WRC 第9戦ラリー・フィンランド デイ2 断続的に降る雨の中、サバイバルラリーとなるも
エバンスが総合1位、勝田が総合3位につける

2023.8.5(土)- 6:15配信

8月4日(金)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の競技2日目デイ2がユバスキュラのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が首位に立ち、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合3位に、スポット出場のヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組(97号車)が総合5位につけました。なお、デイ2の中盤まで首位に立っていたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は、コースオフによりデイリタイアとなりました。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

前日、ユバスキュラ市街地でのスーパーSSで幕を開けたラリー・フィンランドは、4日(金)の朝から森林地帯での本格的な戦いがスタート。デイ2としてサービスパークの北東エリアを中心に9本合計104.76kmのステージが行なわれました。ステージは、夜中から朝にかけて断続的に降った雨により全体的に湿っており、また、昼前からは時々雨が強く降り、路面が泥状になったり、水溜まりもできるなど非常に難しい路面コンディションでの戦いになりました。

前日のデイ1で総合3位につけたロバンペラは、朝2本目のSS3から、午後2本目のSS7まで5ステージ連続でベストタイムを記録。SS2で首位に立ち、SS7終了時点で総合2番手のエバンスに対し、5.7秒のリードを築いていました。ところが、伝統的なステージである「ミヒンパー」の2本目、SS8の終盤でクルマが大きくスライドし側溝に落ちた後、横転。ロバンペラとハルットゥネンに怪我はありませんでしたが、クルマのダメージは大きくデイリタイアすることになりました。チームはサービスでクルマの状態をチェックし、明日再スタートできる状態であるかを判断します。

ロバンペラのデイリタイアにより、僅差の戦いを続けていたエバンスが総合1位に。エバンスはベストタイムこそ記録しませんでしたが、デイ2の9ステージのうち、8ステージで2番手タイムを刻むなど好調を保ち、総合2位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)に6.9秒差をつけ首位でデイ2を締めくくりました。また、勝田はオープニングのSS2でベストタイムを記録。その後も2番手タイムを2回、3番手タイムを4回刻むなど、濡れて非常に難しいコンディションとなった超高速ステージで攻めの走りを続け、総合3位に順位を上げました。総合2位のヌービルとは9.5秒差、総合4位のテーム・スニネン(ヒョンデ)に対しては12.4秒のリードを築いています。なお、今大会で久々のWRC復帰を果たし、2019年以来となるラリー・フィンランド出場を実現したラトバラは、GR YARIS Rally1 HYBRIDのドライビングを楽しみながら、非常に安定した走りを続け総合5位につけています。

<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
ラリー・フィンランドを楽しんでいます。私はドライバーたちを応援するためにここにいますし、チームがハッピーであれば、チーム代表である私もハッピーです。カッレはホームラリーをとても楽しみにしていたので、あのようなことになってしまい本当に残念ですが、重要なのは彼とヨンネが無事だったということです。クルマが直り、明日彼らが再スタートできることを願っています。エルフィンは素晴らしい力を発揮してラリーをリードしていますので、明日も引き続きいいパフォーマンスを発揮してくれることを期待しています。また、今日は貴元も非常に速かったですが、彼は長年ユヴァスキュラに住んでいるので、地元の人たちが彼のことも応援してくれることを願っています。ヤリ-マティにとっては今回が210回目のWRCスタートとなり、笑顔で運転を楽しんでいましたが、それこそが私が見たかった姿です。ラリーはまだ2日残っていますが、全てが順調ですし、チームのみんながとてもいい仕事をしていると思います。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今日は途中まで順調でした。午前中は出走順が一番手ながら好調でしたし、エルフィンともいいバトルができました。あまり攻め過ぎなくても、少しだけ速く走ることができていました。午後のクラッシュは非常に不運なもので、あのコーナーであれ以上のことはできなかったと思います。ブレーキング時の速度は適切だったと思いますが、泥の中に出走順一番手で突入したため、クルマが大きくスライドしてしまいました。ステアリングをフルロックさせてもクルマを立て直すことができず、側溝の中で何かに激しくぶつかって飛ばされてしまいました。このような形で戦列を離れてしまったことは、チームにとってもファンの皆さんにとっても残念なことです。クルマに大きな問題がなく、明日再び戦いに戻れることを願っています。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
大きなミスもなく、午前中はクリーンなスタートを切ることができました。序盤はペースがかなり速く、もう少し上手く走れそうなところもいくつかありましたし、各ステージでトップとコンマ数秒差だったのでフラストレーションを感じました。日中は路面がウエットだったりドライだったりと変わりやすく、グリップもそれほど高くなかったのですが、走りを楽しむことができました。コンディションの変化により何人かのドライバーが戦列を去ることになりましたが、残念ながらカッレもそのひとりです。彼は素晴らしい仕事をしていただけに、あのような結果になってしまい残念です。まだまだ先は長く、明日はもう少し路面がドライになるかもしれませんが、それでもまだスリッピーなコンディションが続くと思います。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
朝はラウカーのステージでベストタイムを記録し、とてもいいスタートを切ることができました。好きなステージではありましたが、序盤のセクションは新しくなっていたのでタイムがどうなるか分かりませんでした。それでもクルマのフィーリングはとても良かったですし、いい走りができました。その後のステージでは少し慎重になり過ぎて、タイムをかなりロスしてしまいました。今日の午後のコンディションは非常にトリッキーで、なおかつコンディションの変化も激しかったです。それでも、まだトップに近い位置につけているので全体的には満足しています。明日もこの調子で戦えることを願っていますし、もう少しプッシュしたいと思っていますが、きっと大変で、大きなチャレンジの一日になるでしょう。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 97号車)>>
最高の一日でした。金曜日の段階では総合5位につけることができるなんて、想像すらできませんでした。それほど速くはなかったですが、全てを自分のコントロール下に置き、いいリズムで走ろうと努力しました。最速の選手たちとは1kmあたりコンマ6秒差で、自分が予想していたよりも良かったです。とにかく、このクルマをドライブするのは最高の気分です。今日は素晴らしいステージもあれば、難しいコンディションのステージもありましたが、これほどコンディションが変わりやすいラリー・フィンランドは久しぶりです。明日もまた、素晴らしい経験ができることを願っています。

<<ラリー・フィンランド デイ2の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 51m34.4s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +6.9s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +16.4s
4 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +28.8s
5 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m23.7s
6 ヤリ・フットゥネン/アンティ・ハーパラ (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m14.1s
7 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m27.0s
8 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m27.3s
8 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m28.8s
10 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Fiesta Rally2) +3m36.4s
TBC カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)
(現地時間8月4日21時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
競技3日目となる8月5日(土)のデイ3は、サービスパークの南西エリアが戦いの舞台に。2001年大会以来となる「ヴァスティラ」で1日が始まり、その後「パイヤラ」「ラプスラ」「ヴェックラ」という伝統的なエリアで行われるステージを走行します。ミッドデイサービスを挟んで、午後はその4本のステージを再走。8本のステージの合計距離は160.68kmと4日間で最も長く、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は641.06kmとなります。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
エルフィン・エバンス
エルフィン・エバンス
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
97号車(ヤリ-マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネン)
97号車(ヤリ-マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネン)

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