2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大により、モータースポーツのみならず、様々なイベントが大きく影響を受けました。このような状況の中、TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Raceは(以下、Vitz Race)、全国5地区で開催するシリーズのトップを切って、関西シリーズを3月に開幕することができました。しかしながら、それ以降の大会は中止または延期となり、再開の目途が立たない状況が続きました。再開は6月後半の関西シリーズ岡山国際サーキット大会、万全な新型コロナウイルス感染予防対策を行っての開催でした。シーズン開幕から3か月以上も大会が無い、非常にイレギュラーなシーズンとなりました。
各地区3戦から4戦の開催が予定されていた中、シリーズ全体では5戦が中止、また4戦が延期による日程変更を余儀なくされました。開催数の減少により、これまで以上に1戦ごとの成績が各地区シリーズチャンピオンを争うために重要になったことは言うまでもありません。
各地区の開催スケジュールが変更された中、レギュラーシーズン最終の11月関東シリーズ・富士スピードウェイ大会の終了をもって、全国5地区のシリーズのシリーズチャンピオンが出そろいました。
Grand Finalは、各地区のシリーズチャンピオンを含む上位選手をシード選手として認定、それ以外の選手たち(今シーズンの参加実績が必須)とともに、今年のVitzドライバー日本一を決定する大会として12月13日(日)に富士スピードウェイにて開催されました。またこの大会は、2000年から21年間続いたVitz Raceの最終大会としての開催でもありました。
今シーズンのVitz Race Grand Finalは、富士チャンピオンレースシリーズ第4戦内にて開催、予備予選・公式予選・決勝を1日で行います。
エントリーは77台(内1台がリタイヤ)でした。シード選手15台をのぞく61台がA組31台、B組30台に分かれて予備予選を行います。予備予選を通過できるのはA組・B組合計で39台です。次に、予備予選通過39台とシード選手15台の54台で決勝スターティンググリッドを決める公式予選を行います。
9時00分からA組・B組に分かれて各組15分間で実施した予備予選は、ドライコンディションのもとでスタートしました。A組トップタイムをマークしたのは#557河崎選手、同じくB組は#201松山選手です。また、CVTクラスではA組#144柚木がトップライムをマークしました。
予備予選から約3時間のインターバルで、予備予選通過39台とシード選手15台の54台による公式予選が行われました。今シーズン、関東・関西の両シリーズを制し好調をキープする#200黒田選手がトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得、この勢いで自身初のGrand Finalでの勝利を目指します。2位には#919森川選手、3位には水野選手が続きます。
そして、むかえたVitz Race 21年間の最終レース、全54台によるGrand Final決勝が行われます。決勝前には、ホームストレートブリッジに参加ドライバーが集合し、シリーズの最後を締めくくる撮影を行い、Vitz Race 21年間の思い出を語りあいました。15時35分、全車クリーンスタートで、10周の決勝レースの火蓋が切られました。2番手の森川選手が好スタート、しっかりイン側をキープしポールショットを決めます。しかし、ポールポジションからのスタート黒田選手も譲れません。次のコーナーで有利なアウト側にポジションをキープすると、2コーナーで黒田選手が前に出ます。トップを取り戻した黒田選手はこのあと徐々に後続を引き離しにかかり、オープニングラップを制します。2位には森川選手、3位には水野選手が続きます。2周目以降、森川選手がポジションダウンしていくと、その水野選手と4番手スタートの#74松本選手が、激しく2位を争いが繰り広げます。この間にトップ黒田選手は、2.5秒程度のアドバンテージを後続に対して積み上げていきます。レース後半に入ると各所で見ごたえのある攻防が繰り返されるものの、大きなポジションチェンジにはいたりません。序盤から単独走行となっていた黒田選手が、今期レギュラーシーズンの好調を象徴した走りで、うれしい自身初のGrand Final決勝を制しました。
関東・関西両シリーズに続き、2017年シーズン峯選手以来のシーズン3冠をとなります。2位には松本選手、3位に水野選手、ファステストラップをマークした#3CANDY竹川選手、予備予選B組トップ#201松山選手、予選8番手から入賞#107柿本選手が続き、表彰台を獲得しました。
CVTクラスでは、公式予選CVTクラストップの柚木選手が1位、#49仲村選手が2位、#510戸田選手が3位となり、表彰台を獲得しました。
2000年にはじまった日本初のJAF公認ナンバー付き車両によるワンメイクレースであるVitz Raceは、今日のGrand Final決勝をもって、このカテゴリーのベンチマークとして積み重ねてきた21年間の歴史に幕をおろします。初代/SCP10にはじまり、2代目/NCP91、そして3代目/NCP131、と3世代にわたりシリーズ開催当初から参戦用車両を提供してまいりました。また2007年・2008年には富士スピードウェイにおいてF1日本GPでのサポートレースとして大観衆の中、レースを開催いたしました。2008年にはシリーズ通算200戦、2014年には300戦、2020年には400戦を達成し、シリーズ累計で408大会を開催いたしました。この間の累計参加台数は延べ16454台となりました。
21年間、ご参加いただきました皆さま、そして関係いただいたすべての皆さまに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
Vitz Raceの歴史は来シーズンからTOYOTA GAZOO Racing Yaris Cupへ引き継がれます。Yaris Cupでは、新しい参加型ワンメイクレースとして、新しく歴史を積み重ねていくことになります。
TOYOTA GAZOO Racingでは、ワンメイクレースの開催を通して、「クルマを操る」「クルマで走りを楽しむ」といった、クルマ本来の魅力を楽しんでいただく場を提供し続けると共に、日本のモータースポーツ文化の醸成に向けた支援を、更に充実させてまいります。参加者および関係者の皆様とスタッフの安全と健康を第一に考え2021年シーズンも開催してまいります。たくさんのご参加をお待ちしております。
Grand Finalを制した#200黒田選手コメント
Vitz Race最後の大会、最終レースとなるGrand Finalで勝つことができ、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。チームに感謝したいと思います。この結果が残せたのは、たくさんの方々に応援いただけたからこそです。応援本当にありがとうございました。来シーズンはYaris Cupへチャレンジし、チャンピオンを目指したいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。
Vitz Race ありがとう!
Vitz Race Grand Final 決勝リザルト
Pos | No | Car | Driver | Lap | Total time/Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 200 | NAVUL☆GR港名四Vitz | 黒田 保男 | 10 | 22'53.339 |
2 | 74 | ネッツ千葉シュポルトμVitz | 松本 英之 | 10 | 2.244 |
3 | 14 | ピースMS制動屋VitzGR | 水野 大 | 10 | 2.798 |
4 | 3 | WAKOSネッツ東埼玉EDVitz | CANDY 竹川 | 10 | 3.545 |
5 | 201 | NAVUL☆GR港名四Vitz | 松山 雄大 | 10 | 8.395 |
6 | 107 | N千葉オオガキテックμVitz | 柿本 一樹 | 10 | 9.034 |
Vitz Race Grand Final / CVTクラス 決勝リザルト
Pos | No | Car | Driver | Lap | Total time/Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 144 | ネッツ東都RCヴィッツCVT | 柚木 宏一郎 | 10 | 24'09.897 |
2 | 49 | ネッツ千葉シュポルトμVitzCVT | 仲村 敏裕 | 10 | 1.949 |
3 | 510 | 戸田工業GR東京μVitzCVT | 戸田 和彦 | 10 | 14.58 |