4月21日(金)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦クロアチア・ラリーが、クロアチアの首都ザグレブで開幕。8本のステージが行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合2位に、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合5位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合8位につけました。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合6位につけています。
今回で3年連続、3回目のWRC開催となるクロアチア・ラリーは、今シーズン最初の純粋なターマック(舗装路)ラリーです。クロアチアの首都ザグレブに置かれるサービスパークを中心に、3日間で20本のステージを走行し、その合計距離は301.26kmとなります。
ラリー・クロアチアへの出場を予定していたアイルランド人ドライバーのクレイグ・ブリーン氏が、ラリーを前に逝去されたため、サービスパークは深い悲しみに包まれ、ラリー関係者はブリーン氏に敬意と哀悼の意を表しました。
前日のシェイクダウンに続き、ラリーは21(金)の朝から競技がスタートし、サービスパークの西側に展開する4本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は130.18kmと、3日間で最長でした。午前中のステージはドライコンディションでしたが、午後は一時的に雨が降り、一部路面は濡れていたり、湿っている状態でした。
2021年大会でオジエと最終ステージまで優勝を争い、僅か0.6秒差の総合2位でフィニッシュしたエバンスは、SS1こそ5番手タイムでしたが、その後は安定して2、3番手タイムを刻み総合2位をキープ。デイ1最終のSS8ではベストタイムを記録し、首位と5.7秒差の総合2位でデイ1を走破しました。また、現在ドライバー選手権で首位に立っているオジエは、SS1でベストタイムを刻みいいスタートを切りましたが、続くSS2で路面からの衝撃でホイールがダメージを受け、停車して交換作業を行なったため大幅にタイムロス。しかし、その後3本のベストタイムをマークするなどして追い上げ、総合5位で一日を終えました。ロバンペラは、SS2でオジエと同じ場所でやはりホイールにダメージを負い、交換作業で大きくタイムを失いました。午前中のステージでは良いフィーリングをなかなか掴むことができずに苦労しましたが、午後はフィーリング、タイムともに向上。総合8位で競技初日を走り終えました。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
難しいステージが続いた一日で、少し複雑な心境です。今朝の最初のステージでは、セブを中心に全てがうまくいっているように見えました。ところが、セブとカッレはまったく同じ場所でクルマを停め、ホイール交換をしなければなりませんでした。ふたりとも、路面が盛り上がっているところに当たってしまったようですが、残念ながら衝撃がかなり大きかったのでしょう。大幅にタイムを失ってしまったのは残念ですが、それはよくあることです。一方、エルフィンは午前中のステージをうまく走り切り、自信を深めていくのがわかりました。そして午後からはハードにプッシュし始め、首位との差をどんどん縮めていったので、明日も優勝争いを続けてもらいたいと思います。セブとカッレはこのまま走り続け、どうなるのか展開を見たいと思います。ラリーはまだ2日ありますし、このラリーでは日曜日の最終ステージが終わるまで、何も決まらないことを私たちは知っています。
<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今朝は予想していた以上に難しかったです。滑りやすいグラベルが多くあり、グリップも予想以上に低く、非常にトリッキーなコンディションでした。スタートした時のセットアップは、このようなコンディションではあまり良くなかったので、クルマのバランスに少し苦労しました。そして2本目のステージでは、セブと同じようなことが起きてしまいました。ペースノートに路面の情報は記していたのですが、予想以上に大きなバンプだったようです。午後に関しては、かなり良くなりました。ミッドデイサービスでセットアップを変更した結果、ドライビングを楽しむことができましたし、ペースも上がりました。明日も良いフィーリングで走り続けられることを願っています。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
今日は簡単にはいきませんでした。コーナーごとにグリップが変化し、前を走るクルマによって掻き出されたダートの量もコーナーによって大きく違いました。最初のステージは自分たちの出走順が後方だったため、路面がかなり汚れていて最高のスタートとは言えませんでした。しかし、その後はどんどん順位を上げていくことができました。午後は雨が降ってきて、少し運試しのような状況でしたが、適切なタイミングで適切なタイヤを履くことができたと思います。ですので、全体としてはかなりポジティブな一日になりました。まだ先は長いですが、この先もいい戦いができることを期待しています。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
今朝のペースは良かったのですが、残念ながらSS2でクルマを停めてホイール交換をしなければならず、大幅にタイムを失ってしまいました。ハイスピードなセクションで路面に盛り上がっているところがあって大きな力が加わったのですが、レッキで走行した時は低速だったので見逃していました。問題が起きないようにあえてコーナーのイン側をカットしないように走ったのですが、路面の盛り上がりで非常に大きな衝撃を受けてしまいました。その後は、少しでも順位を挽回しようとプッシュし続けました。順位がひとつ上の選手とのタイム差はかなり大きいので、これ以上挽回することは難しいと思います。それでも、失うものは何もないのでトライを続け、どのような展開になるのか様子を見たいと思います。
<<クロアチア・ラリー デイ1の結果>>
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 1h16m02.4s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +5.7s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード PUMA Rally1 HYBRID)+30.0s
4 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +33.4s
5 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m23.7s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m52.1s
7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー(フォード PUMA Rally1 HYBRID)+1m52.9s
8 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m40.3s
9 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2)+3m20.0s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2)+3m49.9s
(現地時間4月21日19時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技2日目となる4月22日(土)のデイ2は、デイ1よりも南西のエリアで、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうち、SS12/16「プラタック」はアドリア海に面したリエカの町の近郊で行われます。また、SS11/15「ラヴナ・ゴラ-スクラド」は、今大会唯一の新しいステージです。8本のSSの合計距離は116.60kmとデイ1よりもやや短いですが、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は793.98kmに達します。
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