WRC 第3戦 サファリ・ラリー・ケニア デイ4 ロバンペラが2022年大会以来のサファリ・ラリー優勝を飾り
勝田は総合2位、エバンスは総合4位でフィニッシュ

2024.4.1(月)- 1:55配信

3月31日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦サファリ・ラリー・ケニアの最終日デイ4が、ケニアのナイバシャを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が優勝。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合2位に入り、TGR-WRTは1-2フィニッシュを達成。マニュファクチャラー選手権単独首位に立ちました。また、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合4位でフィニッシュし、ドライバーおよびコ・ドライバー選手権2位の座を守りました。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

サファリ・ラリーの最終日デイ4は、ナイバシャのサービスパークを中心に「マレワ」「オセレンゴニ」「ヘルズゲート」という3本のグラベル(未舗装路)ステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は74.38kmでした。ナイバシャ周辺は朝から全体的に天気が良く、ステージは概ねドライコンディションでしたが、朝までに降った雨により一部湿った路面もありました。

デイ3終了時点で総合2位の勝田に2分以上のリードを築いていたロバンペラは、大きな石が大量に転がる荒れた路面でパンクなどのトラブルを避けるため、確実性の高いドライビングを実行。ステージを重ねるごとにリードは目減りしていきましたが、ロバンペラは忍耐強く自分自身の走りを貫き、最終的には総合2位の勝田に1分37.8秒差をつけて優勝。2年ぶりにサファリ・ラリーの表彰台の最上段に立ちました。

総合3位のアドリアン・フォルモー(Mスポーツ・フォード)を1分04.4秒リードしてデイ4をスタートした勝田は、オープニングのSS14でスローパンクチャーを喫しタイムロス。しかし、その後は3番手タイムを刻むなど挽回し、午前中の3本のステージが終了した時点で差は1分03.9秒になりました。再走ステージでは路面コンディションがさらに悪化し、勝田はリスクを排したクレバーな走りで最後の3本のステージを走破。総合2位でフィニッシュし、昨年のラリー・フィンランド以来となる表彰台を獲得しました。勝田は2021年のサファリ・ラリーで総合2位に入り、初めてWRCトップカテゴリーの表彰台に立ちました。その後、サファリ・ラリーでは2022年に総合3位、2023年に総合4位となるなど、一貫して高い競争力を発揮してきました。総合2位により勝田はチームにも多くのポイントをもたらし、マニュファクチャラー登録ドライバーとしての仕事を完遂しました。

総合4位からデイ4をスタートしたエバンスは、日曜日のタイムのみで順位とポイントを競う「スーパーサンデー」でできるだけ多くのポイントを獲得すべく、最終日も攻めの走りを実行。SS15および16ではベストタイムを記録しました。最終的には総合4位でフィニッシュするとともに、スーパーサンデー3位により追加でポイントを獲得。さらに、パワーステージ5番手タイムによるボーナスポイントでトータル16ポイントを持ち帰り、ドライバー選手権2位の座を堅守しました。

今回の優勝により、TGR-WRTは4年連続でのサファリ・ラリー制覇およびトップ2フィニッシュを達成。トヨタとしては、サファリ・ラリーでの通算優勝回数を12に伸ばしました(うち11勝はWRC開催イベント)。なお、マニュファクチャラー選手権ではTGR-WRTがライバルに4ポイント差を築き、単独首位に立ちました。

<<豊田章男 (TGR-WRT会長)>>
チームのみんな、今シーズン初勝利、サファリ4年連続優勝おめでとう!
カッレ、ヨンネ、2年ぶりのケニア勝利おめでとう! 丁寧なドライビングで荒れた道をノートラブルで走り切ってくれてありがとう!
貴元、アーロン、2年ぶりのケニア表彰台おめでとう! 毎日走り切れてよかった!

ラリースウェーデン後のポルトガルテストは、大雨で大変だったと聞きました。しかし、チームから私に届いたのは「"幸いにも"大雨が降って、たくさん部品が壊れました!」という、うれしそうな報告。例年と異なり雨季の開催となったサファリ・ラリーに向けて、エンジニアやメカニックたちはラリーが始まる直前まで雨対策などの改善を続けてくれていたそうです。

「幸いにもたくさん壊れた」という言葉を聞いたとき私は、GRヤリスのエンジニアたちがマスタードライバーの私にいつも言ってくれる「モリゾウさん、クルマを壊してくれてありがとうございます」「これでクルマがもっと強くなります」というセリフを思い出しました。今回はチームを代表して、私からポルトガルの大雨に「壊してくれてありがとうございます」「これでGR YARIS Rally1 HYBRIDがもっと強くなりました」「おかげで今季初勝利が叶いました」と言いたいと思います。もちろんギリギリまでクルマを改善してくれたチームメンバーたちにも、感謝しています。

みんな、ありがとう!

