ザンドフールト・サーキットはオランダ北部の北海沿岸に位置する全長4,259mのコースで、高低差や連続する中高速コーナー、特徴的なバンク角を持つコーナーもあり、テクニカルなコースレイアウトが特徴です。海沿い特有の変わりやすい天候もあり、クルマ、ドライバー、チームの総合力が試されるサーキットです。
　中村にとっては、5月に行われた前戦スパ・フランコルシャンに続き、今回も初走行。このザンドフールトも初走行となり、事前にチームのファクトリーでシミュレーターセションを行い現地入りしました。FRECA全体としても事前テストは行われず、6月5日（木）に2回のテスト走行が実施されました。中村は1回目のテストセションで9番手、続く2回目のセッションは横殴りの雨が降るなど荒れた天候のなか13番手で終えました。

　6月6日（金）からは通常のレーススケジュールとなり、フリー走行にあたるコレクティブテストが50分ずつ午前と午後に行われました。中村は両セッションでもニュータイヤを履いた予選シミュレーションを行い、いずれも4番手のタイムをマークし、初めてのコースに対しても素早く順応する力を見せました。

　6月7日(土)は午前に予選1回目、午後にレース1が行われました。FRECAの予選はドライバー選手権のランキング順に2グループに分かれて実施され、中村は予選グループＢに出走。赤旗中断が2度入る難しい展開の中、5番手タイムを記録し、レース1は9番グリッドからスタートすることになりました。

　午後5時54分にレース1が開始されましたが、スタートから30秒経たずしてセーフティカーが導入されました。5周目にレースが再開されるとスタートから9番手をキープしていた中村は、リスタート後の3コーナーの立ち上がりで前を行くクルマに近づき、その先のコーナーが連続する区間でかわして8番手に浮上しました。
　その後も順調に周回を重ねましたが、9周目にコース上にストップした車両を処理するために2度目のセーフティカーが入り、12周目の再スタート直後の1コーナーでの接触により16番手まで後退。それでも中村は最後まで諦めることなく攻め続け、残り5周で13位までポジションを挽回してレース1を終えました。

　6月8日（日）は朝から不規則に雨が降る不安定な空模様。午前9時からの予選2回目は、中村が走るグループBから開始され、ウェットタイヤでコースイン。ラップごとに路面コンディションが刻々と変わる難しい状況のなか中村はベストタイムを更新しながらアタックを続け、グループBの3番手となりました。グループAは序盤に強い雨に見舞われたため、グループBのタイムが上位となり、中村はレース2の5番グリッドを手に入れました。

　レース2は午後1時30分にフォーメーションラップが開始されましたが、グリッドに戻ってきた際にエンジンをストールしたクルマが出たため さらにもう1周フォーメーションラップをやり直してスタート。スタート直後、中村は1コーナーの立ち上がりで押し出されてしまい7番手までポジションを落としたものの、3周目にコース上にストップしたクルマを回収するためセーフティカーが入り、5周目にレースは再開。中村はここで抜群のリスタートを決めて1コーナーで6番手、さらにその先の4コーナーから7コーナーにかけてもう一台を抜き5位に復帰。6周目にはレース2でただひとり1分31秒台のラップを刻みファステストラップも獲得。その後は中村を含むトップ6台が後続を引き離していく展開のなか、中村は最後まで力強く走り続け、FRECAの自身最上位となる5位でチェッカーを受けました。
　次戦FRECA第4戦は7月4日（金）から6日（日）にかけて、ハンガリーのハンガロリンクで開催されます。

　「FRECA第3戦ザンドフールトは、初めてのサーキットでしたがコース内容も楽しみながらレースウィークを過ごすことができました。レース2では1周目に少しポジションを落としてしまいましたが、セーフティカー明けのリスタートをうまく決めることができて、5番手まで順位を戻すことができました。その後も前のクルマを抜こうとトライしたのですが、ダーティーエアの影響もあり、さらに順位を上げるのは難しかったです。それでも、自分がいるべき場所でレースができたという感触があり、週末を通して走りがまとまってきた手応えもありました。もっと上を目指していける自信につながるレースになったと思います。次戦のハンガリーに向けては、今週の反省も踏まえてチームとしっかり話し合いながらさらに成長した姿をお見せできるように準備していきます」