WRC 第3戦クロアチア・ラリー デイ1 ドライバー選手権をリードするロバンペラが
6本のベストタイムで首位に立つ

2022.4.23(土)- 7:30配信

4月22日(金)、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦クロアチア・ラリーが開幕。クロアチアの首都ザグレブに置かれたサービスパークを中心に8本合計120.38kmのステージが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 69号車)が総合1位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合6位につけました。なお、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(4号車)はデイリタイアとなりましたが、デイ2での再出走を予定しています。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

新時代ハイブリッドラリーカー、GR YARIS Rally1で臨むシリーズ第3戦はクロアチア・ラリー。昨年初めてWRCとして開催されたこのラリーは、全ステージがターマック(舗装路)で行われる、今シーズン最初のフルターマックラリーです。ターマックとはいっても路面の舗装状態は刻々と変わり、路面のグリップも大きく変化。そのうえ、コーナーイン側の未舗装(グラベル)部分まで踏み込んで直線的なラインどりをする「インカット走行」により、掻き出された砂利や泥がターマック路面に広がり、非常に滑りやすくなります。さらに、デイ1は天候不良により午前中の4本のステージは雨が降る中で行なわれ、午後の再走ステージも中盤まで雨が残り、一日を通して雨用のウェットタイヤを装着しての戦いとなりました。

前戦ラリー・スウェーデンで優勝し、ドライバー選手権首位に立ったロバンペラは、雨のターマックラリーでは有利とされる出走順1番手で走行。それでも濡れた路面は滑りやすく、大きな水溜まりも所々にあり、一部区間では濃い霧が立ちこめるなど、非常にトリッキーなコンディションでした。また、午後の再走ステージの路面は、ロバンペラが走行する時点で既に掻き出された大量のグラベルで覆われ、午前中よりもさらに滑りやすい状態でした。そのような状況で、ロバンペラはSS1、SS2と連続でベストタイムを記録し総合1位に。SS3は2番手タイムでしたが、その後SS4からSS7までベストタイムを刻み続け、全8本のステージのうち6ステージを制し、総合2位に1分04秒という大きな差をつけ首位でデイ1を走り切りました。

昨年のこのラリーで、チームメイトのセバスチャン・オジエと最終ステージまで優勝を争い、総合2位を獲得したエバンスは、今大会では出走順が後方だったため、悪化した路面コンディションに苦戦。SS3ではベストタイムを記録しましたが、その他のステージではタイヤが2回ホイールのリムから外れるなどして大きくタイムを失い、午前中を終えた時点では首位ロバンペラから約2分遅れの総合8位でした。しかし、午後の再走ステージでは順位を挽回。総合5位と10.6秒差の総合6位で一日を終えました。前戦ラリー・スウェーデンで、今季初戦だったにも関わらず総合3位に入ったラッピは、SS1でクルマを路肩の大きな岩にヒット。右フロントのサスペンションにダメージを受け、残念ながらデイリタイアとなりました。しかし、サービスでクルマを修理の上デイ2に再出走する予定です。なお、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next GenerationからGR YARIS Rally1で出場の勝田貴元は、総合7位につけています。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
これほど難しいコンディションのラリーは珍しいですし、このような時は波乱の展開になることが多いので、一日を終えて我々のクルマがトップに立っているのは喜ぶべきことです。今日のカッレの走りは本当に素晴らしかったと思います。昨年はこのラリーをたった5kmしか走れなかったので、このようなパフォーマンスをカッレが発揮するとは予想していませんでした。彼が大きな自信を持って、自分の役割を果たしてくれていることを嬉しく思います。一方、他のドライバーにとっては困難な一日になってしまいました。エルフィンは、朝に起きた問題でリズムを作るのが難しかったと思いますが、それでもトップ5を争っています。エサペッカが最初のステージで止まったのは残念でしたが、明日は貴重な経験を積み、自信をつけてくれることを期待しています。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
本当に難しい一日でした。このようなコンディションで出走順が後方なのはきっと大変だろうと思っていましたし、タイヤが2回もホイールのリムから外れてしまったのは、理想的なことではありません。多くのクルマがコーナーのイン側をカットして走ったことで路面コンディションがどんどん悪化し、路面が泥で覆われていたため、ペースを大幅に落とすか、自分もコーナーのインをカットするかしか選択肢はありませんでした。ただし、SS3はインカットする場所が少なく路面が比較的クリーンだったので、掻き出された泥の影響をあまり受けずにすみました。午後は、かなり慎重に走ってしまったことで、あまり良いタイムが出ませんでした。明日も路面は完全には乾かないと思いますが、それでも再び走れることが楽しみです。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)>>
今日はとてもいい一日でした。午前中は、このようなコンディションに合っている出走順を最大限に活用しようと試みました。午後は、予想通り路面コンディションはさらに悪くなりました。午前中にインカットされた場所はどこも泥だらけだったので、午後は出走順が一番手であることのアドバンテージはあまりなかったように思います。また、いくつかのステージでは霧が出て雨も降っていましたが、それでもうまくプッシュしていいタイムを記録することができました。首位に立てたことは嬉しいですが、明日も長い一日ですし、何が起こるかわからないので、集中力を維持してペースをキープし、問題が起こらないようにする必要があります。コンディションがドライになり、より楽しんで走れるようになることを期待しています。

<<エサペッカ・ラッピ (GR YARIS Rally1 4号車)>>
SS1の序盤は良かったのですが、連続するコーナーの最初の左コーナーのイン側部分に泥が多くあり、そこをインカットして通過したことでタイヤが泥まみれになり、グリップ力が低くなっているだろうと予想して続く右コーナーのインに少し早めに入ったところ、路肩にあった大きな岩に当たってしまいました。そして、アンラッキーなことにサスペンションが壊れてしまったのです。開始早々に自分の愚かなミスで好結果を残すチャンスを失い、大きなフラストレーションを感じています。それでも、昨日のシェイクダウンではとてもいいフィーリングだったので、明日はチームが直してくれたクルマで、長い距離を走るのが楽しみです。

<<クロアチア・ラリー デイ1の結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 1h15m35.5s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m04.0s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m23.3s
4 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (フォード Puma Rally1) +1m35.2s
5 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m38.5s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m49.1s
7 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m28.0s
8 ヨアン・ロッセル/ヴァランタン・サリュウド (シトロエン C3 Rally2) +5m12.6s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ ファビア Rally2 evo) +5m48.9s
10 エリック・カミリ/ティボー・デ・ラ・ヘイ (シトロエン C3 Rally2) +6m11.8s
57 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ GR YARIS Rally1) +1h19m54.6s
(現地時間4月22日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
競技2日目となる4月23日(土)のデイ2は、4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。4本のうち3本のステージはデイ1と同じくザグレブの南西エリアが舞台となりますが、SS11/15は西に大きく移動し、アドリア海に面したリエカの町の近郊で行われます。8本のステージの合計距離は116.98km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は774.86kmとなります。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
カッレ・ロバンペラ
カッレ・ロバンペラ
4号車(エサペッカ・ラッピ、ヤンネ・フェルム)
4号車(エサペッカ・ラッピ、ヤンネ・フェルム)

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