若手ドライバーの登竜門であるスーパーフォーミュラ・ライツが開幕し、オートポリスで第4,5,6戦が行われました。TGR-DC育成ドライバーの野中誠太(TOM'S)が第4戦と第6戦で優勝、第5戦も3位表彰台を獲得する速さを見せ、開幕の3戦を終えてランキング首位に立ちました。今季より同シリーズにステップアップしたTGR-DC育成ドライバーの小林利徠斗(TOM'S)はデビュー戦の第4戦でポールポジションを獲得し、第4戦2位、第6戦では3位と表彰台フィニッシュ。同じくTGR-DC育成ドライバーとして同シリーズにステップアップした中村仁(TOM'S)は3番手グリッドからスタートした第5戦で2位表彰台を獲得しました。
5月18日(土)と19日(日)の両日、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の第2大会(第4戦、第5戦、第6戦)が大分県のオートポリスで行われました。
スーパーフォーミュラ・ライツは、今季も全6大会、18戦で行われる予定ですが、4月末に予定されていた第1大会が車両に関する問題により開催延期となったため、第2大会の今大会が実質的な開幕戦となります(第1大会の代替日程は検討中)。
今季の同シリーズには、参戦4年目となる野中と、昨年のFIA-F4チャンピオンである小林、同ランキング2位の中村の3名がTGR-DC(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジ・プログラム)の育成ドライバーとしてフル参戦し、チャンピオンを目指します。
また、今季のスーパーフォーミュラ・ライツは、シャシーは昨年と変わらないものの、エンジンがTOM'S製のワンメイクへ、タイヤ供給メーカーがクムホタイヤへと変更されました。
予選
18日(土)午前11時5分より、気温25度、路面温度41度という暑さとなる中で、第4戦と第5戦の予選が10分間ずつで行われました。第6戦のスターティンググリッドは第4戦の決勝結果により決定されます。
第4戦の予選では、野中が1分37秒383でトップに立つも、セクター3で速さを見せた小林がこのタイムを更新する1分37秒276をマーク。小林はスーパーフォーミュラ・ライツのデビュー戦でポールポジションを獲得しました。このクラスのデビュー戦でトヨタの育成ドライバーがポールポジションを獲得するのは、2004年の中嶋一貴、2006年の大嶋和也、2008年の井口卓人以来となります。
野中が2番手となり、TGR-DC育成ドライバーが最前列を占めることとなりました。
中村も好タイムを出したものの、ポールから上位7台が0.3秒内に入るという極接近戦で7番手に終わりました。
10分間のインターバルを経て行われた第5戦の予選では、タイムを伸ばした小林が僅差でポールは逃したものの2番手で2戦連続の最前列グリッドを獲得。中村が3番手と好位置につけました。一方、第4戦でのポールシッターである野中は、アタック中にシフトの不調があり第4戦の予選よりもタイムが伸びず、6番手グリッドとなりました。
第4戦決勝
予選の後、午後3時半より第4戦決勝が21周で行われました。
ポールポジションの小林はややスタートで遅れたかに見えましたが首位をキープ。2番手グリッドの野中が続きました。その後方では、3,4番手によるバトルのすぐ後にいた中村がコースオフし、バリアにクラッシュ。早くもセーフティカーが導入されることとなってしまいました。
3周目にレースが再開されると、2位につける野中が第2ヘアピンで小林をかわし、首位へと浮上。
首位に立った野中は、周回毎に2位以下との差を広げていきました。一方、2位の小林は後続から1秒ほどの差で追われるかたちとなりましたが、マージンはキープ。
最後まで安定したペースで走った野中は2位に7秒以上の差をつけ、トップチェッカー。今季の開幕戦を制しました。小林も2位を守ってフィニッシュし、デビュー戦で表彰台獲得を果たしました。
第5戦決勝
19日(日)午前9時より14周で争われる第5戦の決勝が行われました。空は薄曇りで気温や路面温度もそれほど上がらず、涼しい気候でのレースとなりました。
スーパーフォーミュラ・ライツはレースウィーク中3セットのタイヤが使用できます。予選で2セットの新品タイヤを使いますが、残り1セットの新品タイヤをどの決勝レースに投入するかも戦略に影響します。第4戦で1周目リタイアを喫した中村は、このレース3番手グリッドと言うこともあり新品を投入し臨みました。
スタートでは、最前列2番手の小林がまさかのエンジンストール。再始動には成功しましたが、最後尾へと順位を落とすこととなりました。
小林の2台後方から素晴らしいスタートダッシュを決めた野中が一気に2位へとジャンプアップ。中村が3位で続く形となりました。
ポールポジションから首位を守る小出峻(B-MAX RACING TEAM)も新品タイヤを装着していたこともあり、第4戦で使用したタイヤの野中は小出には着いていけず、徐々にその差を広げられることとなりました。また、タイヤで有利な中村も野中を猛烈に攻め、7周目の1コーナーでパス。中村が2位、野中が3位となりました。
9周目、コースオフ車両がグラベル上に停まったため、セーフティカーが導入。これで各車のマージンは帳消しとなり、残り3周でのスプリント勝負となりました。
12周目に再スタートが切られましたが、上位勢の順位変動はなく、中村が2位、野中が3位をキープ。その後方で、小林は1コーナー進入で1台パスし8位へと順位を上げました。
結局、そのままの順位でチェッカーを受け、中村は2位で、スーパーフォーミュラ・ライツにデビューして2戦目で初の表彰台を獲得。野中は3位で2戦連続の表彰台となりました。
第6戦決勝
第5戦決勝の後、気温は23度、路面温度35度まで上昇する中で、午後12時35分より第6戦の決勝が14周で行われました。第6戦のスターティンググリッドは第4戦の決勝結果によって決められ、野中がポールポジション。小林が2番手で最前列に並ぶ一方、中村は11番手と最後尾からのスタートとなりました。
ポールポジションの野中が好スタートを決めた一方で、2番手グリッドの小林はやや出遅れ、ケイレン・フレデリック(B-MAX RACING TEAM)の先行を許し3位へ後退。最後尾11番手スタートの中村は7位へと一気にジャンプアップを果たしました。
首位を行く野中が周回毎に後続との差を広げていく一方で、中盤ペースの落ちたフレデリックに小林はテール・トゥ・ノーズで追撃。激しい2位争いを展開しました。
7位に上がった中村は、6位以上で得られるポイントをかけたバトルを展開。11周目の1コーナーで前を行く小出をパスし6位へとポジションを上げました。
