WEC 2025年シーズン 第3戦 スパ・フランコルシャン6時間 決勝 TOYOTA GAZOO Racing、
逆境を跳ね返す!8号車が15番手から4位フィニッシュ、
7号車も7位まで追い上げ、後方グリッドからのダブル入賞!

2025.05.11(日)- 08:15配信

 5月10日(土)、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで2025年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦、スパ・フランコルシャン6時間の決勝が行われ、後方グリッドからのスタートしたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは、ドラマに満ちたレースを果敢に戦い抜き、2台揃ってポイントを獲得しました。

WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースにて4位フィニッシュを果たしたGR010 HYBRID 8号車

 来月行われるル・マン24時間で6勝目を目指すTGRにとって、このスパがル・マン前の最後のレースとなります。チームは厳しい予選結果を乗り越え、ドライバーの力強い走りと考えられたレース戦略を駆使して、貴重なポイントを獲得しました。

 セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、攻めのピット戦略で、激戦の末に4位でフィニッシュ。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID は7位でフィニッシュしました。

 この日のスパ・フランコルシャン・サーキットは好天に恵まれ、ドイツ・ケルンにあるチーム本拠地とベルギー拠点のトヨタ・モーター・ヨーロッパから応援に来た多くの従業員も含む、約10万人の観客がこの週末を通して訪れました。グランドスタンドを埋め尽くした大観衆が見守る中、現地時間午後2時に、6時間にわたる激戦の幕が切って落とされました。厳しい予選結果により、ハートレーがドライブする8号車は15番手、コンウェイの7号車は16番手からスタートしましたが、2台とも序盤からポジションを上げるべく激しいバトルを繰り広げました。

 最初のスティントでは、18台のハイパーカーによる緊迫した接近戦が各所で展開される中、TGRの2台のGR010 HYBRIDも追い上げを開始しました。正確かつアグレッシブなドライビングにより、2台のGR010 HYBRIDはトップ10圏内をうかがう位置まで浮上しましたが、コンウェイはスタートから23分のところで右前方タイヤのパンクに見舞われ、クラス最後尾へとポジションを落とすこととなりました。

 2時間が経過する前にバーチャルセーフティカーが導入されたため、7号車のコンウェイは、グリーンフラッグ下でのピットストップよりも少ないタイムで次のピットストップを行い、これにより7号車はトップ10圏内に浮上。2時間半を経過したところでピットインし、7号車は小林に交代、そして8位でコースへ復帰しました。一方、8号車は11位で平川へとバトンを渡しました。

 小林はポルシェ5号車とのスリリングな7位争いを繰り広げるも、コースオフ。しかし、小林は諦めることなく再度アタックを仕掛け、数周後にポルシェ5号車をかわすことに成功しました。これにより、レースが折り返しを迎える頃に出されたセーフティカー時のピットインで、ポジションを上げるチャンスを得ました。全車が一斉にピットへ向かう中、2本のみのタイヤ交換という作戦と迅速なピット作業により、小林の7号車は3位で再スタートを迎えることになりました。

 その再スタート後、小林の7号車はフェラーリ勢からの猛追を受けることになりました。集団でのバトルの中で、バス・ストップ・シケイン(コース最後のシケイン:ターン18、19)でブレーキをロックさせた7号車はコースオフを喫し、7位へとポジションダウンを余儀なくされました。

 4時間を迎える直前に2度目のセーフティカーが出され、2台のGR010 HYBRIDは共にピットへ向かいドライバーを交代。デ・フリースの7号車は4位、ブエミの8号車は9位でコースに復帰しました。この時点で、ブエミは2012年のデビュー以来、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRIDと共にWECでの決勝出走回数が89回となり、WEC史上最多記録に並びました。

 最後の2時間は、ピット戦略での争いとなりました。8号車は他の車両よりも早めにピットインし、コース上の混雑を避ける作戦を採り、その結果、ブエミはさらに速いラップタイムで周回を重ねていきました。ライバル勢がいつも通りのピットストップを行う中、ブエミの8号車は最後の給油ストップまで一時首位を走行。残り45分で8号車は最後のピットへ向かいました。

