9月7日(日)、アメリカ・テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で2025年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦ローンスター・ル・マンの決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは悪天候の混戦の中で健闘し、8号車が9位、7号車が14位でフィニッシュしました。

厳しいコンディションの中、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の8号車は最後まで激戦を繰り広げ、9位でポイントを獲得。一方、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス、ニック・デ・フリースの7号車は、コースオフにより順位を落とし、14位でレースを終えました。
ヘビーウェットの滑りやすい路面では、序盤から多重クラッシュなどアクシデントが相次ぎました。ドライバーたちは限界に挑み、そして週末を通してサーキットに集まった66,217人の熱狂的な観客は、悪天候にも負けず劇的な6時間の戦いを最後まで見守りました。
スタート直前から雨が強まり、セーフティカー先導でレースがスタートしました。最初の1時間はセーフティカー走行が続き、その後赤旗により中断。ファンとチームは約2時間、辛抱強く待つことになりました。セーフティカーが退去して本格的にレースが始まると、8号車のハートレーは7位、7号車のデ・フリースは17位を走行。その後、ハートレーは10位に順位を落とす一方、デ・フリースは13位へとポジションを上げ、その数周後に再びセーフティカーが導入されました。
レースが再開された後、デ・フリースは猛追を続け、ライバルを数台かわしてトップ10圏内に浮上。レース折り返し間近に再度セーフティカーが導入され、このタイミングで7号車はロペスへ、2度のコースオフを喫した8号車のハートレーは11位で平川にドライバー交代しました。
3時間経過後も雨脚が強まり、コンディションは悪化。再スタート後もアクシデントが続出しました。平川の8号車はLMGT3クラス車両に接触されスピンし、15位まで順位を落とすも、11位まで挽回。残り2時間強でブエミへステアリングを託しました。7号車はロペスが2度のスピンを喫するなど苦戦を強いられ、13コーナーでコースオフしてグラベルに捕まったことで上位争いから脱落。セーフティカー走行中にコース復帰し、小林にドライバー交代しましたが、順位は17位に落ちました。
レースは再開後にもすぐセーフティカーが入るなど、終盤まで荒れた展開が続きました。8号車のブエミは残り1時間半で8位に順位を上げ、フェラーリ83号車と順位争いを繰り広げました。最後の30分には天候が回復し路面は乾き始め、7号車の小林はスリックタイヤに交換しましたが、アウトラップでスピンを喫しました。
8号車のブエミは終盤をクリーンに走り切り、9位でチェッカーを受け、7号車の小林は4周遅れの14位でフィニッシュ。チームは気持ちを切り替え、9月28日(日)にホームコースの富士で開催される富士6時間レースでの雪辱に向けて準備を進めます。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
今日は厳しい一日でした。一時は8位まで順位を上げましたが、我々のペース的にそれ以上は望めないことは分かっていました。グラベルに捕まった時点でチャンスは失われ、あとは完走させることしかできませんでした。今大会は本当に厳しいレースウィークでした。次戦の富士は非常に大きな一戦なので、強くなって戻ってきたいと思います。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
我々の2台共に厳しいレースとなり、コンディションにも苦しみました。グリップが全く得られませんでした。望んでいたレースはできませんでしたが、後悔はありません。1年以上ぶりのハイパーカーでのレースで、あのコンディションで戦うのは本当に難しかったです。しかし、この経験が我々を強くし、チームは必ず巻き返してくれるはずです。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
非常に難しいコンディションと状況の中でのレースでした。最後尾からスタートしましたが、いくつかのアクシデントに見舞われるまで前半はまずまずの展開でした。結局、ペースが不足しており、上位争いに加わることはできませんでした。今大会我々には十分な競争力がなかったので、上位争いに復帰するためにもパフォーマンスを取り戻す必要があります。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
今日の天候はドライバーだけでなく、サーキットにいた全ての人にとって過酷でした。そんな中でも応援を続けてくれたファンの皆様に感謝します。全力を尽くしましたが、望んだ結果は得られませんでした。今日は上位争いに加わることができませんでしたが、シーズン残りのレース、特にホームとなる次戦富士6時間へ向けて改善してきます。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
非常に厳しい一日でした。チーム一丸となってクルマの性能を引き出そうと懸命に取り組みましたが、上位を争うだけのペースはありませんでした。大きなトラブルはなかったものの、上位を脅かすまでには至りませんでした。今日の経験は成長につながるものです。次戦、富士のホームレースでは良い結果を目指し全力で巻き返します。
平川亮(8号車 ドライバー):
ベストを尽くしましたが、今日は我々の日ではありませんでした。全車にとって非常に難しいコンディションでした。次戦はホームレースなので気持ちを切り替え、しっかり準備してより強くなって戻ってきたいと思います。この2戦は厳しい結果でしたが、富士では良い結果を期待しています。
WEC 第6戦 ローンスター・ル・マン 決勝結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | トップとの差 |
1 | 6 | マット・キャンベル ケビン・エストレ ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 120 | |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 120 | 8.625 |
3 | 94 | ロイック・デュバル マルテ・ヤコブセン ストフェル・バンドーン | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 120 | 9.541 |
4 | 93 | ポール・ディ・レスタ ミケル・イェンセン ジャン-エリック・ベルニュ | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 120 | 15.149 |
5 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 120 | 22.619 |
9 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 120 | 1:14.615 |
14 | 7 | 小林可夢偉 ホセ・マリア・ロペス ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 116 | 4 Laps |
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