WEC2025年シーズン第4戦ル・マン24時間 プレビュー TOYOTA GAZOO Racing、
6度目の栄光へ!ル・マン制覇を目指す

2025.06.06(金)- 17:00配信

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、6月14日(土)から15日(日)に開催されるシーズン第4戦の第93回ル・マン24時間で、激戦が繰り広げられているハイパーカークラスでの総合優勝を目指します。今年は、トヨタが耐久レースで最も格式の高いル・マンに初めて挑戦してから40周年を迎える節目の年になります。

サルト・サーキットを走行するGR010 HYBRID 8号車(2024年)
2024年シーズン第4戦ル・マン24時間より

 TGRはGR010 HYBRIDで、8つのメーカーから21台が参戦するハイパーカークラス間の熾烈な競争に挑み、サルト・サーキットでの6度目の勝利と、FIA世界耐久選手権(WEC)のチャンピオンタイトル争いで重要なポイントを獲得することを目指しています。ル・マンでは通常のレースの2倍の選手権ポイントが獲得できるため、タイトル争いにおいて非常に重要なレースとなっています。TGRは開幕からの3戦で厳しい闘いを強いられながらも、2台とも全戦でポイントを獲得しており、現在のマニュファクチャラーズランキングでは2位に位置しています。

 トヨタが初めてル・マンに挑戦してから40周年となる今年、TGRは2台のGR010 HYBRIDへ記憶に残る伝統と現在の戦う精神を象徴した特別なカラーリングを施し、レースウィーク通して32万人ほどの来場が予想される大観衆の前で勝利を目指して戦います。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースがドライブするGR010 HYBRID 7号車は、1998年のル・マンに参戦した、トヨタGT-Oneとして知られるTS020をモチーフにした赤と白のカラーリングをまといます。この特別なカラーリングは、耐久レースの長い歴史とファンの皆様の熱気を結びつけ、モータースポーツへの情熱をさらに高めることを狙いにしています。一方、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、「現在」を表現したマットブラックのカラーリングで挑みます。このなじみ深いカラーリングは、チームの「負け嫌い」という精神を表現するGRロゴを中心に、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と進化を続ける「プロトタイプ」コンセプトを反映しています。

 TGRのル・マンへのカウントダウンは、5月7日にドイツ・ケルンのチーム本拠地で行われた社内イベントから始まりました。GR010 HYBRIDの心臓部とも言えるハイブリッド・パワートレーンが日本の東富士研究所から到着し、チームメンバーと本拠地ケルンの従業員が「決して諦めない」精神で一丸となり、ル・マンでの勝利を目指す決意を示しました。ル・マン24時間の実際のコースでの走行は6月8日(日)のテストデーから始まり、この日はレースウィークでの走行が開始される11日(水)の前に、公道を一部使用するサルト・サーキットのフルコースを走行できる唯一の機会となります。

 今年は、1985年にトヨタが初めて公式にル・マン24時間に参戦してから27回目のレースとなります。これまでの26回の参戦で、合計61台のトヨタ車両がサルト・サーキットで戦い、5勝を挙げるとともに、18回の表彰台と8度のポールポジションを獲得してきました。特に2017年に小林可夢偉がサルト・サーキットで樹立したコースレコードは現在も破られていません。

 トヨタは、24時間以上におよぶレースという過酷な状況下で、高温や激しい振動に耐えるコンポーネントの開発が求められるル・マン参戦を通じて、技術を進化させています。2012年に現行のWECに復帰して以来、トヨタは一貫してハイブリッド・パワートレーンで戦い、優れたパフォーマンスと高効率を両立させるために技術の強化を進めてきました。2025年仕様のGR010 HYBRIDは、200kW(272PS)のハイブリッド・モーターで前輪を駆動する4輪駆動で、車両のリアに搭載された3.5リッターV6ツインターボエンジンは100%再生可能原料を用いたバイオ燃料からそのパワーを生み出します。

 今大会では、GR010 HYBRIDのユニークなカラーリングに加え、トヨタ参戦40周年を祝うファンエリアがサーキット内のマニュファクチャラーズビレッジに設置されます。また水素ビレッジでは、水素技術を活用したレースプロジェクトの進展を紹介し、モータースポーツがカーボンニュートラルで持続可能な未来を実現するための技術開発に関する展示を行います。

