全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の第1大会(第1、2、3戦)が鈴鹿サーキットで行われ、TGR-DC育成ドライバーの佐野雄城(TOM'S)がデビュー戦ながら3戦共にポール・トゥ・ウィンで完全勝利。同じく育成ドライバーの小林利徠斗(TOM'S)は、第1戦・第3戦で3位表彰台を獲得しました。

3月8日(土)、9日(日)に、三重県の鈴鹿サーキットで2025年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(SFL)の開幕となる第1大会(第1戦、第2戦、第3戦)が開催されました。
今季もSFLは、全車が昨年と同仕様のシャシー、TOM'S製のワンメイクエンジンで戦われます。
今季のSFLには、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)ドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)の育成ドライバーとして、シリーズ2年目となる19歳の小林と、今季よりSFLにステップアップする18歳の佐野、そして20歳のエステバン・マッソンの3名がエントリー。
小林は、昨年SFLで参戦初年度ながら3勝を含む表彰台11回という活躍を見せ、ランキング2位となりました。佐野は昨年FIA-F4を戦い、3勝を含む表彰台6回でランキング4位。マッソンは、欧州ジュニアフォーミュラなどでチャンピオンを獲得した後、昨年はFIA世界耐久選手権(WEC)にLEXUS RC F GT3でフル参戦しています。
なお、マッソンは昨年末に行われたSFLのテスト走行中クラッシュを喫した影響で、今大会は欠場となりました。
予選
8日(土)午前8時30分より、曇り空のもとで第1戦と第2戦の予選が行われました。
第1戦の予選では、前日の専有走行でもトップタイムをマークするなど好調な佐野が1000分の3秒差でトップタイムをマーク。デビュー戦で見事ポールポジションを獲得しました。小林は2列目3番手グリッドとなりました。
10分間のインターバルを経て行われた第2戦の予選は、上位4台が0.065秒内に入る僅差の争いとなりましたが、佐野がこの激闘を制しトップタイムで2戦連続ポールポジション。小林は佐野に0.027秒及ばず2番手となり、TGR-DC育成ドライバーが最前列グリッドを独占しました。
第1戦決勝
予選の後、3時間ほどのインターバルを経て、午後12時30分より、この週末最長の16周で争われる第1戦決勝レースがスタートしました。
ポールポジションの佐野は順当なスタートで首位をキープ。2列目3番手スタートの小林は好ダッシュを決めて2番手の野村勇斗(HFDP WITH B-MAX RACING)に並びかけるも、抜くまでには到らず。
逆に、野村が1周目のAstemoシケインでサイド・バイ・サイドのバトルをしかけ、2周目の1コーナーで佐野は首位の座を奪われることとなってしまいました。
2位に後退した佐野は、小林からの追撃を受けるもこれを引き離すと再び追い上げを開始し、首位との差を詰めていきました。
6周目、首位を行く野村に反則スタートの裁定が下り、決勝結果に5秒加算のペナルティが課されることに。2位の佐野は野村から5秒以上離されないよう着実に周回を重ねていき、最後は2.861秒差の2位でチェッカー。野村のペナルティにより、佐野はデビュー戦をポール・トゥ・ウィンで飾りました。
小林は上位2台からは離される形となるも3位でチェッカー。表彰台を獲得しました。
第2戦決勝
9日(日)は、寒さが残るものの好天となる中、午前8時20分より第2戦の決勝レース(12周)が行われました。
スタートでは、ポールポジションの佐野が、最前列2番手に並ぶ小林をけん制しながらもポジションはキープし、2コーナーでは小林が後続に並びかけられますがこちらも抑え、TGR-DC育成ドライバーが1-2体制で1周目を終えました。
2位の小林は、首位の佐野との差を詰めていきましたが、2周目のAstemoシケイン立ち上がりで突然スローダウン。ミッショントラブルに見舞われ、小林はここでレースを終えることとなってしまいました。
小林の車両が停まったことでセーフティカー(SC)が導入され、6周目にレース再開。佐野は着実にポジションを守り、首位を快走。その後、8周目にコースオフ車両が発生したことで2度目のSC導入となり、1周を残して再開。佐野はこの再スタートも確実に決めてトップチェッカー。ポール・トゥ・ウィンでの開幕2連勝を飾りました。
第3戦決勝
第2戦の後、午後12時50分より第3戦の決勝レース(12周)が行われました。
第1戦の決勝結果によりグリッドが決定され、佐野がポールポジション。小林は2列目3番手からのスタート。佐野がややホイールスピンさせる一方で、小林がダッシュを決めてホールショットを奪い、一気にトップへと浮上しました。
小林にかわされた佐野は、続くS字コーナーで野村にかわされ3位へと後退することになりましたが、離されることなく追撃を続け、3周目のAstemoシケイン進入で再逆転。続くストレートで並びかけられ、1-2コーナーはサイド・バイ・サイドとなりましたが、佐野がこのバトルを制し、2位へと浮上。なおも首位を行く小林を追いました。
ペースで勝る佐野が小林との差を詰め、懸命の防戦を続けた小林でしたが、8周目のデグナーカーブで痛恨のコースアウト。なんとかコースには復帰したものの、3位へと順位を落とすこととなってしまいました。
首位に立った佐野は後続を引き離し、6秒近い大差をつけてトップチェッカー。今大会の3レース全てポール・トゥ・ウィンという完全制覇で、デビュー戦を飾りました。
小林はコース復帰後、4位の車両からの追撃を受けるも凌ぎ切り、3位でチェッカー。今大会2度目の表彰台獲得となりました。


全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第1戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 35 | 佐野 雄城 | TOM'S | 16 | 30'19.023 | 1 | 1'51.230 |
2 | 50 | 野村 勇斗 | B-MAX RACING TEAM | 16 | 2.139 | 2 | 1'51.233 |
3 | 38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 16 | 10.225 | 3 | 1'51.503 |