同じ道でも季節や天気が変われば違う道になる…。そんな道で戦うからクルマはもっと強くなって、もっといいクルマづくりが進んでいく…、ラリーはそういう競技だと思っています。次からは2週間インターバルでのラリーが続きます。チームのみんなも体に気をつけながらもっといいクルマづくりを続けていってください。

よろしくお願いします。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
今回もサファリ・ラリーで優勝し、ここケニアで今シーズン最初の優勝を飾ることができてとても嬉しいです。カッレは最初から非常にクレバーなアプローチで走り、ラリーを自分の支配下に置いていました。週末を通してトラブルとは無縁でしたし、素晴らしいクルマを用意したチームに心から感謝します。また、アタックするタイミングと、クルマをセーブするタイミングを考えながら走ったカッレの戦いも称賛に値します。貴元が総合2位で表彰台に上ったことも、本当に嬉しく思います。サファリは彼が本当に大好きなラリーだと思いますし、前戦のスウェーデンでは悔しい思いをしただけに、これは彼にとってもチームにとっても本当に良い結果です。エルフィンは残念ながら運に恵まれませんでしたが、チャンピオンシップのためにできるだけ多くのポイントを獲得しようと、本当に頑張って戦いました。我々としては、まずこの瞬間を楽しみ、次なるチャレンジであるクロアチアに向けて努力をしたいと思います。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
サファリで2回目の優勝を手にするというのは、特別なことです。本当にタフなイベントですが、それと同時にトヨタにとっては伝説的なラリーです。チームはサファリで常に強さを発揮してきましたし、優勝記録はなおも更新中です。ここアフリカでは「前を走るクルマは常にトヨタだ」と、よく言われています。チームは自分たちのクルマが存分に力を発揮できるように、最善を尽くしてくれました。チームのみんなには本当に感謝しています。今回は何も問題が起こらず、クレバーなドライビングを続けるなど、サファリでこれ以上は不可能と思えるほど、自分たちはいい仕事をできたと思います。最終日の今日は大きなリードを築いている状況で、WRCのカレンダーでもっとも荒れたステージを、あらゆるものを避けながら2回も走るのは簡単ではありませんでした。ただ自分たちのプランに従って走るしかありませんでしたが、結果的にうまく走れたと思います。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
楽な週末ではありませんでした。ラリーを最後まで走りきることができたのはポジティブなことですが、この週末にはもっと多くのポイントを得るつもりでした。今日に関しては速さはあったと思いますが、ちょっとした問題があり、望んでいたほど多くのポイントを獲得することはできませんでした。朝の最初のループは簡単ではなく、オープニングステージは非常に荒れていたので、他のステージに比べて保守的になり過ぎていたかもしれません。最終のパワーステージは頑張ったのですが、前半から既にかなり厳しい状況でした。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
総合2位を獲得し、ケニアでまた表彰台に立つことができて本当に嬉しいです。いつもと同じようにタフなラリーだったので、万全な準備でとてもいいクルマを用意してくれたチームには本当に感謝しています。昨日はいくつかミスを犯し、パンクも喫してしまいましたが、クルマは常に信頼して走れる状態でした。プッシュする必要があるときにはプッシュできましたし、いいタイムも出ました。信頼性はトヨタの強みですし、このクルマに乗れることをとても誇りに思います。

<<サファリ・ラリー・ケニアの結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 3h36m04.0s
2 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m37.8s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +2m25.1s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +4m20.2s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +10m17.5s
6 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +18m05.4s
7 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +19m28.5s
8 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +21m02.0s
9 ジョルダン・セルデリウス/フレデリック・ミクロッテ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +26m13.3s
10 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia RS Rally2) +26m34.4s
(現地時間3月31日17時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<第3戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 ティエリー・ヌービル 67ポイント
2 エルフィン・エバンス 61ポイント
3 アドリアン・フォルモー 46ポイント
4 オィット・タナック 33ポイント
5 カッレ・ロバンペラ 31ポイント
6 勝田 貴元 30ポイント
7 セバスチャン・オジエ 24ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 23ポイント
9オリバー・ソルベルグ 12ポイント
10 アンドレアス・ミケルセン 6ポイント

<<第3戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 131ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 127ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 72ポイント

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、4月18日から21日にかけて、クロアチアの首都ザグレブを中心に開催される「クロアチア・ラリー」です。2021年にWRCとして初開催され、今年で4年目を迎えるこのイベントはターマック(舗装路)が舞台。ステージはハイスピードなセクションとテクニカルなセクションが入り交じり、舗装のコンディション変化が大きいためグリップが変わりやすいことが特徴です。また、コーナーのイン側をショートカットする「インカット走行」により、路肩から大量の泥や砂利が舗装路面に掻き出されるため、非常に滑りやすく難易度の高いラリーとして知られています。

表彰式
表彰式
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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