5月9日(木)、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースの公式練習が開始され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は実りあるスタートを切りました。

シリーズ第2戦イモラでの勝利から3週間、チームはドイツ・ケルンの本拠地から移動距離で120kmに位置するベルギーの伝統的なサーキットで、6月のル・マン24時間前、最後の走行を開始しました。
TGRはイモラでの勝利で示したパフォーマンスの再現を目指すと共に、2017年以来続く、スパ7連勝記録の更新に挑みます。中でもブエミはスパで最多となる5勝を挙げており、その記録更新を目指します。19台の強力なハイパーカーによる戦いは初日から激しく、優勝争いは非常に厳しいものになることが予想されますが、チームは一丸となってGR010 HYBRID最大のパフォーマンスを引き出すべく努力を続けています。
走行初日となったこの日、チームは決勝への準備を最優先としながらも、前戦イモラで勝利を飾った小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車が4番手タイムをマーク。ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は7番手となりました。
初日のスパは好天に恵まれ、気温17度のコンディションで午前11時半から公式練習1回目が開始。チームはこの最初の90分間で車両のメカニカルに関するセットアップとタイヤの評価を行いました。
壮大な1周7.004kmのスパ・フランコルシャン・サーキットは、第1と第3セクターに長い高速セクションを持つため、最高速を優先したセッティングを重視しますが、同時にコーナーの多い第2セクターではダウンフォースとグリップも要求されます。エンジニアとドライバーは土曜日の決勝へ向け、最適なセッティングを見出すべく作業を続けました。
中断などのないセッションとなった公式練習1回目で、チームは午後のセッションへ向けた土台作りの作業を進めました。8号車はブエミの最初のスティントでマークしたタイムで11番手、7号車はコンウェイがセッション開始直後のクリアなコース上でのタイムがこのセッションベストの16番手でした。
チームはセッション間の4時間のインターバルで、公式練習1回目の走行で得られたデータを分析し、現地時間午後5時半から開始された2回目の走行へと備えました。
90分間の公式練習2回目も好天が続き、クルマのバランス調整を更に進めると共に、特にレースでは厳しいと予想されるソフトとミディアムタイヤの摩耗度合いの評価を行いました。このセッションでの最速ラップは開始早々に小林とハートレーにより記録され、1回目のセッションよりもラップタイムは大きく更新されました。
チームは10日(金)の午前中に行われる公式練習3回目の走行でさらにGR010 HYBRIDの最適化を進め、午後3時30分(日本時間午後10時半)から開始される予選に挑みます。6時間で争われる決勝は11日(土)の午後1時(日本時間午後8時)にスタートが切られます。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
スパに戻れて嬉しいです。初日となった今日の我々の順位は他と比べて驚くようなものではありませんでしたが、タイヤの摩耗は予想以上で、ロングスティントで安定して走れるようにクルマのバランスを整える必要があります。パフォーマンス面でも、ライバルに比べやや劣っているように見えますので、もう少し改善が必要ですが、残りの週末へ向け、解決策を見出すべく尽力していきます。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
今日は両セッションとも中断なくクリーンな一日でした。我々は予定されたプログラムをこなし、クルマのセットアップ改善を進めました。レースウィークではいつものことですが、まだパフォーマンス面で改善の余地はあります。また、このコースはタイヤへの負担が非常に大きいので、そのことも最優先で対応する必要があります。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
スパの初日としてはまずまずだったと思います。ライバルとの位置関係を読むのは難しいですが、我々自身は公式練習1回目から2回目にかけて改善が大きく進んだと感じました。明日はどう変わるか、どこまで進められるか楽しみです。正しい方向に進んでいるとは思いますが、決勝レースへ向けてまだやるべきことが多く残っています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
スパに戻れるのはいつも楽しみですし、珍しく好天にも恵まれました。今日はとても多くのデータを収集できたので、今夜それらを分析して明日の改善に繋げたいです。いつもの通り難しいレースになりそうですが、我々は多くの周回をこなし、タイヤとその摩耗具合のテストを行うことができました。まだ改善できる点は多いですが、それでも良い一日だったと思います。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
とても順調な一日でした。バランス面では100%満足はしておらず、妥協点を見出す必要がります。ここではタイヤの摩耗が非常に大きいので、全てのチームにとって、いかにタイヤを最後までもたせられるかどうかが重要になるでしょう。今日は我々が最速ではなかったことは明らかですが、トラブルなくクリーンな一日でした。決勝へ向けたセットアップのために作業を続け、更なるパフォーマンス向上を目指します。
平川亮(8号車 ドライバー):
今日の2回のセッションでクルマのパフォーマンスを最大限に引き出すべく、主に決勝レースでのセットアップに集中しました。今のところ、タイヤの摩耗が激しいので、タイヤマネージメントがキーポイントになりそうです。バランス面でまだ多くの改良できる点があり、調整を進めていきます。タイヤが摩耗してきても一貫してバランスを保てる、決勝で強いクルマを目指しています。今回もレースはチャレンジングなものになるでしょうが、いつもと同じようにチームの士気は高いです。
WEC第3戦スパ6時間 公式練習第1回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 34 | 2:05.690 |
2 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 38 | 2:06.831 |
3 | 63 | ミルコ・ボルトロッティ アンドレア・カルダレッリ ダニール・クビアト | ランボルギーニ・アイアンリンクス/ ランボルギーニ SC63 | 36 | 2:06.998 |
4 | 36 | ニコラス・ラピエール ミック・シューマッハ マシュー・バキシビエール | アルピーヌ・エンデュランス・チーム/ アルピーヌA424 | 34 | 2:07.020 |
5 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 34 | 2:07.087 |
11 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 35 | 2:07.676 |
16 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 36 | 2:08.151 |
WEC第3戦スパ6時間 公式練習第2回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 33 | 2:04.162 |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 36 | 2:04.283 |
3 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 23 | 2:04.341 |
4 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 36 | 2:04.883 |
5 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 32 | 2:04.956 |
7 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 36 | 2:05.640 |