4 | 51 | ザック・デビッド | B-MAX RACING TEAM | 16 | 14.710 | 9 | 1'53.268 |
5 | 3 | 三井 優介 | DELiGHTWORKS RACING | 16 | 18.316 | 7 | 1'52.927 |
6 | 1 | 卜部 和久 | B-MAX RACING TEAM | 16 | 24.709 | 10 | 1'53.937 |
7 | 4 | 森山 冬星 | JMS RACING TEAM | 16 | 27.179 | 6 | 1'52.779 |
8 | 2 | 荒尾 創大 | DELiGHTWORKS RACING | 16 | 31.528 | 4 | 1'52.018 |
9 | 58 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 16 | 32.757 | 5 | 1'52.120 |
10 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 16 | 36.127 | 13 | 1'58.190 |
11 | 60 | 伊東 黎明 | LM corsa | 16 | 44.961 | 8 | 1'53.017 |
12 | 8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 16 | 53.240 | 11 | 1'54.391 |
13 | 30 | DRAGON | B-MAX RACING TEAM | 16 | 1'08.893 | 12 | 1'55.120 |
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第2戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 35 | 佐野 雄城 | TOM'S | 12 | 29'03.951 | 1 | 1'50.628 |
2 | 50 | 野村 勇斗 | B-MAX RACING TEAM | 12 | 0.513 | 4 | 1'50.796 |
3 | 58 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 12 | 1.655 | 5 | 1'51.138 |
4 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 12 | 2.649 | 7 | 1'51.548 |
5 | 1 | 卜部 和久 | B-MAX RACING TEAM | 12 | 3.594 | 8 | 1'51.596 |
6 | 60 | 伊東 黎明 | LM corsa | 12 | 4.226 | 9 | 1'52.170 |
7 | 3 | 三井 優介 | DELiGHTWORKS RACING | 12 | 5.365 | 10 | 1'52.477 |
8 | 51 | ザック・デビッド | B-MAX RACING TEAM | 12 | 6.031 | 6 | 1'51.186 |
9 | 8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 12 | 9.135 | 12 | 1'53.440 |
10 | 4 | 森山 冬星 | JMS RACING TEAM | 12 | 10.642 | 11 | 1'52.842 |
11 | 2 | 荒尾 創大 | DELiGHTWORKS RACING | 12 | 16.534 | 3 | 1'50.731 |
30 | DRAGON | B-MAX RACING TEAM | 7 | 5Laps | - | ||
38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 1 | 6Laps | 2 | 1'50.655 |
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第3戦 結果表
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 35 | 佐野 雄城 | TOM'S | 12 | 22'42.309 | 1 |
2 | 50 | 野村 勇斗 | B-MAX RACING TEAM | 12 | 5.961 | 2 |
3 | 38 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 12 | 7.647 | 3 |
4 | 51 | ザック・デビッド | B-MAX RACING TEAM | 12 | 7.812 | 4 |
5 | 58 | ケイレン・フレデリック | B-MAX RACING TEAM | 12 | 8.277 | 9 |
6 | 3 | 三井 優介 | DELiGHTWORKS RACING | 12 | 19.354 | 5 |
7 | 2 | 荒尾 創大 | DELiGHTWORKS RACING | 12 | 19.623 | 8 |
8 | 4 | 森山 冬星 | JMS RACING TEAM | 12 | 19.967 | 7 |
9 | 60 | 伊東 黎明 | LM corsa | 12 | 21.357 | 11 |
10 | 1 | 卜部 和久 | B-MAX RACING TEAM | 12 | 21.428 | 6 |
11 | 37 | 古谷 悠河 | TOM'S | 12 | 21.680 | 10 |
12 | 8 | 清水 康弘 | GNSY RACING | 12 | 24.487 | 12 |
13 | 30 | DRAGON | B-MAX RACING TEAM | 12 | 1'20.313 | 13 |
ドライバーズポイント
(全18戦中3戦終了時)
順位 | ドライバー | チーム | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 佐野 雄城 | TOM'S | 32 |
2 | 野村 勇斗 | B-MAX RACING TEAM | 21 |
3 | 小林 利徠斗 | TOM'S | 10 |