WRC 第4戦ラリー・ポルトガル デイ2 過酷なコンディションでの戦いとなったグラベルステージ初日
エバンスが総合1位、ロバンペラが総合2位につける

2022.5.21(土)- 7:55配信

5月20日(金)、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・ポルトガルの競技2日目デイ2が、コインブラを起点に行われ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)が総合1位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車) が総合2位につけ、GR YARIS Rally1は初のグラベルステージで高いパフォーマンスを発揮しました。なお、セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組(1号車)は、タイヤにダメージを負いデイリタイアとなりました。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

木曜日の夜、古都コインブラ市街地のターマック(舗装路)ステージで開幕したラリー・ポルトガルは、金曜日の朝から山岳地帯に舞台を移し、グラベルステージでの戦いが始まりました。コインブラの東側に位置する、アルガニル地域は朝から天気が良く、日中は気温が30度を越える暑い一日でした。デイ2は8本合計121.67kmのグラベル(未舗装路)ステージを、日中のサービスなく走行するタフなコース設定。そのオープニングの2ステージでエバンスが連続ベストタイムを記録し、首位に立ちました。その後、SS4で一度総合2位に後退しましたが、SS5で再び首位に復帰。SS6とSS9でベストタイムを刻み、総合2位に順位を上げたロバンペラに、13.6秒差をつけてグラベルの初日を締めくくりました。

一方、ドライコンディションのグラベルステージでは不利となることが多い、1番手の出走順で金曜日を走行したロバンペラは、クレバーな走りでタイムロスを最小限に留め、じわじわと総合順位を上げて行きました。そして、午後のステージでは2本のベストタイムを記録し、SS8で総合2位に浮上。優勝を狙うことができる位置まで順位を上げて、デイ2を終えました。

開幕戦ラリー・モンテカルロ以来の出場となるオジエは、SS5でベストタイムを刻み、総合3位につけていました。しかし、午後の再走ステージは路面が非常に荒れ、軟らかい砂に覆われていた岩盤や尖った石が現れるなどタイヤにとって厳しいコンディションとなり、オジエはSS6とSS7で連続してタイヤの空気を失いました。残念ながらスペアタイヤを1本しか搭載していなかったため、競技を続行することができずデイリタイアとなりましたが、明日のデイ3で再出走する予定です。

なお、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next GenerationからGR YARIS Rally1で出場の勝田貴元は、SS6でハーフスピンを喫してタイムを失いましたが、それ以外のステージでは安定して速いペースを保ち、SS7とSS8では3番手タイムを記録。その両ステージでGR YARIS Rally1は、トップ3タイムを独占し、荒れた路面での信頼性とパフォーマンスの高さを証明しました。一日の最後のSS9でエバンスに次ぐ2番手タイムを刻んだ勝田は、総合3位のダニ・ソルド(ヒョンデ)と5.2秒差の、総合4位につけています。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
GR YARIS Rally1にとって、グラベルステージでの素晴らしい初日になりました。合わせて6回のステージ優勝により高いパフォーマンスを備え、技術的な問題もないことが証明されました。エルフィンは朝の最初のステージを素晴らしいタイムで走行し、その後も安定した走りを続けました。カッレは出走順がトップだったにも関わらず、素晴らしい仕事をしてくれました。彼が総合2位まで順位を上げ、2本のベストタイムを記録するなど、誰も予想していなかったはずです。また、貴元も総合4位につけ、表彰台を十分狙える位置につけています。午後のステージはきっと荒れるだろうと予想していましたが、実際は昨年よりもさらに荒れていたように思います。深い轍が刻まれ、多くの大きな石が掘り出されたからこそ、セブを含む何人かのドライバーは問題に遭遇してしまったのです。明日もまた長い一日なので、集中して戦い続けなければなりません。

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
今朝はあまりフィーリングが良くなかったのですが、いくつか調整を加えたところ良くなっていきました。午後は最初のステージでベストタイムを出し、いいスタートを切ることができましたが、残念ながらそのいいフィーリングを最後まで持ち続けることはできませんでした。仮にスペアタイヤをあと1本多く搭載していたとしても、良い結果を得るという望みは既に絶たれていました。午後のステージは路面が予想以上に荒れていて、大きな岩はすべて避けようとしたのですが、いたるところに鋭い石が散らばっていて、まるで運試しのような状況でした。もちろん、楽しんで走りながらも上位争いをするために出場したので、早々にデイリタイアすることになってしまったのは残念です。このクルマでグラベルを長距離走ったことがないので、明日以降はテストとして考え、有効に活用するつもりです。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
今日は本当に長くてタフな一日でした。特に午後のステージはクルマの中がとても暑く、コンディションも過酷で大変でした。午前中は、朝一番のステージから全てが順調でした。タイヤ選択については少し攻めすぎたかもしれず、最後に苦労しましたが、全体的にはいいスタートを切れたと思います。午後は路面が非常に荒れていて、運試しのような面もありましたが、上手くクリアすることができました。この週末、あれ以上悪い路面に遭遇しないことを願うばかりです。スピードに関しては十分ではなかったかもしれませんが、自分としては問題なく走り切ることと、速く走ることのバランスをとりながら走ったつもりです。優勝争いに加わることができているのは嬉しいですが、重要なのは日曜日の最終結果なので、まだまだ長い道のりが待っています。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)>>
今日の結果には満足しても良いのではないかと思います。総合2位につけていることは予想外ですが、自分としてはいい仕事ができたと思いますし、チームはラフなコンディションに負けない強いクルマを用意してくれました。トラブルを抱えていたクルマが多かったので、それは本当に重要なことだったと思います。ステージを一番手で走行し、再走ステージでさえも他の選手たちのために路面をクリーニングしながら走るのは本当に大変でしたが、問題が起こらないように、クレバーに走ることができました。明日は走行距離がとても長く、今日に続きタフな一日になると思いますが、ベストを尽くして頑張ります。

<<ラリー・ポルトガル デイ2の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) 1h25m43.3s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(トヨタ GR YARIS Rally1) +13.6s
3 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1) 44.4s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +49.6s
5 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン(フォードPuma Rally1) +1m00.7s
6 ピエール=ルイ・ルーベ/ヴィンセント・ランデ(フォードPuma Rally1) +1m15.6s
7 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m46.4s
8 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (フォードPuma Rally1) +1m49.3s
9 アドリアン・フォルモ−/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1) +2m03.6s
10 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m38.4s
TBC セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間5月20日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
競技3日目となる5月21日(土)のデイ3は、ポルト北東に広がるカブレイラ山脈を中心に、3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。そのうち、SS12/15「アマランテ」は、今大会最長となる全長37.24kmのロングステージです。そして、一日の最後にはポルトのドウロ河口沿いでスーパーSSが行われます。7本のステージの合計距離は今大会最長の164.98km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は643.14kmとなります。

1号車(セバスチャン・オジエ, ベンジャミン・ヴェイラス)
1号車(セバスチャン・オジエ, ベンジャミン・ヴェイラス)
エルフィン・エバンス
エルフィン・エバンス
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

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