 現地を訪れるファンの皆様は、6月7日(土)にル・マンの市街地中心で行われる伝統の公開車検で、間近にGR010 HYBRIDを見ることができます。また、GR010 HYBRIDは同日午後3時から市内をパレードする予定です。走行は11日(水)から始まり、2回の練習走行セッションの間に行われる予選で、上位15台のハイパーポール進出が決まります。この15台は翌12日(木)の午後9時5分から行われる20分間のハイパーポール1で競い、上位10台が同日午後9時40分からの15分間のハイパーポール2へ進出します。この結果から、最終的なトップ10グリッドが決定されます。翌13日(金)のル・マン市内で行われるドライバーズパレードの後、決勝レースは14日(土)の現地時間午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られます。

 TGRは、ル・マン24時間の特設サイト*を通じて、世界中のファンの皆様にル・マンの歴史と挑戦を詳しく体験できる機会を提供しています。このサイトでは、チーム情報やサルト・サーキットにおけるトヨタの40年にわたる挑戦の歴史、さらに2台のGR010 HYBRIDのライブオンボードカメラ映像などが含まれています。
*ル・マン24時間特設サイト:https://toyotagazooracing.com/jp/wec/special/2025/24h-lemans/

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

 トヨタが初めてル・マンに挑戦してから40周年という記念すべき年に、象徴的なTS020をイメージしたカラーリングで臨みます。見た瞬間、「本当にクールでカッコイイ!」と思いました。私はこのデザインが大好きで、皆さんも一緒に楽しんでいただけることを願っています。我々がル・マン24時間を戦うのは、勝利を目指す挑戦だけでなく、技術開発の側面もあり、この40周年というのは重要だと思っています。トヨタのル・マン初挑戦は、市販車両の内燃機関エンジンを使用して始まり、その後レース専用エンジンへと進化しました。現在ではハイブリッドシステムを使用しており、将来的には水素が使われることになるでしょう。我々は技術開発のためにここにいます。今年こそ絶対に勝利を目指します。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):

 私は昨年、負傷のためにレースを欠場したので、ル・マンに戻るのが待ちきれません。あれから時間はあっという間に過ぎ、ル・マンのレースウィークが来るのが本当に楽しみです。ル・マンは常にシーズン最大の目標であり、このレースに向けて開発を集中的に進めてきたので、チームにとっても特別な1週間になります。私自身も興奮していますが、チーム全体も興奮していて、トヨタのル・マン初挑戦から40周年ということもあり、特別なレースになることでしょう。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):

 ル・マンについて考えると、その歴史やこのレースの格式の高さ、重要性がよく分かります。ル・マンで優勝したドライバーは、何十年にもわたる歴史の一部として記憶されます。多くの偉大な名前が並ぶ中で、その一員になることは私の夢です。ル・マンは非常に困難なレースで、勝つのは本当に難しいです。だからこそ、このレースは特別なのです。昨年2位でフィニッシュしたことは素晴らしい結果でしたが、長いレースの後は多くの思いが交錯し、ほろ苦い気持ちでもありました。今年こそはそれを挽回したいと思っています。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):

 ル・マンは、我々にとってシーズンで最も重要なレースであり、参戦できることはいつでも喜びです。このレースでは、緊張感や興奮、そして良い結果を目指す決意など、さまざまな特別な感情が交錯します。土曜日にレースがスタートすると、非常に過酷な24時間が待っていますが、チームは我々に最高のチャンスを与えてくれるために、数ヶ月間本当に頑張ってくれました。希望を胸に、また表彰台の最上段を目指します。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

 我々は全員、ル・マンに向けて燃えています。今年はトヨタ参戦40周年という特別な年であり、準備は整っています。昨年のル・マンが終わった翌日から、このレースへ向けてずっと取り組んできたので、勝利を目指して戦いたいと思います。大きな課題が待ち受けていることは誰もが理解しており、上位で戦うためには、それぞれのステップを完璧にこなす必要があります。しかし、チームがこれまでに積み重ねてきた努力を私はよく知っていますし、今季これまでの3戦で、我々が持っている力から最大限のパフォーマンスを引き出せることを示してきました。準備は万端です。

平川亮(8号車 ドライバー):

 ル・マンがついにやってきました。今年は我々にとって特別な年です。ル・マンはいつでも素晴らしい体験で、多くのファンの皆様の前でこの素晴らしいサーキットを走るのは常に喜びですが、今年はトヨタ参戦40周年という特別な年なので、さらに楽しみが増します。昨年は激戦の中で勝利を逃しましたが、今年は再び勝利を目指して戦う準備が整っています。厳しい戦いになるでしょうし、簡単ではないと思いますが、我々は準備万端です。多くの準備を重ねてきたので、レースウィークを心待ちにしています。優勝を目指して頑張ります。

ニック・デ・フリース、小林可夢偉、マイク・コンウェイ、セバスチャン・ブエミ、平川亮、ブレンドン・ハートレー
サルト・サーキットを走行するGR010 HYBRID(2024年)