6月17日（土）と18日（日）の両日、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦が宮城県のスポーツランドSUGOで行われました。
　全7大会、9レースで競われている今季のスーパーフォーミュラは折り返しとなる第5戦を迎えました。ここまでの4戦、TOYOTA GAZOO Racing（TGR）勢は宮田が第3戦鈴鹿で初勝利、前戦オートポリスでも2位に入るなど4戦連続入賞でトップと4ポイント差のランキング2位。そして今季はまだ優勝こそないものの3戦連続表彰台と好調を続ける坪井 翔（P.MU/CERUMO・INGING）がランキング3位で続いています。僅か1週間前にル・マン24時間レースで死闘を繰り広げ2位表彰台を獲得した平川 亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）はランキング5位、山下 健太（KONDO RACING）がランキング6位で、後半戦へ向けて勢いに乗るためにも重要な今大会に臨みました。
　前日の16日（金）までは雨模様だったSUGOも、週末は好天に恵まれ、多くのモータースポーツファンの皆様が観戦に訪れました。イベント広場では、今回もメーカー・チームや協賛企業のブース展示、「キッザニア」等が実施され、盛り上がりを見せました。

予選

　17日（土）は朝から好天となり、気温も上昇。午後2時、気温29度、路面温度43度というコンディションの中、ノックアウト方式の予選が開始されました。
　Q1は2グループに分け、それぞれ10分間ずつ実施。A組では宮田、平川、そして平川と共にル・マンを戦い帰国したばかりの小林 可夢偉（Kids com Team KCMG）、小高 一斗（KONDO RACING）、阪口 晴南（P.MU/CERUMO・INGING）が出走。
　1周の距離が短いSUGOの予選はアタックのタイミングも重要となる中、各車がアタックに入ってまもなく、バックストレート入り口でクラッシュが発生。すぐ後ろを走行していた平川と宮田は間一髪このアクシデントの影響を受けずにアタックを終え、宮田が1分5秒926のトップタイムをマーク、平川が4番手でQ2に進出。一方、5番手タイムかと思われた小高は、アタック時にそのアクシデントによる黄旗区間を通過していたためタイム抹消となり、小林も同様にアタック時のタイムが抹消され、黄旗のためアタックできなかった阪口の3台が無念のQ1敗退となってしまいました。
　B組では坪井が他車とはややタイミングをずらしてアタックに入り、早々に1分5秒820を叩き出しトップに。大嶋が1分6秒223の好タイムで4番手。大嶋は今季初めてQ2進出を果たしました。最後にタイムをマークした国本 雄資（Kids com Team KCMG）は1分6秒592で6番手につけていた山下を0.003秒上回り、逆転でQ2進出。山下は1000分の3秒差で7番手となり、今季初めてQ2進出を逃すこととなりました。
　ジュリアーノ・アレジ（VANTELIN TEAM TOM’S）は9番手、関口 雄飛（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）は10番手でQ1敗退となりました。
　7分間で争われるQ2では、残り4分を切ったところで各車アタックに入りました。やや遅めのコースインながら坪井が1分5秒795，平川が1分5秒807と好タイムを刻むと、宮田が1分5秒499という素晴らしいタイムでトップに浮上。しかし、大湯都史樹（ホンダ）が宮田のタイムを僅か0.031秒上回り、宮田の初ポールはまたもお預けに。宮田は今季3度目の2番手グリッドとなりました。坪井は4番手、平川は今季最上位グリッドとなる5番手、大嶋が8番手、国本は11番手から決勝をスタートすることとなりました。

