TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、7月14日(日)に決勝が行われるFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間にて、シリーズタイトル獲得に向けシーズン後半戦に臨みます。
まだ記憶に新しい先月のル・マン24時間レースでは、TGRの2台のGR010 HYBRIDが最後まで白熱の戦いを繰り広げました。惜しくも勝利は逃しましたが、2台入賞で多くのポイントを獲得したことで、6シーズン連続の世界チャンピオンを目指し、ポイントリーダーのポルシェに対し12ポイント差で南米大陸へ向かいます。
ル・マンでは小林可夢偉とニック・デ・フリースが、負傷したマイク・コンウェイに代わってGR010 HYBRID 7号車をドライブしたホセ・マリア・ロペスと共に2位フィニッシュを果たしました。この結果、小林とデ・フリースはドライバーズランキング争いで首位と17ポイント差の3位につけており、残り4戦での逆転を目指します。ル・マン直前に自転車の事故で肋骨と鎖骨を負傷したコンウェイは無事回復し、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキット(以降 インテルラゴス)では小林、デ・フリースと共に7号車でレースに復帰します。
ディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、ル・マンのレース中、最も多くの周回で首位を走行しましたが、終盤の接触によりスピンを喫し、優勝争いから脱落。5位に終わりました。
サンパウロは、トヨタの耐久レース史においてマイルストーン的な場所でもあります。WECにおいて、トヨタが最初にハイブリッドのレースカーで勝利を挙げたのは、耐久レースに復帰して3戦目の、2012年インテルラゴスでした。そして2年後、トヨタは初のマニュファクチャラーズチャンピオンをサンパウロで決めています。
1周4.309kmで反時計回りのインテルラゴスは、サンパウロ出身でル・マンやF1でも活躍したドライバー、ホセ・カルロス・パーチェに由来するアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェという正式名を持ちます。インテルラゴスでのWEC戦は2014年以来、10年ぶりにWECのカレンダーに復帰しました。この伝統的なサーキットは、1940年に開設され、1970年代には国際的なレースカレンダーの一員として定着しました。
インテルラゴスでWECの最初のレースが行われたのは2012年と最近ですが、このサーキットではブラジル1000マイルレースという耐久レースが1950年代から開催されており、2007年には現在のWECシリーズの前身であるル・マンシリーズの1戦も開催されています。
WECブラジルラウンドのレースウィークは7月12日(金)に2回の90分間にわたる公式練習セッションで幕を開け、13日(土)の現地時間3時10分から行われる予選とハイパーポールでスターティンググリッドを決定。決勝レースは14日(日)午前11時半(日本時間午後11時半)にスタートが切られます。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
ル・マンからまだあまり日が経っていませんが、我々はレースが終わってすぐに、次の戦いへと目標を切り替えました。このサンパウロからシーズンは後半戦に入り、今はチャンピオン争いに全力を注いでいます。ル・マンで2位に入ったことでドライバーズランキングでのポジションこそ上がりましたが、まだライバル勢との差を縮めるためには大きな課題があります。GR010 HYBRIDでインテルラゴスを走るのは初めてなのでどうなるかわかりませんが、きっと激しい戦いになるでしょう。ブラジルのファンの皆様が熱狂的なことはよく覚えていますし、特別な雰囲気で迎えてくれると思います。今から楽しみです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
レースの現場に復帰できて嬉しいですし、早くまた走りたいです。ル・マンを遠くから見守るのは辛かったですが、私自身の中では可夢偉、ニック、ホセと共に波乱のレースを戦っていました。ただ、その一員としてその場に一緒に居られなかったのは本当に悔しい思いでした。ホセに任せておけば大丈夫だということはわかっていましたし、実際彼は素晴らしい仕事をしました。今はただ、またレースが戦えることが楽しみですし、上位で争って、可夢偉とニックのチャンピオン獲得に貢献したいと思っています。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
インテルラゴスでレースをするのは初めてですが、ブラジルでレースをしたことはあり、現地のファンの皆様の熱狂ぶりは知っています。彼らには長いモータースポーツの歴史があり、ドライバーとしてその中に加われるのは嬉しいです。インテルラゴスは一周が短く、かなり難しいコースなので、GR010 HYBRIDで走るとどうなるか楽しみです。またエキサイティングな上位争いを繰り広げられることを楽しみにしていますし、表彰台に立てればと思っています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
インテルラゴスでレースをするのは久しぶりですが、当時もチームとしていいパフォーマンスを見せていましたし、良い思い出のあるサーキットです。GR010 HYBRIDで走るのは初めてになりますが、このコースで速く走るためには何が必要かは分かっています。いつも通り、今回も非常に接近した、激しい戦いになるのは間違いないので、レースウィークの最初からスタートダッシュを決めて完璧な週末にする必要があります。全力を尽くし、結果を待つだけです。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
ル・マンからあまり間を空けずにまたレースができるのは嬉しいです。ル・マンで優勝争いに加われて楽しかったですが、あのような形で勝利を逃した悔しさもあり、それだけに数週間でまた戦いを再開できるのは良いことです。今回もまた非常に厳しい接近戦になるでしょうが、十分に休養も取りましたし、準備万端です。WECでのサンパウロ戦は10年ぶりとなりますが、ファンの皆様は大歓迎してくれるでしょう。また素晴らしいレースをお見せできると確信しています。
平川亮(8号車 ドライバー):
サンパウロは私にとって初めて訪れる街ですし、初めて走るサーキットなので、新たな挑戦にわくわくしています。シミュレーターではこのサーキットを走っていて、ある程度予測はできていますが、実際に走ってみて分かることもあると思います。インテルラゴスは多くの伝説を持つ、モータースポーツの世界ではとても有名なサーキットで、ブラジルのファンの皆様からの応援は信じられないほどだと聞きます。カレンダーに加わることを知って以来、このサーキットを実際に走れるのを心待ちにしてきました。早く走りたいです。