5月8日(木)、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで、2025年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦、スパ・フランコルシャン6時間の公式練習が行われ、モータースポーツの中でも美しく、チャレンジングなサーキットの一つとして知られるこの場所で、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDも走行を開始しました。

厳しい状況の中でも、チーム全体の努力によってシーズン最初の2戦で2台のGR010 HYBRIDともにポイントを獲得した後、TGRは高速レイアウトのここスパ・フランコルシャンに挑みます。このサーキットは、クルマとドライバーの実力が試される場所であり、これまでに8回の勝利を収めている実績があります。
チームは、伝統あるこのベルギーのサーキットで行われた初日の2度の練習走行をこなし、10日(土)の決勝レースに向けた車両のセットアップを開始。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は7番手、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は12番手でこの日の走行を終えました。
穏やかな好天に恵まれたこの日、TGRは公式練習1回目でミディアムコンパウンドのタイヤを装着し、決勝に向けた準備を始めました。ドライバーたちは今シーズンのWECで2番目に長い1周7.004kmのコースの感触を思い出しながら、様々なメカニカル面の車両セットアップについてフィードバックを行いました。
公式練習2回目ではロングランによるタイヤの評価が予定されていましたが、3度の赤旗によって1時間近く中断されました。それでも、セッションは予定の1時間半から30分間延長され、2台のGR010 HYBRIDはトラブルなく走行を完了し、車両のフロントとリアのセッティングやピットストップの練習も行い、このセッションを終えました。
エンジニアとドライバーが初日の2度のセッションで収集したデータの詳細な分析や、現地明日9日(金)の予選を前に行われる集中的な打ち合わせを通して、チームはGR010 HYBRIDのセットアップ最適化に向けた指針を決めていきます。金曜日の午前中に行われる公式練習3回目は、現地時間午後3時25分(日本時間午後10時25分)から開始される予選前にセットアップを比較する最後の機会となります。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
スパに戻ってこられて嬉しいです。スパはドイツ・ケルンのチーム本拠地から1時間ほどの距離にあり、チームにとって二つ目のホームコースでもあります。今日は様々な混乱もあり、完璧な公式練習セッションをこなせたチームはなかったと思いますが、仕方ありません。我々のクルマには問題がなく、赤旗による中断を考慮すれば、全体的にスムーズに進んでいると言えるでしょう。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
テストしたいことをしっかりこなせたという意味では、順調な一日だったと思います。パフォーマンス的にはやや厳しい状況に見えるため、この週末がどうなるかは予想できませんが、今のところはうまくやれていると思います。このレースでは、何よりもタイヤのマネジメントが重要なので、それを適切にコントロールする必要があります。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
この素晴らしいコースであるスパで再びドライブできて嬉しいです。公式練習2回目は何度も中断やアクシデントがあったために、全体の状況を把握するのは難しかったですが、我々はパフォーマンスの限界を探りながら改善点を見つけています。現時点ではトップ10圏内に入っており、大きな問題はなさそうですが、これからどうなるか見てみましょう。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
全体的に見れば、いろいろなことがあった一日でしたが、我々のクルマには問題はありませんでした。多くの赤旗やフルコースイエローが出たため、状況を明確に把握するのは難しかったです。しかし、数週間前にテストでここに来た際に多くを学び、今日はさらにそれを発展させることができました。これからすべてを見直し、分析して明日へ向けてセットアップを最適化します。クルマのポテンシャルを最大限に引き出すために、いくつかの変更を行う予定です。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
ピットガレージの中でも外でも、トラブルなくクリーンな一日でした。セッションでの中断はすべてのチームにとって同じですが、走行の機会が少なかったということでもあります。我々は数週間前にここでテストを行っているので、できる限りの準備は整っていると感じていますし、今日の2度のセッションを通じてクルマのバランスにも改善が見られました。与えられた時間を最大限に活用できたと思います。
平川 亮(8号車 ドライバー):
予定していた走行プログラムが多くのアクシデントで妨げられてしまいました。昨年の大会後に再舗装されたセクションでのタイヤの挙動を学ぶため、ロングランに取り組みました。いくつかのコーナーではグリップが向上している一方で、下がっているコーナーもありました。最終的には良い作業ができ、中断もあった中でこれらプログラムを最大限にこなせたと思います。私自身はここでのテストには参加していなかったので、もう少し多く周回を重ねたかったですが、状況を考えれば仕方ありません。決勝へ向けて全力で準備を進めます。
WEC 第3戦 スパ・フランコルシャン6時間 公式練習第1回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 35 | 2:02.835 |
2 | 83 | ロバート・クビサ イーフェイ・イエ フィル・ハンソン | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 35 | 2:03.057 |
3 | 36 | ジュール・グーノン フレデリック・マコヴィッキィ ミック・シューマッハ | アルピーヌ・エンデュランス・チーム/ アルピーヌA424 | 27 | 2:03.094 |
4 | 93 | ポール・ディ・レスタ ミケル・イェンセン ジャン-エリック・ベルニュ | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 34 | 2:03.294 |
5 | 94 | ロイック・デュバル マルテ・ヤコブセン ストフェル・バンドーン | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 34 | 2:03.578 |
9 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 36 | 2:04.179 |
13 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 35 | 2:04.545 |
WEC 第3戦 スパ・フランコルシャン6時間 公式練習第2回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 6 | ケビン・エストレ ローレンス・バンスール パスカル・ウェーレイン | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 26 | 2:01.475 |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 22 | 2:01.566 |
3 | 20 | レネ・ラスト ロビン・フラインス | BMW M TEAM WRT/ BMW M Hybrid V8 | 29 | 2:01.785 |
4 | 12 | アレックス・リン ノルマン・ナト ウィル・スティーブンス | キャデラック・ハーツ・チームJOTA/ キャデラック V-Series.R | 27 | 2:01.896 |
5 | 5 | ジュリアン・アンドラウアー ミカエル・クリステンセン ニコ・ミューラー | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 27 | 2:01.984 |
7 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 27 | 2:02.117 |
12 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 30 | 2:02.932 |


