11月17日(金)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリージャパン」の競技2日目デイ2が、愛知県豊田市の「豊田スタジアム」を基点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合1位に、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合2位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合3位につけました。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合9位につけています。
昨晩、豊田スタジアムでのスーパーSSで開幕したラリージャパンは、デイ2から山岳地帯で本格的な戦いがスタート。愛知県の豊田市および設楽町で「イセガミズ・トンネル」、「イナブ・ダム」、「シタラ・タウン」という3本のステージを午前と午後で各2回走行した後、豊田スタジアムでのスーパーSSを走る、7本合計133.26kmのステージが予定されていました。ところが、午前中に強く降った雨によりシタラ・タウンの1本目であるSS4はステージがキャンセルされました。SS2とSS3は降り続く雨の中で行なわれ、ステージは完全なウエットコンディションに。多くの水溜まりができ、視界もかなり悪化するなど非常に難しいコンディションでの戦いになりました。
前日のスーパーSSで9番手タイムだったエバンスは、トリッキーなコンディションになった山岳ステージで抜群のスピードを発揮。SS2、SS3と2ステージ連続でベストタイムを記録し首位に立ちました。午前中のステージが終了した時点でエバンスは総合2位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)に26秒差をつけていましたが、午後の再走ステージ1本目のSS5で差は10.5秒に。しかし、続くSS6でヌービルがリタイアした結果、総合2番手に順位を上げたオジエとの差は44.4秒となりました。最終的にエバンスは、オジエとの差を1分49.9秒まで拡げてデイ2を走破。大きなリードを築くことに成功しました。
前日総合8位とやや出遅れたオジエは、7ステージのうち6ステージで2、3番手タイムを記録しました。SS3では極度の視界不良により、他の多くのドライバーたちと同じように苦戦。また、SS5ではコースオフを喫してバリアに激突し、10秒程度タイムロスをしただけでなく、ボディにダメージを負いました。オジエはその状態で午後のステージを走りきり、首位エバンスと50.9秒差の総合2位でサービスに戻りました。スーパーSSを前に行われた45分間のサービスで、チームはダメージを負ったオジエのクルマを修理。かなり大掛かりな作業となったため1分のペナルティを課せられましたが、それでも順位を下げることなくオジエをスーパーSSへと送り出し、オジエはエバンスと1分49.9秒差ながら総合2位の座を守りきりました。
デイ1総合6位ロバンペラは、一番手スタートを担ったことにより、午前中の2本のステージでは路面の落ち葉や松葉をクリーニングしながら走行。そのためタイムをかなり失いましたが、午後はペースが上がりオジエと16.7秒差の総合3位に順位を上げました。また、地元での活躍が期待されていた勝田は、SS2途中の区間タイムでトップに立つなど朝から速さを発揮しました。しかしその後、他のドライバーたちもコースオフを喫した雨で非常に滑りやすくなっていたコーナーでスピン。大幅にタイムを失いましたが、ミッドデイサービス後の3本のステージで3連続ベストタイムを記録。一日の最後のスーパーSSも2番手タイムで走りきり、総合9位まで順位を挽回しました。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
もちろん、我々チームは今晩とてもいい雰囲気です。金曜日を終えた時点で1-2-3という素晴らしい順位につけられるとは、想像すらしていませんでした。今日は、予想していた通り非常に厳しい一日になりました。難しい天候になることはわかっていましたし、ドラマが起こることも予想していましたが、実際は予想以上でした。我々もいくつかアクシデントに見舞われましたが、セブと貴元が走り続けることができたのは幸運といえます。貴元は、サービスで修理されたクルマで、本当に素晴らしいスピードを見せてくれました。全体的に我々のドライバーは全員がクレバーだったと思いますし、今とてもいい状況にありますが、ラリーはまだ2日残っています。明日の朝は路面がまだ湿っていると思うので、ドライバーたちは厳しいコンディションに対峙することになるでしょう。
<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
午前中のステージは本当にトリッキーでした。ものすごい雨量でしたし、いたるところに水溜まりがあるなど、これまで経験したことがないような難しいコンディションでした。また、出走順がトップで路面の落ち葉や松葉を掃き飛ばしながら走らなければならなかったので、とにかく道の上に留まることを心がけました。午後は道も少しクリーンになり、自分たちのペースで走ることができタイムも上がったので、より楽しむことができました。明日はもう少し路面が乾いて、クリーンになり、走りやすいコンディションになってくれることを期待しています。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
今晩、首位に立てたことを嬉しく思います。午前中は非常に難しいコンディションで、特に多くの水溜まりがあったことに驚きました。ですので自分たちの走りをすることだけを意識していましたが、非常に遅く感じられ、特に朝最初のステージは非常に遅く感じました。あのようなコンディションでグリップを判断するのは本当に難しく、判断を誤ると行き場を失うことになってしまいます。午後はグリップがかなり良くなり、ミッドデイサービス後の最初のステージではそれを十分に活かすことができませんでしたが、その後少し良くなりました。いい一日にはなりましたが、まだまだ長い距離が残っています。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
非常にチャレンジングな一日を終えることができて良かったです。予想通り、とてもトリッキーな一日でした。今朝は何よりもこのコンディションを乗り切ることが重要で、ドライビングを楽しむことは難しい状況でしたが、なんとか乗り切ることができました。午後はコンディションが良くなり、もう少し運転を楽しむことができましたが、それでもまだステージはチャレンジングで、SS5ではバリアにぶつかるなど危ないシーンもありました。そのせいで今夜は我々のメカニックたちに少し余計な仕事をさせてしまいましたが、もっとも重要なのは、彼らがクルマを直してくれたお陰で、ラリーを続けられるということです。タイム差はかなり拡がってしまいましたが、チームにとってはポジティブな順位ですので、それを最後まで維持したいと思います。
<<ラリー・ジャパン デイ2の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 1h25m22.7s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m49.9s
3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m06.6s
4 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m00.2s
5 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ロカ (フォード Fiesta Mk2 Rally2) +3m05.0s
6 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m29.6s
7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +3m44.3s
8 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +4m42.8s
9 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +5m07.9s
10 ヘイキ・コバライネン/北川 紗衣 (シュコダ Fabia Rally2) +5m56.0s
(現地時間11月17日21時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技3日目となる11月18日(土)のデイ3は、愛知県の豊田市、岡崎市、新城市でSS9/13「ヌカタ・フォレスト」、SS10/14「レイク・ミカワコ」、SS11/12「オカザキ・シティSSS」、SS15「シンシロ・シティ」、SS16「トヨタ・スタジアムSSS3」の5ステージ、8本合計84.68kmを走行。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は277.98kmとなります。なお、オカザキ・シティSSSは昨年大会の河川敷ステージから場所を移し、岡崎市の中央総合公園を舞台とする2.84kmの新ステージとなります。
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