中嶋一貴、WECのレギュラードライバーから勇退

2021.11.03(水)- 18:00配信

 今季TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR) WECチームのドライバーとしてFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦している中嶋一貴が、今週末開催されるWEC2021シーズン最終戦である第6戦バーレーン8時間レースをもって、WECレギュラードライバーとしての役割を終えることになりました。

WEC 2018-19年シーズン 第8戦(最終戦)ル・マン24時間レースで優勝し、ドライバーズタイトルを獲得したフェルナンド・アロンソ、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ

 36歳の中嶋は、ル・マン24時間レースでの3度の優勝を飾り、2018-2019年シーズンにはセバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソと共にWECシリーズチャンピオンを獲得してFIAの殿堂入りを果たした、日本を代表するレーシングドライバーの一人です。

 2021年のWEC最終戦となるバーレーン8時間が中嶋にとってTGR WECチームでの最後のレースとなりますが、このレースはまた、彼にとって2度目のWECチャンピオンを獲得できるかどうかという重要な舞台でもあります。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーとのトリオでGR010 HYBRID 8号車を駆る中嶋は、最終戦を残した現時点で、首位に15ポイント差のランキング2位につけています。

 トップドライバーとしてだけでなく、信頼できるチームメイト、そして大事な友人として、この10年間、チームに多大な貢献をもたらしてくれた中嶋に、TGR WECチームとして感謝の意を表します。

 WECレーシングドライバーとしてのキャリアは終えることになりますが、中嶋は今後もTGRの一員として、チームの成功に向けた協力とトヨタのモータースポーツを基点としたもっといいクルマづくりへの貢献を続けていきます。

 中嶋がWECチームに参加したのは、全く新しいハイブリッド・プロトタイプレーシングカーとして開発されたTS030 HYBRIDの最初のテストが行われた2012年1月で、彼はトヨタの耐久レースの歴史において特別な存在です。以降、彼は出場したWECの58戦中16勝を挙げており、これはトヨタでWECに参戦してきたドライバーの中で、ブエミに次ぐ勝利数です。

 中嶋は2012年に初出場を果たして以来、特にル・マン24時間レースで目覚ましい活躍を見せてきました。2014年、トヨタのハイブリッド車両で初、そして、日本人としても初となるル・マンでのポールポジションを彼のアタックで獲得しましたが、決勝レースでは、首位を独走しながらも、中嶋がドライブしていた深夜にトラブルでリタイア。また、2016年には首位快走中、24時間チェッカーまであと1周というところでストップという衝撃的な結末迎えたTS050 HYBRID 5号車のステアリングを握っていたのも中嶋でした。

 こうしたル・マンでの困難なレースを経て2018年、中嶋はついに悲願のル・マン24時間レーストップチェッカーを自身のドライブで迎え、そして、2019年、2020年と3年連続ル・マン制覇を果たしました。

 尚、2022年シーズンのドライバーラインナップについては、数週間以内に追って発表予定です。

中嶋一貴:

 TGR WECチームのドライバーとして9シーズンを戦って来られたことは本当に光栄ですし、才能と情熱に溢れる、献身的な多くの仲間とともに数々のレースに勝ち、タイトルを獲得、ル・マンを制することができたのは幸運だったと思います。TGR WECチームと10年間にわたってレースを戦ってこられたことに、本当に感謝しています。辛い時も、楽しかった時も家族のように過ごして来たチームとは多くの忘れ難い想い出があり、これからもずっと、TGR WECチームの一員だと思っています。耐久レースも新たな時代に突入することになり、来年以降、多くのハイパーカーメーカーが参入してきます。と同時に私自身も新たな道を歩み始めることになります。これからもできる限りチームへのサポートは続けるつもりですし、さらにエキサイティングになる、耐久レース新時代が楽しみです。

WEC 2019-20年シーズン 第7戦 ル・マン24時間レースでチェッカーを受け、3連覇を達成したTS050 HYBRID 8号車