首位を行く野中は最終的に2位に10秒もの大差をつけて独走優勝。今季2勝目を挙げると共に、今大会3レースで表彰台の活躍を見せ、ポイントランキングで首位に立ちました。
小林は最後まで追撃を続けましたが逆転には至らず3位。それでもデビュー戦で2度目の表彰台を獲得しました。中村は前を行く車両に0.5秒差まで迫りましたが6位でフィニッシュし、2戦連続でのポイント獲得を果たしました。
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第4戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | 野中 誠太 | TOM'S | 21 | 36'46.685 | 2 | 1'37.383 |
2 | 38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 21 | 7.272 | 1 | 1'37.276 |
3 | 13 | 荒川 麟 | TEAM DRAGON | 21 | 9.653 | 3 | 1'37.396 |
4 | 1 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 21 | 20.09 | 8 | 1'37.962 |
5 | 50 | 小出 峻 | B-MAX RACING TEAM | 21 | 20.548 | 5 | 1'37.484 |
6 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 21 | 21.709 | 4 | 1'37.413 |
7 | 2 | 荒尾 創大 | TODA RACING | 21 | 22.791 | 6 | 1'37.557 |
8 | 4 | 今田信宏 | JMS RACING TEAM | 21 | 51.329 | 9 | 1'40.324 |
9 | 30 | DRAGON | TEAM DRAGON | 21 | 1'25.238 | 10 | 1'40.885 |
10 | 8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 21 | 1'34.516 | 11 | 1'41.869 |
35 | 中村 仁 | TOM'S | 7 | 1'37.580 |
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第5戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 50 | 小出 峻 | B-MAX RACING TEAM | 14 | 25'43.349 | 1 | 1'37.060 |
2 | 35 | 中村 仁 | TOM'S | 14 | 0.551 | 3 | 1'37.425 |
3 | 36 | 野中 誠太 | TOM'S | 14 | 2.876 | 6 | 1'37.630 |
4 | 1 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 14 | 4.695 | 8 | 1'37.887 |
5 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 14 | 5.263 | 4 | 1'37.502 |
6 | 13 | 荒川 麟 | TEAM DRAGON | 14 | 6.026 | 5 | 1'37.566 |
7 | 2 | 荒尾 創大 | TODA RACING | 14 | 7.343 | 7 | 1'37.868 |
8 | 38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 14 | 8.196 | 2 | 1'37.191 |
9 | 4 | 今田信宏 | JMS RACING TEAM | 14 | 10.94 | 9 | 1'40.557 |
10 | 30 | DRAGON | TEAM DRAGON | 14 | 11.836 | 10 | 1'40.792 |
8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 7 | 7Laps | 11 | 1'42.583 |
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第6戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | 野中 誠太 | TOM'S | 14 | 23'35.388 | 1 |
2 | 1 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 14 | 10.708 | 4 |
3 | 38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 14 | 11.244 | 2 |
4 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 14 | 12.813 | 6 |
5 | 13 | 荒川 麟 | TEAM DRAGON | 14 | 13.73 | 3 |
6 | 35 | 中村 仁 | TOM'S | 14 | 14.259 | 11 |
7 | 2 | 荒尾 創大 | TODA RACING | 14 | 18.996 | 7 |
8 | 50 | 小出 峻 | B-MAX RACING TEAM | 14 | 22.935 | 5 |
9 | 4 | 今田信宏 | JMS RACING TEAM | 14 | 33.211 | 8 |
10 | 30 | DRAGON | TEAM DRAGON | 14 | 34.709 | 9 |
11 | 8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 14 | 1'21.707 | 10 |
ドライバーズポイント
(第3戦終了時)
順位 | ドライバー名 | ポイント |
---|---|---|
1 | 野中 誠太 | 25 |
2 | 小出 峻 | 13 |
3 | 小林 利徠斗 | 13 |
4 | ケイレン・フレデリック | 13 |
5 | 中村 仁 | 8 |