝を果たしたものの、チームメイトの伊豆野/東山組(E-2クラス優勝)に2秒差で総合ランキングで敗れたことを悔しがった三枝/吉澤組。クラスを超えた戦いも熱くなる。
0.1秒差での劇的な逆転勝利となった熊谷/前田組。リザルトが出た瞬間、チームメイトから大きな歓声があがった。
0.1秒差での劇的な逆転勝利となった熊谷/前田組。リザルトが出た瞬間、チームメイトから大きな歓声があがった。

 トヨタ車限定(1500cc以下)のE-3クラスは、細谷 裕一/蔭山 恵組の1台がエントリー。第4戦 恐竜勝山、第5戦 陸別と優勝ポイントを獲得した流れを維持したい細谷/蔭山組だったが、SS1スタート直後に無念のコースオフを喫しリタイヤとなった。
 7台がエントリーしたC-3クラス(Challenge/TOYOTA 86)は、第5戦 陸別ラウンドでも優勝争いを演じた熊谷 俊則/前田 翔平組と中野 勝文/逸見 茉央組の直接対決となる。序盤SS3まで中野/逸見組が毎SSで1〜2秒のリードを築いていくが、SS4で熊谷/前田組が好走を見せ4秒近く差を詰める。逃げる中野/逸見組のリードのまま迎えた午後。最終SSにおいて熊谷/前田組が2秒差でフェニッシュ。なんと、0.1秒差で熊谷/前田組が逆転優勝を飾った。

0.1秒差での劇的な逆転勝利となった熊谷/前田組。リザルトが出た瞬間、チームメイトから大きな歓声があがった。
0.1秒差での劇的な逆転勝利となった熊谷/前田組。リザルトが出た瞬間、チームメイトから大きな歓声があがった。

 毎戦混戦が続くC-2クラス(Challenge/ヴィッツ1500cc)は10台の戦い。本戦においても森岡 史雄/田所 英一郎組と厚地 保幸/鍵野 大輔組のハイレベルな攻防が展開される。SS1でクラスベストタイムを記録した森岡/田所組だったが、そのアタックで足回りにダメージを負ってしまう。車両を労りながらの走行となり厚地/鍵野組にリードを許すが、観戦している多くの子供達にラリーの魅力を伝えたいという熱い走行により、最終SSで見事逆転。森岡/田所組が1.3秒差で優勝を決めた。

  • ヴィッツで上位クラスに割って入る活躍を見せるC-2クラス勢は、参加台数も多く今年のラリーチャレンジで要注目クラス。
    ヴィッツで上位クラスに割って入る活躍を見せるC-2クラス勢は、参加台数も多く今年のラリーチャレンジで要注目クラス。
  • 第5戦 陸別から弘前を想定したマシンセッティングを施してテストしていたという天野/羽琉組。シリーズを見渡した上での作戦が見事にハマった。
    第5戦 陸別から弘前を想定したマシンセッティングを施してテストしていたという天野/羽琉組。シリーズを見渡した上での作戦が見事にハマった。
百沢スキー場駐車場ではTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。ラリーを観戦できるコーナーも設置され、雨にも関わらず多くの観客が訪れた。
百沢スキー場駐車場ではTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。ラリーを観戦できるコーナーをはじめ、ラリー車輌の展示や各種コンテンツで、雨にも関わらず多くの観客が訪れた。

 C-1クラス(AQUA)は3台がエントリー。全日本ラリー選手権にも参戦する高篠 孝介/廣嶋 真組が全SSでクラストップタイムを記録。上位クラスの86、ヴィッツ勢に割って入る見事な走りでクラス優勝を飾った。
 5台がエントリーしたE-1クラス(Expert/ヴィッツ1500cc)は、国分 虎郎/多比羅 二三男組や赤木 攻/赤木 弥生組といったベテラン勢に若手の天野 浩明/羽琉組が挑む展開。前戦陸別ラウンドへの参戦時から弘前のコースをイメージした車両セッティングをテストしていたと語る天野/羽琉組が序盤から引き離す。午後のSS5で国分/多比羅組が一矢報いるが、終わってみれば天野/羽琉組が20秒以上リードしての見事な勝利となった。

百沢スキー場駐車場ではTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。ラリーを観戦できるコーナーも設置され、雨にも関わらず多くの観客が訪れた。
百沢スキー場駐車場ではTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。ラリーを観戦できるコーナーをはじめ、ラリー車輌の展示や各種コンテンツで、雨にも関わらず多くの観客が訪れた。

