第5戦の舞台であるポールリカール・サーキットは、フランス南部の港町マルセイユ近郊に位置する全長5,842メートルのサーキットです。1970年の開業以来、幾度かの改修を行いながら、さまざまな国際レースが開催されています。シケインを挟んで全長1,800メートルにも及ぶミストラルストレートが最大の特徴で、コース全体に強い風が吹くことでも知られています。4月にこのサーキットでオフシーズンテストを実施しているため、今回のラウンドでは木曜日のテスト走行は行われず、金曜日に2回のコレクティブテストが実施され、翌土曜日、日曜日にそれぞれ予選と決勝が行われました。

　7月18日（金）、中村は午前中のセッションを8番手、午後のセッションを20番手という結果で終えました。午前中は中古タイヤのみを使用し、午後のセッションでは新品タイヤを投入しましたが、トラフィックや赤旗の影響でアタックが中断され、タイムシートの上位に入ることはできませんでした。それでも中村はこの日からクルマに対して好感触を得ており、週末に向けて手応えのある1日となりました。

　7月19日（土）、中村は午前9時から予選グループAに出走。直後に大粒の雨が一部セクターに降り始めましたが、中村を含む多くのドライバーはドライタイヤで走行を続けました。雨はすぐに止んだものの、局所的にウェットとなる難しいコンディションの中、セッション終盤には赤旗も発生。再開後は全車1周のみのアタックとなり、中村はグループ5番手に。ドライコンディションだったグループBのトップタイムにより、10番グリッドから決勝を迎えました。
　午後1時にスタートしたレース1では、好スタートを切り、3コーナーと5コーナーで積極的に攻めましたが、ポジションを維持する形に。その後、2周目にチームメイトに先行を許すも、追走を続けながらレースを展開。6周目には9番手に浮上し、さらに前車を追い、チームメイトともう一台との三つ巴のバトルに突入。14周目には8番手まで順位を上げ、そのまま17周でチェッカーを受け、ポイント圏内でのフィニッシュを果たしました。

　7月20日（日）の予選2回目は、前日とは異なり完全なドライコンディション。前後タイヤのグリップ向上が思うようにはいかなかったものの、僅差の5番手タイムを記録。前日のレース1と同様に10番グリッドからレース2に挑みました。
　レース2では、前日以上に良好なスタートを決めて1周目に7番手に浮上。その後も攻めの姿勢を崩さずに前のクルマを追いかけました。5周目には赤旗が提示され、8分間レースが中断。セーフティカー先導の後、8周目にレースが再開されました。9周目の3コーナーでは、中村はアウトからオーバーテイクを狙いましたが、相手車両もオーバースピードでインから飛び込んできたため、コース外に回避して接触を避け、その後ポジションを守りながら隊列に復帰しました。最終ラップでもメインストレートで前車に並んだ後、最後のセクターまで果敢に攻め続けて7位でチェッカーフラッグを受けました。土曜日に続いて2レース連続で入賞し、中村にとって実りある週末を締めくくりました。
　レース後、中村の前でフィニッシュした2台のクルマにペナルティが科され順位が降格。これにより中村の最終結果は5位に繰り上がりました。
　次戦FRECA第6戦は8月1日（金）から3日（日）にかけて、イタリアのイモラサーキットで開催されます。

　「FRECAの第5ラウンド、ポールリカール戦が終了しました。今シーズン初めて土日の2レース連続で入賞ができたことで、しっかりと収穫のある週末になったと思います。ただ、自分たちのパフォーマンスとしてはもっと上位を狙えたはずですし、個人的にも出し切れなかった部分があるので、悔しさも残っています。それでも確実に一歩前進できたと感じています。来週のイモラも初めてのコースになりますが、しっかりと準備をして強い気持ちで挑みたいと思います。引き続き応援よろしくお願いいたします」