決勝

　18日（日）は、午前中は晴れて気温も上がったものの、午後に入ると雲がかかり風も強くなり、気温28度、路面温度36度の中、午後2時半より51周で争われる決勝レースのスタートが切られました。
　最前列2番手の宮田は好スタートを切りましたが、首位奪取には至らず。3番手グリッドの野尻智紀（ホンダ）と5番手グリッドの平川はスタートで出遅れ、4番手グリッドの坪井は野尻をかわす形で3位に浮上しましたが、平川は11位へと大きく順位を落としてしまいました。
　後方ではシケインで16番手、17番手スタートのアレジと関口が接触し、コースアウト。また、グリッド後方の1台がエンジンストールにより停まってしまったため、1周目からセーフティカーが導入されました。関口とアレジはこの接触が原因でレースを終えることとなりました。5周目、レースは再スタート。上位勢はそれぞれ1秒以内の僅差で連なったまま周回を重ね、義務づけられているタイヤ交換が可能となる10周を終えたところで、大嶋、国本、小高らがピットへと向かいました。
　2位を走る宮田は猛追を見せ、12周目の最終コーナーからストレートでオーバーテイクシステムを使い、一気に首位を奪取。続いて坪井も2位へと順位を上げました。
　首位に立った宮田は、17周目を終えたところでタイヤ交換のためにピットイン。既にピットを終えていたグループの先頭を走る野尻智紀（ホンダ）の前でコースに復帰することに成功しました。ピットアウト直後でタイヤが暖まっていない宮田に野尻が襲いかかりますが、宮田も懸命な走行でポジションを守り、タイヤが暖まると逆に野尻との差を広げて行く展開となりました。
　宮田のピットインで首位に立った坪井は、ピットを遅らせる作戦に出たため、ピットを終えた車両とのタイム差を見ながらの見えないバトルとなりました。
　ピットインしていない坪井らの前に周回遅れが現れ始めた一方で、宮田は前が大きく空いた状態でプッシュを続け、後続との差をどんどん広げていきました。
　レースは折り返しを過ぎ、27周目に小林、32周目に阪口、34周目に山下、そして35周目を終えたところで坪井がピットイン。しかし、坪井は8位でコースへ復帰した直後、国本に抜かれ9位となり、大きく順位を落とすこととなってしまいました。
　41周目に最後の車両がピットインし、宮田が首位へ復帰。この時点で宮田と2位以下との差は10秒以上に。大嶋が4位、小林が5位、国本が6位とそれぞれ大きく順位を上げました。
　表彰台を目指し追い上げる大嶋に、小林、そしてリアム・ローソン（ホンダ）が迫り、終盤は三つ巴の4位争いに。ファイナルラップ、小林は1コーナー進入で大嶋に仕掛けましたが行き場を失い、バランスを崩したところをローソンにつかれてポジションダウン。
　首位を行く宮田は、最終的に20秒以上の大差をつけて優勝。今季2勝目を挙げ、ドライバーズランキングでも首位に浮上しました。
　終盤激しいバトルを繰り広げた大嶋は逃げ切って4位。小林が8ポジションアップの6位。坪井が7位、山下も5ポジションアップの8位。国本が9位、最後尾スタートから見事な追い上げを見せた阪口が10位でフィニッシュし、ポイントを獲得しました。

VANTELIN TEAM TOM’S 37号車 ドライバー 宮田莉朋：

　ようやく2勝目を挙げることができて本当にホッとしています。今日のレースはやっと普通にスタートが切れて、初めて順位を落とさずに1コーナーを迎えられたので、その時点であとはチームが決めたプランを遂行すればいいかなという風に切り替えました。序盤にセーフティカーが入ったので、去年のようにセーフティカーで（ピット義務消化可能な）ミニマム周を越すことだけが不安だったんですが、そうはならず、あとは大湯選手をオーバーテイクできたことがターニングポイントかなと思っています。ピットに入るタイミングも良かったし、クルーもピット作業も速かったです。去年はここで悔しい思いをして終えたので、去年の雪辱を果たせたという意味でもいいレースができたかなと思います。チームの皆さんが素晴らしいクルマを用意してくれたおかげで、本当に感謝していますし、ずっと一緒に頑張ってきたことがようやく結果として出てきているので、このステップを歩み続けてベストを尽くして、これから先も頑張りたいと思います。