2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)の欧州連戦初戦となる、第2戦イモラ6時間が開幕。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はライバルのホームレースであるイモラでの表彰台を目指し、練習走行を開始しました。
ディフェンディングチャンピオンのTGRは、苦戦を強いられた開幕戦のカタールをチーム一丸となって戦い抜き、マニュファクチャラーズ選手権2位という結果で、チームにとって初挑戦となるイモラに臨みます。
今大会でTGRは表彰台への復帰を目指しますが、合計3時間の走行セッションが実施された初日から、19台のハイパーカーによる熾烈な争いが繰り広げられることとなりました。
ディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、この日トップのフェラーリ50号車と0.772秒差の1分31秒729というベストタイムをマークし、この日4番手となりました。開幕戦カタールで5位に入った小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車はこの日12番手タイムでした。
準備日の18日(木)は濡れた路面も残るコンディションでしたが、走行が開始される19日(金)は気温が16度と暖かくなり、路面もドライコンディションとなる中で、デ・フリースとブエミがイモラでのGR010 HYBRID初走行へとコースインしました。
6人のドライバー全員がドイツ・ケルンのチーム本拠地でシミュレータセッションを行うと共に、車両セットアップの方向性についても準備してきました。ただ、日によって路面コンディションが変わることもあり、公式練習1回目は初体験となるイモラの感触をつかむ機会となりました。
チームは90分間のセッションを利用してコースレイアウトと路面について習熟し、車両パフォーマンスとタイヤの摩耗についてモニターしながら、メカニカル、及び空力セッティングのための有用なデータを収集しました。
このセッションでは7号車のデ・フリースが9番手タイム。そしてこの週末、記念すべきWEC参戦80戦目を迎えるブエミが8号車のベストタイムをマークし、10番手となりました。この公式練習1回目は、赤旗とフルコースイエローが出されたものの、比較的スムーズなセッションとなり更なる調整及びタイヤ分析を行う公式練習2回目へ向けたベースを築きました。
午後5時15分から行われた公式練習2回目では、小林とハートレーが最初にコースへ向かいました。ハートレーがセッション開始直後にマークしたタイムがこの日の8号車のベストタイムとなり、7号車は、セッション中盤にコンウェイがマークしたタイムがベストとなりました。
イモラ初挑戦のGR010 HYBRIDにとって有意義なものとなった初日を終え、ドライバーとエンジニアは20日(土)午後3時25分(日本時間午後10時25分)から行われる予選へ向け、この日に得られたデータを解析し、更なる車両セットアップ改善とGR010 HYBRIDとタイヤから最大限のパフォーマンスを引き出すべく準備を進めます。6時間で戦われる決勝レースは21日(日)現地時間午後1時(日本時間午後8時)にスタートが切られます。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
このコースでGR010 HYBRIDを走らせるのは初めてですので、当然まだ学習している最中です。しかし、初日を終えた時点でのクルマの感触はとても良いです。私が最後にここで走ったのは20年近く前なので、懐かしくもあり、思いだしながら走っていて楽しめています。特に、既にとても多くのファンの皆様が集まっている中での走行は楽しいです。週末へ向けて、ライバル勢がどのようなことを行っているかはわからないのでまずは様子見ですが、上位争いができることを願っています。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
多くのドライバーにとって、ここイモラでの耐久レースは初めてなので、コースを学ぶという点ではこの初日、我々はとても良い進捗をしたと思います。予選シミュレーションとロングランにおいてもまずまずの状況だと思います。クルマのバランスについてまだ幾つか改善点があり、ラップタイムももう少し向上できればと思っています。さらに学習と改善を続けて、土曜日にどうなるか見ていきたいです。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
多くの周回をこなし、たくさんのことを学んだ、かなり忙しい一日でした。イモラはかなり特殊なサーキットなので、全員が学びながらペースを上げていきました。ここはコース上での車両混雑も激しいので、現時点で周りのペースを正確に把握するのは難しいです。明日の予選は天候も少し変わりそうなので、また違う結果になるかも知れませんが、楽しみにしています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
良い天気の下で順調な一日でした。私自身、コースをあまりよく知らなかったので、多くの周回数を走れたことに満足しています。データを見る限り、クルマのバランスについてまだ改善できる点が幾つかあります。初走行なだけに、通常のコースよりもそういった点が多いのかも知れません。カタールより少しは良い状況だと感じていますが、明日は天候が変わりそうなのでどうなるかわかりません。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
大きなドラマのない一日でしたが、我々ドライバーのほとんどがここを走るのが久しぶりだったので、コース習熟に時間を費やしました。GR010 HYBRIDを走らせるのはカタール以来となりますが、全く異なるコースで、走っていて気持ちがいいです。ランオフエリアがなく、荒れた路面と使える縁石を持つこのコースは、走っていてとても楽しいです。フェラーリがとても速いですが、彼らとの差を縮めるべく全力を尽くしています。
平川亮(8号車 ドライバー):
このコースはとてもユニークで、初日から多くのことを学びました。簡単なことではなかったですが、最初のセッションよりも2回目のセッションの方がクルマの感触が格段に良くなりました。これからエンジニアと共に改善点を見出すべく作業を続け、天候の影響でさらに難しくなる可能性のある明日の予選に備えます。週末残りの時間で、さらにクルマのパフォーマンスを引き出せればと思っています。
WEC第2戦イモラ6時間 公式練習第1回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 50 | 1:31.347 |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 49 | 1:31.503 |
3 | 93 | ミケル・イェンセン ニコ・ミュラー ジャン-エリック・ベルニュ | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 39 | 1:31.964 |
4 | 63 | ミルコ・ボルトロッティ エドアルド・モルタラ ダニール・クビアト | ランボルギーニ・アイアンリンクス/ ランボルギーニ SC63 | 44 | 1:32.015 |
5 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 45 | 1:32.065 |
9 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 49 | 1:32.505 |
10 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 45 | 1:32.739 |
WEC第2戦イモラ6時間 公式練習第2回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 51 | 1:30.957 |
2 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 46 | 1:31.299 |
3 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 52 | 1:31.331 |
4 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 49 | 1:31.729 |
5 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット ノルマン・ナト | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 47 | 1:32.300 |
12 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 48 | 1:32.713 |