3月7日(木)から9日(土)にかけて、サウジアラビア・ジェッダ市街地に特設されたジェッダ・コーニッシュ・サーキットで行われた2024年FIA-F2第2戦に、TOYOTA GAZOO Racing(TGR) WECチャレンジプログラムのドライバーである宮田莉朋が出場。F2参戦後初めてとなる市街地特設コースでのレースに挑み、スプリントレースは12位、フィーチャーレースは15位で完走を果たしました。

昨年、日本のスーパーフォーミュラとSUPER GTでダブルチャンピオンを獲得した宮田は、今季TGR WECチャレンジプログラムのドライバーとして戦いの舞台を海外へと移し、FIA-F2シリーズにロディン・モータースポーツからフル参戦しています。1週間前に行われた開幕戦サヒール大会では、フィーチャーレースで9位入賞、初ポイント獲得を果たしました。
開幕戦としてアラビア半島の東側、ペルシャ湾岸のバーレーンでレースを戦った宮田は、翌週末はアラビア半島西側、紅海に面した港湾都市、ジェッダ市街地に特設されたサーキットへと移動。今大会はベアマン選手が急遽F1に参戦するなど、F1の併催レースとして同一イベントならではの刺激も受けることとなりました。ジェッダは超高速なレイアウトながら、左右に壁が迫る市街地特設コースならではの難しさを併せ持つ難コースで、宮田にとって初となる市街地コースでの戦いぶりに注目が集まりました。
予選
7日(木)このコースが初経験の宮田にとって、予選、決勝レース前に走行できる唯一の機会となる45分間の練習走行が午後1時過ぎから行われましたが、このセッションでは開始14分ほどで壁にヒットした車両により赤旗中断。貴重な走行時間が奪われることとなり、宮田は正味30分ほどの練習走行で、日没迫る午後6時より30分間の予選に臨むこととなりました。
この予選セッションで宮田は、チームメイトと共に車両トラブルに苦しみながらのアタックに。それでも宮田は周回毎にタイムを更新していきましたが、トップから1.56秒遅れの20番手に終わりました。
【スプリントレース】
8日(金)のスプリントレースは、併催レースのクラッシュの影響で予定よりも10分遅れの午後6時20分より、ピットイン義務無しの120km(20周)もしくは45分+1周というフォーマットで争われました。スプリントレースでは予選の上位10台が逆順のスターティンググリッドとなります。
予選で20番手となった宮田は、他車のグリッド降格と欠場により18番手グリッドからスタート。1周目の1コーナーでは、中断グループで数台が接触するアクシデントが発生。宮田はこれを上手くかわし、16位へとポジションを上げました。
このアクシデントでセーフティカーが導入され、5周目からレースは再開。16位を走る宮田は、7周目のストレートで1台かわされ17位、さらに1コーナー進入でもパスされ、一旦は18位に後退するも、9周目に抜き返すバトルを展開しました。
10周目にコース上に停まった車両によりこの日2度目のセーフティカー。12周目に再開されると、宮田はこの再スタートで19位へとポジションダウン。
15周目に1台かわして18位へとポジションを上げた後、自己ベストを更新しながら周回を重ね、他の車両が数台脱落したこともあり、15位へとポジションを上げ、さらに前の車両との差を詰めると、ファイナルラップではさらに自己ベストを更新、チェッカー目前で前の車両をかわし14位でチェッカー。レース後の車検で2台が失格となったため、宮田はスプリントレース12位という結果となりました。
宮田莉朋:
「スプリントレースが終わり、結果は14位でしたが、ステップ・バイ・ステップで今はセッションを進めていますし、クラッシュが多い中でクルマもぶつけずに終わったということが収穫です。自分自身としてもクルマのバランスであったり、その時々のバランスにアジャストするのが難しくて、セットアップの部分でも苦戦中なのですが、チームと共に今一歩一歩進んでいるところなので、明日のフィーチャーレースもしっかり良いレースをしてポイントを獲得できれば上出来かなと思っています」
【フィーチャーレース】
9日(土)のフィーチャーレースは、タイヤ4本交換が義務付けられた170km(28周)もしくは60分+1周のフォーマットで午後4時25分に開始されました。
宮田は19番手からのスタート。このレースもスタート直後の3コーナーで接触によるアクシデントがありましたが、宮田はこれを間一髪で避け、15位へとポジションアップ。
このアクシデントでセーフティカーが導入され、4周目から再開されましたが、宮田はスタート時のグリッド位置違反によりピットでの10秒停止ペナルティを科されてしまいました。宮田は7周目にピットインしこのペナルティを消化した後、11周目に再度ピットへ向かい、タイヤを交換。しかし、この時にエンジンが止まってしまい、大きくタイムロス。周回遅れとなってしまいました。
一旦は周回遅れとなった宮田でしたが、15周目にコース上にスピンした車両が停まったことでこの日2度目のセーフティカーが導入され、このチャンスに宮田は首位と同一周回に復帰。17位でレースを再開することとなりました。
首位と同一周回に復帰したものの、セーフティカーからのレース再開時に前に追いつくまでには到らず、単独走行となった宮田は、終盤の24,25、26周目とその時点でのファステストラップを更新する好走を見せました。
最後は優勝したエンツォ・フィッティパルディにファステストを更新されましたが、アクシデントが多発した、初めて走る市街地でのサバイバルレースで、宮田は2戦ともにクラッシュなく完走を果たし、今後へ向け貴重な経験を積むこととなりました。
宮田莉朋:
「フィーチャーレースの結果は残念だったのですが、最後はファステストラップ争いにも加われましたし、少しずつ自分の走りとクルマとコースの理解を深めたところで終えられたので、ポジティブな要素はあります。僕自身としては市街地のコースはマカオ以来でしたが、マカオとは全く違うコースの狭さやスピード感覚、タイヤもクルマもそんなに経験を積めていない中でのサーキットだったので、色々とリスクは高かったのですが、クラッシュせず、まずは走り切れたという点はポジティブかなと思っています。
ベアマンのF1出場は、刺激にもなりましたし、僕もコロナ禍の時期にスーパーフォーミュラ・ライツとスーパーフォーミュラの両方に出たという経験もあるので、それに似たような感覚にもなりました。自分も頑張ればあの舞台に行けるかもしれないというのも見えたので、そういった部分でも良い刺激をもらえました。これからも努力を続けて行きたいなと思います。
今回は残念なレースウィークになりましたが、収穫も沢山得られましたし、チームと共にまたお互い歩み寄って良いステップを刻めたと思うので、メルボルンではしっかりその経験を活かして上位で争えるようにまた頑張りたいと思います」
