富士スピードウェイでFIA-F4選手権の第4大会(第10,11,12戦)が行われ、トヨタのスカラシップを受けてのシリーズ参戦2年目となる平良響(TGR-DC Racing School)が第10戦、第11戦を制し、シリーズ新記録となる10連勝を達成。今季のシリーズチャンピオンを決めました。
11月27日(金)から29日(日)にかけて、静岡県の富士スピードウェイでFIA-F4選手権の第4大会(第10戦、第11戦、第12戦)が行われました。
ジュニアカート等からステップアップするドライバーの育成を目的として2015年から行われている同シリーズ。今季は新型コロナウィルスの影響で10月に開幕。各大会3レース制、全4大会の計12戦でのシリーズも最終大会を迎えました。
今季の同シリーズには、TGR-DC RS(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジプログラム レーシングスクール)のスカラシップドライバーとして、野中誠太(TGR-DC Racing School)、平良響、奥住慈英(TGR-DC Racing School)、清水英志郎(TGR-DC Racing School)の4名が参戦。20歳の野中と平良は同シリーズ2年目、共に17歳と若い奥住と清水は今季より本格的なフォーミュラカーレースに参戦しています。
平良は第2戦で自身初勝利を飾ると、続く第3戦、そして第2大会、第3大会の全レースで勝利を挙げここまでシリーズ記録タイとなる8連勝中。ドライバーズランキングでも2位以下に大きく差をつけ、初のタイトル獲得、そして連勝記録の更新を目指し今大会に臨みました。
28日(土)午前8時15分より30分間の予選が行われました。青空に恵まれましたが、風が強く、気温12度、路面温度8度というコンディションでセッションがスタート。35台の車両がじっくりとタイヤを暖め、アタックを開始しました。
7周目、野中が好タイムをマークしトップに浮上。翌周に平良がこの野中に続く2番手につけました。平良はさらなるタイムアップを目指しましたが、ハイペースできていた周回の最終コーナー付近まで来たところで、コース上に停止した車両により赤旗が出され、セッションは中断。車両を排除し、残り4分半、ほぼ一発アタックでセッションが再開されました。
赤旗が出るまでトップにいた野中は、やや遅めにアタックに向かったものの、アタックラップに入る直前にチェッカーが振られてタイム更新ならず。最後のアタックでライバルに上回られ2番手グリッド。平良は最後のアタックでタイムを僅かに更新しましたが、100分の2秒届かず3番手。今季初めて最前列以降からのスタートとなりました。清水と奥住は共に好タイムを刻み、自身最高グリッドとなる6番手、7番手を獲得。奥住までトップ7台がコンマ2秒内に入る僅差の予選でした。
この予選セッションのセカンドベストタイムで決定される第11戦スターティンググリッドは、平良がポールポジション。奥住が自己最高の5番手、野中が7番手、清水が9番手につけました。
予選が終了してから3時間後、気温は15度、路面温度も20度まで上昇する中、午前11時50分より第10戦の決勝レース(14周)が行われました。
2列目イン側、3番手からスタートした平良は、TGRコーナー(1コーナー)進入で2番手スタートの野中に並び、アウトからパスし2位へ浮上。3位に後退した野中は、後方からの猛追を受けるもポジションを守りました。
後方では、7番手スタートの奥住が4位へとジャンプアップ。しかし、2周目のダンロップコーナー進入で、6位の清水がブレーキング時にタイヤをロックさせて奥住に接触。接近戦だった後方集団は大混乱となりました。
この接触によりセーフティカーが導入。奥住、清水共に2周目にしてレースを終えることとなってしまいました。
5周終了でセーフティカーが待避し、6周目に再スタートが切られると、2位につけていた平良が最終コーナーから抜群の加速を見せ、TGRコーナー進入で首位の車両に並ぶと、続くコカコーラコーナーでパス。首位に立ちました。
3位につける野中も2位争いを繰り広げていましたが、GRスープラコーナーではじき出される形となり10位へ後退。翌周、上位復帰を狙ってのバトル中に後続から追突され、リタイアとなってしまいました。
首位を行く平良は、2位の車両とコンマ5秒ほどの差での周回を続けました。最終ラップのダンロップコーナーでインをつかれましたが、冷静に抜き返し、トップでチェッカー。シリーズ新記録となる9連勝を達成するとともに、この時点で2戦を残して2020年FIA-F4のドライバーズチャンピオンを決定しました。トヨタ支援ドライバーによる同シリーズのタイトルは2017年の宮田莉朋以来3年ぶり4度目、坪井翔、宮田莉朋に次ぐ3人目となります。
第10戦終了後、SUPER GTの予選を挟んで、午後3時15分より第11戦の決勝(14周)が行われました。ポールポジションの平良は、スタートからTGRコーナー進入ではライバルに並びかけられたものの、アウト側から首位をキープしました。
第10戦でクラッシュした清水は車両修復が間に合わず今大会は欠場。5番手スタートの奥住がひとつポジションを落とし、7番手スタートの野中と共に、上位2台が逃げていく中での、3位以降の集団バトルを繰り広げました。
平良と2位の車両が後方を大きく引き離してのマッチレースとなりましたが、首位の平良は2位に1秒ほどの差を保ったまま周回を重ね、危なげなく優勝。前人未踏の10連勝を成し遂げました。
野中はバトルの中で5位へポジションを上げ、さらに上位を狙いましたが届かず、5位でチェッカー。奥住は自己ベストの6位フィニッシュを果たしました。
29日(日)朝8時と早い時間から今季の最終戦となる第12戦(14周)が行われました。気温は7度、路面温度も7度と寒い中でのスタート。
スターティンググリッドは第10戦のベストタイムで決定され、平良が4番手、野中が13番手、序盤にリタイアした清水と奥住は30番手、31番手と後方からのスタートとなりました。
スタートでは前の3台が横一線でTGRコーナーへと進入して行く後方から、落ち着いて攻めた平良が3位へとポジションを上げると、2周目には2位へ。その後は1秒ほどの差で首位を追い続けました。
13番手スタートの野中は1周目で10位、2周目に8位へ。後方スタートの奥住も2周目終了時点で14位へと大きくポジションアップ。同じく後方スタートの清水は1コーナーの混乱でコースオフを余儀なくされ、一旦32位へと後退。その後周回毎に順位を上げていきました。
2位で首位を追う平良でしたが、3位以下の車両も僅差でついてきており、これを防ぎながらの厳しい展開に。終盤には首位との差をコンマ8秒ほどまで詰めましたがそれ以上は届かず、2位でフィニッシュ。連勝記録は10でストップすることとなりました。
野中は7位。奥住は11位。清水も17位まで追い上げてチェッカーを受けました。