 一時は10位まで順位を落とした8号車でしたが、その後、他の車両が次々と最後の給油のためにピットへ向かったことで、順位を徐々に上げていき、レース残り時間が少なくなる中で、ブエミは4位までポジションアップ。デ・フリースの7号車も最後まで順位争いを繰り広げ、7位でフィニッシュし、TGRは今季開幕から3戦連続で2台とものポイント獲得となりました。

 次戦は6月14日(土)から15日(日)にかけて決勝が行われるシーズンハイライト、ル・マン24時間です。TGRはサルト・サーキットでの6勝目を目指します。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

 4位と7位というのは、今大会の我々にとって最高の結果だと言えます。2台の戦略を分けたため、我々の7号車は順位を落としましたが、8号車が素晴らしい走りで4位フィニッシュを果たしてくれました。この週末、チーム全てのメンバーとドライバーが素晴らしい仕事をした結果であり、彼らの多大な努力に感謝したいと思います。次はル・マンの大舞台です。必要なパフォーマンスを見出すべく努力を続けて行きます。再びル・マンでの勝利に挑むのが楽しみです。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):

 今日のレースは刻々と展開が変わり、多くのアクシデントもありました。私のスティントではパンクに見舞われ、戦略を変更せざるを得ませんでした。しかし、すぐ後にバーチャルセーフティカーが導入されたのは幸運でした。最終的には、8号車が変則的なピット戦略を採り、それが効を奏しました。彼らはよくやったと思います。2台揃って選手権ポイントを獲得できました。上位を争うライバルにはペースでは及ばなかっただけに、予想以上の結果でしたが、もっと上を目指していかなければなりません。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):

 チームとして厳しいレースでしたが、4位と7位フィニッシュという結果は良かったと思います。今週の我々のパフォーマンスを考えれば、これが最大限の結果だったのは間違いありません。大変な挑戦でしたが、全力を尽くして必死に戦い、チャンスを上手く活かしました。チームとして、この週末に持っていた力を最大限に引き出せました。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):

 全て考えて、この結果には満足しています。ピット戦略を上手く変化させ、ポジションを上げていくという素晴らしい戦いでした。チーム全員が最大限のパフォーマンスを発揮した結果で、これ以上は難しかったと思います。高い信頼性と考えられた戦略を実行し、コース上のトラフィックの中でもミスを犯すことはありませんでした。もっと上位でフィニッシュしたかったですが、素晴らしいレースパフォーマンスだったと思います。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

 波乱のレースでした。我々は2台揃って後方グリッドからスタートしました。ペースではライバル勢には及ばなかったものの、素晴らしいチームワークを発揮できたと思います。良い戦略で、集中力を切らさず戦い続けた結果、一時は表彰台の可能性も見えました。ただ正直なところ、4位が現実的に達成できる最良の結果でした。とはいえ、予選を終えた時点では、この結果は夢にも思いませんでした。メカニック、エンジニア、そしてドライバー全員が完璧なレースを戦いました。表彰台でのシャンパンファイトを早く味わいたいですが、今日のこのポイントフィニッシュは素晴らしい結果です。

平川亮(8号車 ドライバー):

 厳しいレースでしたが、結果には満足しています。予想通り、多くのアクシデントがあったレースでしたが、我々は忍耐強くクリーンに戦い続けました。時には困難な状況もありましたが、戦略を最大限に活かし、適切な判断ができました。このレースウィークを通して、チームが本当に尽力し、苦しかった予選を乗り越えて決勝での努力が実を結んだことは本当に嬉しいです。次戦のル・マンへ向けて状況は悪くないと思いますので、引き続き努力を続けて行きます。

WEC第3戦 スパ・フランコルシャン6時間 決勝結果

順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
151アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
150
250アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
1504.229
336ジュール・グーノン
フレデリック・マコヴィッキィ
ミック・シューマッハ
アルピーヌ・エンデュランス・チーム/
アルピーヌA424
1505.148
48セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
15032.760
512アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス
キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R
15035.966
77マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
15046.022
WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースにて7位フィニッシュを果たしたGR010 HYBRID 7号車
オールージュを駆け上がるGR010 HYBRID