8月30日(金)、米国テキサス州オースティンで2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦ローンスター・ル・マンが開幕。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、初日の公式練習で熾烈さを増すハイパーカーバトルへ向けた準備を開始しました。
前戦ブラジル・サンパウロのインテルラゴスで今季2勝目を挙げたTGRは、マニュファクチャラーズ選手権で首位と4ポイント差まで詰め寄りました。しかし、TGRがまだ勝利を挙げたことのないサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での初日を終え、その勢いを維持できるか、厳しい挑戦が待ち受けています。
18台のハイパーカーが激しくしのぎを削るWECで唯一の北米開催となる今大会、猛暑のテキサスで走行を開始したTGRの2台のGR010 HYBRIDは、今回設定された出力及び車両重量調整の中、トップ10で初日を終えました。
前戦サンパウロを制したセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、本日の走行セッショントップだったフェラーリからコンマ5秒ほどの差で6番手、小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は10番手で初日を終えました。
90分ずつ2回の公式練習セッションで着実な進歩を遂げたチームは、チームスピリットと経験を活かし、9月1日(日)の決勝レースでGR010 HYBRIDから最大のパフォーマンスを引き出し、重要なポイントを持ち帰るべく努力を続けています。
予想されていたとおり、夏のテキサスならではの暑さの下で今日のセッションは開始されました。気温30度、湿度も高い厳しいコンディションの中、デ・フリースとハートレーがそれぞれ最初の走行を開始。セッション開始直後に赤旗が出され、約10分間の中断となりました。
チームは先月、ここCOTAで走行テストを行っています。GR010 HYBRIDにとって初めてCOTAを走ることとなったその3日間のテストでは、このチャレンジングなコースにおける高温下でのタイヤマネージメントの重要性が浮き彫りとなりました。そのため、このレースウィーク最初の公式練習走行では、ミディアムとハードのタイヤコンパウンド比較が、車両の空力及びメカニカルのセットアップと共に最優先事項となりました。
10分間のフルコースイエローはあったものの、公式練習1回目は7号車がデ・フリースのタイムで10番手、8号車はハートレーのタイムで15番手となりました。
公式練習2回目は、まず予選へ向けた準備を行い、その後はロングランでの走行プログラムへ切り替えました。セッション中盤に赤旗が出され8分ほど中断されましたが、チームは順調にプログラムを消化し一日を終えました。このセッションでは、開始早々にハートレーが記録したタイムで8号車が6番手、コンウェイのタイムで7号車が10番手となりました。
現地31日(土)の午前中に行われる1時間の公式練習3回目は、現地時間午後3時40分(日本時間翌9月1日午前5時40分)から開始される、予選とハイパーポール前に車両をセットアップする最後の機会となります。6時間で争われる第7回ローンスター・ル・マンの決勝レースは、9月1日(日)午後1時(日本時間翌2日午前3時)にスタートが切られます。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
今日はずっとクルマの改善作業を続けていました。ハイパーカークラスのラップタイムは非常に近接しており、更なるパフォーマンスを見出すべく全力を尽くしています。正直なところ、我々は最速の1台ではありませんので全てを上手くまとめる必要があります。クルマから最高のパフォーマンスを引き出し、ミス無く戦うことが鍵になります。明日はコースコンディションの理解を深めて、それに合わせた準備をする必要があります。そうすれば良いパフォーマンスを見せることができるはずです。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
今日は幾つかのテスト項目をこなし、タイヤへの理解を深めました。コース路面の進化は著しく、公式練習1回目から2回目にかけて感触が良くなったのはそのせいかも知れません。フェラーリ、キャデラック、ポルシェといったライバルは強そうです。我々は決勝に集中して、もう少しペースを上げられるよう努力しています。タイヤのグリップも高いですし、高速でエキサイティングなレースになりそうなので楽しくなりそうです。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
ここオースティンはとても暖かい一日で、とても楽しめました。今日の2度のセッションはクリーンで生産的でした。路面が再舗装されたおかげで、コースコンディションの向上代がとても大きかったです。以前ここを走ったときは路面がとても荒れていて凹凸が多かったのですが、今日はとても良くなっていました。良い一日で、走行を楽しめました。我々の競争力はそれなりにあるように見えますが、ハイパーカーは非常に接近しているので、挑戦となるでしょう。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
オースティンに戻って来られたのは嬉しいですし、先月のテストで開始した作業を続けられるのは良いことです。今日は多くの周回を重ねることができ、多くの分析すべきデータが得られたので、良い一日になりました。予想通りの暑さで、タイヤが大きな要素となることは明らかなので、今日行ったタイヤ関連の作業は重要でした。ハイパーカー間の争いは非常に接近しているので、まだまだ改善を続ける必要があります。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
順調な一日でした。公式練習1回目では、幾つかのタイヤテストを実施し、決勝へ向けて明確な方向性を見出すことができたので良かったです。公式練習2回目は競争力向上が見られました。公式練習1回目ではまだ競争力が足りませんでしたが、2回目では感触も良くなり、まだライバルとの差はあるものの少しは近づけたと思います。ペースがまだ少し足りないので、更なるパフォーマンス向上へ向けて、今夜も作業を続けます。
平川亮(8号車 ドライバー):
悪くないスタートでした。公式練習1回目から2回目にかけて、良い進歩を遂げられたと感じています。1日が進むにつれてクルマの感触が良くなっていったので、その進歩には満足していますが、まだ上位を争うまでには到っていませんし、特にフェラーリが強そうです。予選と決勝へ向けて改善を進めていく必要があり、やるべきことはまだ沢山あります。これまでのところは良い仕事で進歩もできているので、この調子で頑張ります。
WEC第6戦ローンスター・ル・マン 公式練習第1回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 32 | 1:53.574 |
2 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 39 | 1:54.034 |
3 | 38 | ジェンソン・バトン フィル・ハンソン オリバー・ラスムッセン | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 33 | 1:54.051 |
4 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 38 | 1:54.118 |
5 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 35 | 1:54.186 |
10 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 34 | 1:54.620 |
15 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 33 | 1:55.060 |
WEC第6戦ローンスター・ル・マン 公式練習第2回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 34 | 1:52.268 |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 38 | 1:52.320 |
3 | 20 | シェルドン・ファン・デル・リンデ ロビン・フラインス レネ・ラスト | BMW M TEAM WRT/ BMW M Hybrid V8 | 17 | 1:52.383 |
4 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 39 | 1:52.533 |
5 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 40 | 1:52.705 |
6 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 41 | 1:52.788 |
10 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 38 | 1:53.052 |