第7戦の舞台となるレッドブルリンクは、オーストリア・シュタイアーマルク州のアルプス山脈の麓に位置する全長4,318mのサーキットです。現在は比較的短いコースレイアウトですが、1970～80年代の「エステルライヒリンク」時代には全長5kmを超える超高速サーキットとして知られていました。その後、幾度かの改修を経て、今日まで多くの国際格式のレースが開催されています。中村は約1カ月の夏休みを経て、FRECA後半戦を木曜日のプレイベントテストからスタートしました。

　9月4日（木）、通常のプレイベントテストは午前と午後にそれぞれ1時間50分ずつ行われますが、今週は午後に3時間の長いセッションが設けられました。気温が30度を超える晴天の下、中村は使用済みタイヤ2セットと新品タイヤ1セットを使い、計63周を走行。新品タイヤによる予選シミュレーションでは4番手のタイムをマークし、充実した走行内容で後半戦への手応えを得る1日となりました。

　9月5日（金）、前日より涼しいコンディションの中、午前と午後にそれぞれ50分のセッションが実施されました。午前は新品タイヤ1セットで予選シミュレーションを行い、クリアラップが取れない状況ながら6番手のタイムを記録。午後は中古タイヤでレースシミュレーションを実施し、トラブルなく順調にメニューを消化しました。

　9月6日（土）、予選1回目と決勝レース1が行われました。予選グループAで出走した中村は、朝9時の予選セッション開始とともにコースイン。しかしアタックラップに入る前にクルマに搭載されている消火器が誤作動し、車内に消化剤が散布されるトラブルに見舞われることに。そのためタイムアタックはできず、決勝レース1は最後尾からのスタートとなりました。
　しかし午後のレースでは、中村は予選の不運を吹き飛ばす見事な追い上げを見せます。
　スタート直後、1コーナーまでに3台を抜いた中村は、さらに前方で起きた3コーナーの混乱も冷静に回避。1周目の時点で19番手までポジションを上げました。その後、セーフティーカーが導入され、レースは5周目に再開。中村はその5周目と6周目にふたつずつ順位を上げて15番手へ浮上。さらに8周目には14番手となり、10～12周目には毎周連続でオーバーテイクを決めて、14周目には入賞圏内の10番手に浮上しました。その後も追撃のペースを緩めずファステストラップを更新しながら17周目に9番手、19周目には8番手までポジションを上げ、最後尾スタートから20ポジション以上の大幅な追い上げでポイントを獲得しました。

　9月7日（日）予選2回目、前日はトラブルでアタックができなかった中村ですが、このセッションは予定通りアタックラップを刻み、最終アタックでセクター2での全体ベスト更新しながらグループ2番手のタイムを記録しました。グループBのトップタイムが全体のベストタイムでしたが、中村は全体4番手となり、4番グリッド2列目からのスタート位置を獲得しました。
　午後の決勝レースでは、スタートを決め、4コーナーで1台を抜いて1周目に3番手に浮上。セーフティーカーが一度も入らないクリーンな展開の中、中村は4番手以下との差を保ちつつ安定したペースで周回を重ね、3位でチェッカーを受け自身初のFRECA表彰台を獲得しました。
　次戦FRECA第8戦は9月19日（金）から21日（日）にかけて、スペインのバルセロナサーキットで開催されます。

　「レッドブルリンクでのFRECAの第7戦が終わりました。土曜日のレース1は8位、日曜日のレース2は3位で、初めての表彰台を獲得することができました。土曜日は予選でトラブルがあり、レースは最後尾からの追い上げとなりましたが、ポイント圏内まで戻ってくることができ、良いレースができたと思います。日曜日のレースでは、初めて表彰台を獲得できたことで、すごくポジティブな気持ちになりました。ここからさらに勢いをつけて上位を目指して頑張ります。第7戦も応援ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします」