WRC 第5戦ラリー・ポルトガル デイ3 ロバンペラが今シーズン初優勝
パワーステージも制しドライバー選手権首位に立つ

2023.5.15(月)- 2:10配信

5月14日(日)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」の競技最終日デイ3が、ポルトガル北部のマトジニョスを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が優勝しました。また、デイ1でメカニカルトラブルによりデイリタイアとなり、デイ2で再出走した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合33位でフィニッシュしました。

ヨンネ・ハルットゥネン、カッレ・ロバンペラ
ヨンネ・ハルットゥネン、カッレ・ロバンペラ

ラリー・ポルトガルの競技3日目は、ポルトガル北部のポルト近郊、マトジニョスのサービスパークを起点に4本合計55.42km のステージが行なわれました。最終日も天気に恵まれ、路面コンディションはドライ。もうもうと土煙が立ちこめるグラベル(未舗装路)ステージで、最後の熱い戦いが繰り広げられました。

デイ2で総合2位のダニ・ソルドに対し57.5秒という大きなリードを築いたロバンペラは、デイ3の2本目「ファフェ1」でまずベストタイムを記録しました。そして、その再走ステージで、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージ「ファフェ2」でも、2番手タイムのオィット・タナックに0.7秒差をつけてベストタイムを記録。昨年大会に続き、総合優勝とパワーステージ優勝という、完璧な形でラリーを締めくくりました。その結果、ロバンペラはドライバー選手権で首位に立ち、17ポイントのリードを築きました。なお、チームは今回の優勝により、ラリー・ポルトガルにおける連勝記録を4に伸ばしました。

勝田は、前日のデイ2に続き、不利な走行順1番手でステージを走行。それでも、オープニングのSS16で今大会初となるベストタイムを記録し、続くSS17で4番手タイム、そしてSS18で3番手タイムを刻むなど着実に調子を上げていきました。そして迎えた最終のパワーステージでは、4番手タイムを記録。ボーナスの2ポイントを獲得し、チームはロバンペラが獲得したポイントと合わせて、マニュファクチャラー選手権首位の座を守りました。

<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
カッレ、ヨンネ、今季初優勝おめでとう!

昨年のように最高の結果にはなかなかつながらないカッレを心配する気持ちも無くはなかった...。けれど、一方で、カッレの走っている姿を見ると昨年と変わらず、とにかく運転を楽しんでいるように見えていたので不安に思うようなこともなかった。そんな想いで今シーズンのカッレの走りを見ていました。今日の勝利は、最高の母の日の贈り物になりましたね。これで心おきなくエビスでドリフトを楽しんでもらえると思います。来週のFormula Drift Japanでは日本のファンに最高の横顔を見せてきてください。

前回クロアチアで優勝したエルフィンは、出走順が一番の中でも果敢に攻めてくれていました。積極的に攻めてのコースオフだと思います。安心してプッシュできないクルマで申し訳ない。エルフィンがもっと意のままに走らせられるクルマにしていけるよう、一緒に次に繋げていきましょう。

2年連続で4位だったポルトガルで、今年こそ表彰台と気合をいれてくれていた貴元でしたが、クルマにメカニカルトラブルを出してしまいました。本当に申し訳ない。次のラリーに向けてチームみんなで、トラブルの真因をしっかり追求していきましょう。

次のサルディニアに向けて、インターバルは2週間と短いです。その間、チームとクルマ達はポルトガルに残りトヨタ・カエタノ・ポルトガルでメンテナンスをします。カッレは福島に行ってGRカローラでドリフト、他のドライバー達がどう過ごすかは把握できていませんが、ヤリ-マティ代表はGRカローラで富士24時間耐久に参戦です。このチームがラリーウィークだけでなく世界中のどこかで、トヨタを楽しんでくれているのがなんとも嬉しい気持ちです。

WRCはここから中盤戦、チームみんなでトヨタを楽しみながら最高の結果が出せるよう努力を続けていきましょう!

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
ポルトガルで優勝することができて、本当に幸せな気分です。金曜日は2台のクルマを失い、1台でしか戦えなかったので、かなり厳しい状況でした。しかし、カッレは素晴らしいドライビングを見せ、最終的にはパワーステージも制し、圧巻の勝利を収めました。ここしばらく勝てていなかったとはいえ、カッレのパフォーマンスは一貫して高いレベルにありました。ただ、パズルの小さなピースが欠けていて、それがここで見つかったのです。クルマへの自信、モチベーション、勝利への渇望という要素が全て上手く噛み合った時、誰も彼を止めることができませんでした。また、金曜日のトラブルによって、本来のポテンシャルを全て発揮することができなかったにも関わらず、最後まで走りきった貴元にも感謝したいです。最終日の今日、彼はパワーステージで素晴らしい走りを見せ、マニュファクチャラー選手権に関しても追加でポイントを獲得してくれました。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
この勝利を長い間待ち望んでいました。困難な週末もありましたが、クリーンにラリーウィークを戦い、いい走りができた時は勝負できるとずっと思っていました。ここポルトガルで再び優勝し、トップに返り咲くことができて本当に嬉しいです。攻めの姿勢を貫いてきたヨンネとチーム全員に感謝します。今週末はクルマのフィーリングが良く、ハードにプッシュすることができました。次のラリーでは出走順がトップになってしまう可能性が高いと分かっていたので、パワーステージではできるだけ多くのポイントを獲得したいと考えていました。完璧なステージではありませんでしたが、内容的には十分だったので満足しています。次のサルディニアはさらに大変になると思いますが、この調子を維持して頑張ります。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
金曜日に問題が起きた後は、とても難しい週末になりました。今回のラリーには大きな期待を寄せていたので、本当に落胆しましたが、このようなこともたまに起こるものです。その後は将来に向けてより多くの経験を積み、何かを学ぼうと試みました。出走順一番手でステージを走るのは決して簡単ではありませんでしたが、クルマのフィーリングは素晴らしく、チームとエンジニアは本当にいい仕事をしてくれたと思います。パワーステージでは、先に走ったクルマの轍が狭かったので、ある程度自分でラインを刻みながら走らなくてはなりませんでしたが、それでもタイムは悪くありませんでした。ラリーを走りきり、チームのためにポイントを獲得できて良かったです。チームのサポートに心から感謝し、カッレとヨンネの勝利を祝福したいと思います。

<<ラリー・ポルトガルの結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 3h35m11.7s
2 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +54.7s
3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m20.3s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +2m04.1s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +8m22.5s
6 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m43.4s
7 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m44.6s
8 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m26.4s
9 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +11m33.2s
10 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally2) +12m16.3s
33 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1h01m54.8s
R エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)
(現地時間5月14日13時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、6月1日から4日にかけてイタリアのサルディニア島で開催される、第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」です。今シーズン3戦目のグラベルイベントとなるこのラリーのステージは、全体的にハイスピードですが道幅は狭く、路肩に木々や岩が迫るため小さなミスも許されません。また、路面の多くは目の細い砂状のグラベルに覆われていますが、何台かラリーカーが走行すると下から硬い岩盤や石が現れ、深い轍(わだち)も刻まれるなど、コンディションが大きく変化するのが特長です。この時期は例年気温が高くなることが多く、ドライバー、クルマ、そしてタイヤにも厳しいラリーといえます。

表彰式
表彰式
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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