FIA-F2第2戦 予選結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | ベストタイム |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | Oliver Bearman | PREMA Racing | 1:42.217 |
2 | 9 | Kush Maini | Invicta Racing | 1:42.242 |
3 | 7 | Jak Crawford | DAMS Lucas Oil | 1:42.376 |
4 | 1 | Victor Martins | ART Grand Prix | 1:42.397 |
5 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 1:42.420 |
6 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | PREMA Racing | 1:42.445 |
7 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 1:42.455 |
8 | 20 | Isack Hadjar | Campos Racing | 1:42.513 |
9 | 22 | Richard Verschoor | Trident | 1:42.585 |
10 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 1:42.638 |
20 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 1:43.777 |
FIA-F2第2戦 スプリントレース結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 20 | 0.728 | 4 |
2 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 20 | 1.510 | 1 |
3 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 20 | 4.712 | 9 |
4 | 5 | Zane Maloney | Rodin Motorsport | 20 | 7.493 | 15 |
5 | 7 | Jak Crawford | DAMS Lucas Oil | 20 | 9.127 | 8 |
6 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | PREMA Racing | 20 | 11.868 | 5 |
7 | 21 | Josep Maria Martí | Campos Racing | 20 | 14.391 | 10 |
8 | 9 | Kush Maini | Invicta Racing | 20 | 14.744 | 9 |
9 | 24 | Joshua Dürksen | PHM AIX Racing | 20 | 18.283 | 17 |
10 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 20 | 18.790 | 14 |
12 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 20 | 25.737 | 18 |
FIA-F2第2戦 フィーチャーレース結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 28 | 56:57.579 | 4 |
2 | 9 | Kush Maini | Invicta Racing | 28 | 7.895 | 1 |
3 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 28 | 9.348 | 6 |
4 | 7 | Jak Crawford | DAMS Lucas Oil | 28 | 9.379 | 2 |
5 | 16 | Amaury Cordeel | Hitech Pulse-Eight | 28 | 9.506 | 20 |
6 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | PREMA Racing | 28 | 10.044 | 5 |
7 | 5 | Zane Maloney | Rodin Motorsport | 28 | 10.442 | 15 |
8 | 22 | Richard Verschoor | Trident | 28 | 11.824 | 8 |
9 | 15 | Rafael Villagómez | Van Amersfoort Racing | 28 | 17.541 | 21 |
10 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 28 | 25.134 | 9 |
15 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 28 | 40.805 | 18 |
FIA-F2第2戦終了時ランキング
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | Zane Maloney | Rodin Carlin | 47 |
2 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 32 |
3 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 31 |
4 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 29 |
5 | 9 | Kush Maini | Invicta Racing | 27 |
6 | 21 | Josep Maria Martí | Campos Racing | 26 |
7 | 7 | Jak Crawford | DAMS | 24 |
8 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 15 |
9 | 2 | Zak O'Sullivan | ART Grand Prix | 14 |
10 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | PREMA Racing | 12 |
15 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 2 |

