WEC2024年シーズン第5戦サンパウロ6時間 公式練習TOYOTA GAZOO Racing、
10年ぶりのインテルラゴスで順調に練習走行開始

2024.07.13(土)- 8:40配信

 7月12日(金)、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキットで2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間の公式練習走行が開始され、シリーズチャンピオンを目指すTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、充実した初日の走行を終えました。

10年ぶりのインテルラゴスで順調に練習走行開始

 TGRが最大限のパフォーマンスを見せ、劇的なレースとなったル・マン24時間から僅か4週間後、戦いの舞台はブラジルへと移り、チームはレースへ向けた集中的な準備を開始しました。19台のハイパーカーによるエキサイティングなバトルが予想される中、初日から非常に接近したタイムでのセッションとなりました。

 ル・マンを5位で終えた、WECのディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、1分25秒727というこの日の最速タイムをマーク。ただ、初日からトップ4台が僅か0.049秒以内、トップ10も1秒以内に入る僅差となっています。

 自転車転倒事故の負傷によりル・マンを欠場したマイク・コンウェイは、ル・マン24時間で2位フィニッシュを果たした小林可夢偉とニック・デ・フリースと共にGR010 HYBRID 7号車での戦いに復帰。7号車はこの日僅差の2番手タイムとなりました。

 今大会の舞台であるインテルラゴスは、トヨタにとってハイブリッド車両でWEC初勝利を挙げ、最初の世界チャンピオンを勝ち取ったサーキットです。この記念すべき地での初走行となった2台のGR010 HYBRIDは、他の車両と共に、12日(金)の2度の公式練習走行に臨みました。

 インテルラゴスは、次戦のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(アメリカ・オースティン)と同じく反時計回りのコースレイアウトを持つため、GR010 HYBRIDは初めて左側に給油口を装備しました。ピットクルーは11日(木)、12日(金)とピット作業の練習に勤しみ、その速さで知られる作業を損なうことなく、この変更に対応しています。

 午前10時45分からの公式練習1回目は、セッションスタートの45分前に雨が降り、気温は16度と低い中、全車ウェットタイヤを装着して走行を開始しました。

 デ・フリースと平川にとってインテルラゴスは初のサーキットですが、6名全員がブラジルへ発つ前にドイツ・ケルンのチーム本拠地でドライビングシミュレータによる準備を進めてきました。この日最初の公式練習セッションでは、コースの習熟に加え、GR010 HYBRIDを1週4.309kmのコースに向けた最適化のための車両セットアップも開始されました。

 セッション開始から40分を経て、路面コンディションが回復してきたことでスリックタイヤでの走行が可能になりましたが、セッション中盤、GT車両のアクシデントで赤旗中断となりました。このアクシデントにより破損したバリアの修復のために、セッションは再開されることなく公式練習1回目は終了。その時点でのタイムにより、このセッション8号車はブエミのタイムで4番手、7号車はコンウェイのタイムで8番手となりました。

 午前中のセッションで得られたデータを元に車両セットアップを調整したあと、予定よりも延長されることとなった公式練習2回目は、暖かく、ドライコンディションの下で行われました。2台のGR010 HYBRIDには、ミディアムとハードのタイヤコンパウンドの解析に焦点を移す前に、予選でのパフォーマンスを探る機会が設けられました。

 序盤にコンウェイとブエミがマークしたタイムにより、2台のGR010 HYBRIDはセッション前半、タイムシートのトップ2を占めました。8号車はブエミのタイムがそのままこの公式練習2回目のファステストタイムに。7号車は一旦ライバルに更新されましたが、その後小林がタイムアップを果たし、最終的には7号車が2番手で初日を終えることとなりました。

 チームは明日13日(土)の公式練習3回目までに車両セットアップとタイヤ戦略を最適化し、現地時間午後3時10分(日本時間14日(日)午前3時10分)の予選に臨みます。決勝レースは14日(日)午前11時半(日本時間午後11時半)にスタートが切られます。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

 ブラジルに戻ってくることができて嬉しいです。GR010 HYBRIDは2台共に全て順調で、良いスタートが切れました。前回レースをした時とはコース路面が変わっているので、これが今後どのように変化していくのか分析し、理解を深めていく必要があります。もう一回練習走行があるので、その機会を活かして予選、及び決勝へ向けた車両の準備と戦略を立てていくことを進めます。ベストを尽くし、予選がどうなるのか見てみたいと思います。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):

 再びGR010 HYBRIDのコクピットに戻ることができて本当に嬉しいです。身体は大丈夫だと思っていましたが、確証は持てませんでした。走ってみた感触は良く、自信を持ってこの週末へ臨むことができます。若干痛みはありますが、問題はありません。クルマの調子も良さそうですし、次のセッションも楽しみです。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):

 順調な一日だったと思います。初めてのコースでしたが、楽しめました。1周は短いですが、とても特徴的なコースで、今日はタイヤのグリップが低いながらも楽しみながらコースを学ぶことができました。各車のレベルがかなり接近していて、そのような中でも我々には競争力はあると思いますが、特にタイヤの面で、ロングランの時にどうなるのかを検証しなくてはなりません。まだやるべきことはありますが、まず良いスタートは切れました。次は予選でどこまで行けるかです。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):

 久しぶりのブラジルでの初日は、最初雨で、その後路面が乾くという、様々なコンディションになりました。狭いコースで多くの車両が走る中、トップ2で終えられました。ハイパーカー間の争いは非常に僅差なので、最大限のパフォーマンスを引き出すと共に、ロングランのペースも重要で、それが好成績へのキーとなるでしょう。今日は多くの良いデータが得られたので、これから作業を進めます。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

 良い一日でした。異なるタイヤコンパウンドをテストし、最初のセッションでは雨と赤旗により、車両セットアップはわずかな変更のみ行いました。全体的に、チームとして2台共に非常にスムーズなスタートが切れました。トップ2で初日を終えられたことは良かったですが、争いは非常に僅差です。これから夜を徹して作業を続け、全てのデータと学んだことを見直す必要があります。

平川亮(8号車 ドライバー):

 初日を終えて、良い調子だと思います。公式練習1回目のコンディションはトリッキーで、残念ながら赤旗により私は走る機会がありませんでした。しかし一転、午後のセッションでは多くの周回をこなすことができ、良いセッションとなりました。このコースを走ったのは今回が初めてですが、自信を持つことができました。コースが狭く、車両も多いので簡単ではありませんが、これまでのところは楽しんで走れています。

WEC第5戦サンパウロ6時間 公式練習第1回目結果

順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム
193ミケル・イェンセン
ニコ・ミュラー
ジャン-エリック・ベルニュ
プジョー・トタルエナジーズ/
プジョー 9X8
261:26.341
22アール・バンバー
アレックス・リン
キャデラック・レーシング/
キャデラック V-Series.R
211:26.520
36ケビン・エストレ
アンドレ・ロッテラー
ローレンス・バンスール
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963
261:26.567
48セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
221:26.777
583ロバート・クビサ
ロバート・シュワルツマン
イーフェイ・イエ
AFコルセ/
フェラーリ 499P
231:26.824
87マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
241:27.647

WEC第5戦サンパウロ6時間 公式練習第2回目結果

順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム
18セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
831:25.727
27マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
771:25.760
351アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
701:25.770
450アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
661:25.776
52アール・バンバー
アレックス・リン
キャデラック・レーシング/
キャデラック V-Series.R
651:25.869
GR010 HYBRID
GR010 HYBRID 8号車