FRMECがカタールで開催されるのは今回が初めてで、さらにFIA世界耐久選手権（WEC）とも初めて併催されるため、チームにとってはコースレイアウトや路面状況の変化など、すべてが新しいレースウイークになりました。

　2月26日（水）の午前10時15分から行われた1時間のテスト走行では、まず中古タイヤを使ってコースの習熟を兼ねながらテスト項目を消化。その後ニュータイヤでアタックを試みました。今回、中村のピットレーンの停車位置がTGR-WECチームのガレージ前となり、中嶋一貴（TGR-E副会長）や小林可夢偉（TGR-WECチーム代表兼ドライバー）が、中村の走行を見守りました。
　午後3時35分からの1時間のテスト走行ではレースシミュレーションを実施。レコノサンスラップ、フォーメーションラップ、そしてレーススタートと、本番さながらに模擬レースとして行いましたが、予定していた15周を終える直前の14周目に赤旗で中断。ピットに戻ってきた中村の右フロントタイヤは、構造が見えるほど摩耗していたため、そのままセッションを終了することになりました。
　午後7時15分からの30分のフリー走行では新品タイヤを使用し、予選のシミュレーションを行いましたが、クルマにトラブルが出てしまい、結局新品タイヤでの感触を確かめることができないまま初日を終えました。

　27日（木）午前9時50分から午前10時5分までの15分間で行われたQ1では、前日のフリー走行で確認できなかった新品タイヤでのバランスを確かめながらアタック。プッシュラップ1周目に1分51秒241、続くプッシュラップ2周目にはセクター1でコンマ4秒、セクター2でコンマ2秒自己ベストを更新しましたが、赤旗によりセッションは中断されました。Q1はそのまま再開されず、中村はプッシュラップ1周目のタイムで10番手に確定しました。
　Q1が赤旗中断された際、中村はチームの指示でピット出口で待機していたため、Q2に向けたタイヤ交換作業をすぐに行うことができず、ピットレーンを手押しで戻ってタイヤを履き替えることになりました。その結果、他車よりもファストレーンへ出るタイミングが遅れ、隊列の後方からコースインすることになりましたが、なんとかプッシュラップに入る間合いを作りました。そしてプッシュラップ1周目に1分50秒806、2周目に1分49秒991をマークし10番手でQ2を終えました。

　27日（木）午後2時30分にレース1がスタート。1台のクルマがグリッド降格となり9番グリッドからスタートした中村は、序盤に自分よりペースが遅いクルマに追いつきましたが、レース終盤にタイヤを温存するため、あえて追い抜きをかけずにタイヤのマネージメントに徹しました。4周目から5周目にかけてセーフティーカーが入ったあと、6周目のリスタートで前方の2台のマシンが接触、その間に8番手に浮上。そして残り時間が半分を切ったあたりから攻めの走りに切り替え、11周目1台を抜いて7番手、続く12周目には3台を抜いて4番手まで順位を上げました。その後単独走行になった中村は、タイヤを労わりながら4位でチェッカー受けました。レース後、3位でフィニッシュしたドライバーに10秒加算のペナルティが科され、中村は3位に繰り上がりました。

　27日（木）午後9時に始まったレース2。レース1の上位10名のリバースグリッドに加え、1台のグリッド降格のペナルティにより、中村は7番グリッドからスタート。出足が鈍った中村は1周目に9番手に後退。レース序盤はタイヤを守る走りに徹しましたが、後方からの激しい追い上げをディフェンスしていた3周目に、ターン2でコース外に押し出される形となりグラベルでスピン。ポジションを最後尾まで落としてしまいました。結局レースはセーフティーカーが一度も入ることなく終了し、前との差を詰めるチャンスがなかった中村は21位でチェッカーを受けました。

　28日（金）の午前10時30分からはレース3がスタート。9番グリッドからスタートした中村は、前日のレース2で課題だったスタートを決めてポジションを1つ上げました。さらに4周目には一度7番手に浮上しますが、後方からハイペースで追い上げてきた一台を先に行かせ、タイヤのマネージメントに徹しました。そして、前を行くクルマのタイヤが垂れ始めた13周目にポジションを取り返し、7位でチェッカーを受けました。レース後、コース外走行で他車を抜いたという理由で中村に5秒加算のペナルティが科され、最終的に10位となりました。

　次の中村のレースは5月2日（金）から4日（日）にかけてイタリア・ミサノサーキットで開催されるフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ・バイ・アルピーヌ（FRECA）の開幕戦となります。4月に3回のテストを経て、いよいよ欧州の選手権が始まります。

　「中東シリーズの最終ラウンドが終わりました。レース1は9番手からのスタートでしたが、タイヤのマネージメントがうまくいって上位までポジションを戻せたのがよかったです。ただ、レース2では個人的に大きなミスがあって、そこが今週一番悔しいところです。レース3も表彰台を目指していましたが、そこまで追い上げることができませんでした。ただ、総合的に見て悪くはない週末だったと思います。中東シリーズを通してステップバイステップで成長できていることを自分自身で実感しているので、ヨーロッパシリーズに向けても自信を持って挑めます。ヨーロッパシリーズも頑張りますので引き続き応援よろしくお願いいたします」