PICK UPラリーが地元に定着している弘前

前日のウェルカムパーティは会場が満員となる大盛り上がり。地区戦の関係者の方々とともに、ラリーの話題で楽しい時間が過ぎていった。
前日のウェルカムパーティは会場が満員となる大盛り上がり。地区戦の関係者の方々とともに、ラリーの話題で楽しい時間が過ぎていった。

 地元出身の羽賀 俊亮/齊藤 省吾組は激戦のC-2クラスにエントリー。「激しい雨ですが、こうなるのは想定していました。地区戦のハイパワー4WD勢もいるので走行を重ねるほどに路面が更に荒れてくると思いますが、グラベルは好きなので荒れた方がワクワクしますね。」と笑顔で語り、クラス5位の好走を見せた。
 地元に定着している弘前のラリー。前日の夜には地元のラリーを応援する会による恒例のウェルカムパーティが開催された。これを目当てに弘前ラウンドにエントリーするという選手がいるほど人気のパーティは、会場が満席となる大盛況。採れたてのホタテや上質な焼肉。りんごジュースなどの名産品の他、食事とドリンクが参加者に振る舞われ、地区戦の選手も交え、エントラント同士、交流を深めた。また、百沢SSの舞台となった岩木山百沢スキー場の駐車場では、参加型イベントTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。大雨の中の開催にも関わらず、朝から大勢のクルマファンや家族連れが訪れた。

前日のウェルカムパーティは会場が満員となる大盛り上がり。地区戦の関係者の方々とともに、ラリーの話題で楽しい時間が過ぎていった。
前日のウェルカムパーティは会場が満員となる大盛り上がり。地区戦の関係者の方々とともに、ラリーの話題で楽しい時間が過ぎていった。

Entrant interview「大好きな弘前の道をこれからも走りたい!」
チームとともにラリーを楽しむ

チーム名:FORUM-1・T・86
ドライバー:鈴木 満也
コ・ドライバー:安田 弘美

 鈴木 満也(47)さんと、地元のベテラン安田 弘美(59)さんのチーム。全日本ラリー選手権で大活躍した地元弘前のラリードライバー・大西 康弘さんのチームからC-3クラスに参戦した。笑い声が絶えないチームテントにてお二人に話を伺った。

「せっかく86が出来たので、マシンを仕上げてこれからも参戦していきたいですね。」と語る鈴木さん(右)。
「せっかく86が出来たので、マシンを仕上げてこれからも参戦していきたいですね。」と語る鈴木さん(右)。
出走順の後ろが上位マシンのE-4クラスだったため、終始後ろを気にしながらの走行になってしまったと苦笑いで答えた鈴木さん。滑りやすい路面で懸命にマシンをコントロールしていた。
出走順の後ろが上位マシンのE-4クラスだったため、終始後ろを気にしながらの走行になってしまったと苦笑いで答えた鈴木さん。滑りやすい路面で懸命にマシンをコントロールしていた。

Q:モータースポーツ歴を教えてください。
A(鈴木さん):以前からラリーは好きで観戦に行ったりしてたんですが、スピードを競うラリーに参戦するのはこれが3戦目です。
A(安田さん):20歳くらいから始めて、(今回もサービスで参加された)葛西 一省さんとともに全日本ラリー選手権に参戦してました。途中ラリーは辞めてたんですが、大西さんが2010年に17年ぶりに復活したのを見て触発され、またラリーをやってます。
Q:ラリーチャレンジに参戦するきっかけは?
A(鈴木さん):大西さんやチームの方とお知り合いになって、チームからお誘いを頂きました。一昨年、初めてラリチャレに出た時は全日本ラリー選手権クラスのランサーエボリューションXをお借りした上に、コ・ドライバーが全日本で活躍されてる市野 諮さんだったので…大変緊張しました(笑)。
Q:お二人で組むことになったきっかけは?
A(安田さん):チームで各地のラリーに行くと、いつも鈴木さんがいたんです。それで、一緒に走っちゃえば?と。自然にチーム内で出来上がった感じですね。
Q:86でのラリーはどうでしたか?
A(鈴木さん):仲間が86の競技車の中古車を見つけてきてくれたんですが、参戦する最低限の装備のマシンが出来たのが今週の金曜日。グラベルも未走行のぶっつけ本番です。大好きな弘前のグラベルを走りたい!という気持ちが強かったので、なんとか間に合わせました。毎年同じ道を走って、段々走れるようになっていく。また来年はうまく走れる気がする…と感じています。
A(安田さん):横で乗ってて、「あ、踏めるのにアクセル緩めたな」とか分かるんです(笑)。でも、慣れないFRで滑りやすい路面の中、よくコントロールできていたと思います。
Q:ラリーチャレンジの魅力は?
A(鈴木さん):僕は神奈川からの参戦なのでここまでの移動は大変なんですが、弘前の美味しいものであったり景色であったり…その経験は大変貴重なものですです。そういった意味でも、参戦費用が安いのは大変助かりますね。あと、会社員なので1DAYじゃないと参戦は厳しいというのもありますしね。

全員でラリーを楽しんでいる様子が印象的だった鈴木/安田組のサービステント。マシンの調達や参戦コンビの調整など、自分に合ったチームに出会うのもラリー参戦の近道なのかもしれない。

クラス:C-3
車種:トヨタ86
型式:ZN6

「せっかく86が出来たので、マシンを仕上げてこれからも参戦していきたいですね。」と語る鈴木さん(右)。
「せっかく86が出来たので、マシンを仕上げてこれからも参戦していきたいですね。」と語る鈴木さん(右)。
出走順の後ろが上位マシンのE-4クラスだったため、終始後ろを気にしながらの走行になってしまったと苦笑いで答えた鈴木さん。滑りやすい路面で懸命にマシンをコントロールしていた。
出走順の後ろが上位マシンのE-4クラスだったため、終始後ろを気にしながらの走行になってしまったと苦笑いで答えた鈴木さん。滑りやすい路面で懸命にマシンをコントロールしていた。

次戦、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ in 渋川
8月6日(日)群馬県渋川市にて開催!!

メイン会場の渋川市総合公園では各種企業や地元飲食店のブース出展、Yaris WRCレプリカをはじめとする展示車両が予定されています。
また、ラリーチャレンジに参戦したいと考えている方向けのツアーも開催。

※ツアー参加のお申込み(有料)は7/31(月)に終了いたしました。

皆様のご来場をお待ちしております。

※地元支援委員会制作

Rally DataTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 弘前

  • 主催

    コルトモータースポーツクラブ青森(CMSC 青森)
    〒036-1313 青森県弘前市大字賀田1丁目 15-2

  • 開催日

    2017年7月16日(日)

  • セレモニアルスタート会場

    青森県弘前市大字五所字野沢 44-3 長慶閣駐車場

  • サービスパーク

    青森県弘前市大字五所字野沢 44-3 長慶閣駐車場

  • ゴール会場

    青森県弘前市大字五所字野沢 44-3 長慶閣駐車場

  • セクション数/SS本数

    2/6本

  • SSトータル距離/総走行距離

    18km/120km

  • 参加台数

    34台
    C-1 3台/C-2 10台/C-3 7台
    E-1 5台/E-2 5台/E-3 1台/E-4 3台/OPEN 0台

  • 出走台数/完走台数

    34台/31台

クラス別順位

E-2

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 伊豆野 康平/東山 徹夫/トヨタ 86
2 小倉 康宏/高田 高志/トヨタ 86
3 佐々木 康行/深沢 一泰/トヨタ 86

E-4

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 三枝 光博/吉澤 慎司/トヨタ 86
2 Aki HATANO/渡辺 千尋/トヨタ 86
3 丸山 美知可/JACKY FUJIKAMI/トヨタ スターレット

E-1

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 天野 浩明/羽琉/トヨタ ヴィッツ
2 国分 虎郎/多比羅 二三男/トヨタ ヴィッツ
3 赤木 攻/赤木 弥生/トヨタ ヴィッツ

C-3

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 熊谷 俊則/前田 翔平/トヨタ 86
2 中野 勝文/逸見 茉央/トヨタ 86
3 永井 秀治/伊藤 香織/トヨタ 86

C-2

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 森岡 史雄/田所 英一郎/トヨタ ヴィッツ
2 厚地 保幸/鍵野 大輔/トヨタ ヴィッツ
3 安江 宏和/伊藤 克己/トヨタ ヴィッツ

C-1

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 高篠 孝介/廣嶋 真/トヨタ アクア
2 稲垣 和也/兼原 洋治/トヨタ アクア
3 クロエリ/槻島 もも/トヨタ アクア