TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、5月31日(金)から6月2日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島で開催される、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)の3台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。今シーズン4回目の優勝を目指します。
第3戦サファリ・ラリー・ケニアでカッレ・ロバンペラが、第4戦クロアチア・ラリーおよび第5戦ラリー・ポルトガルでセバスチャン・オジエが優勝するなど、TGR-WRTはシーズン3連勝を飾り好調を維持しています。しかし、マニュファクチャラー選手権では4ポイント差ながら前戦で2位に順位を下げたため、今回の第6戦ラリー・イタリア サルディニアでは首位復帰を目指します。
今シーズン4回目のスポット出場となるオジエは、ヤリスWRCで出場した2021年大会も含め、サルディニアでは過去4回優勝しています。また、現在ドライバー選手権2番手につけているエバンスは、2021年大会でオジエに次ぐ総合2位を獲得しています。そして、マニュファクチャラーズポイント獲得資格を持つドライバーとして3台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDをドライブする勝田は、2021年に表彰台争いを繰り広げ、総合4位に入りました。
地中海に浮かぶサルディニア島のステージはグラベル(未舗装路)。路面は多くの部分が砂状の目の細かいグラベルに覆われているため、ドライならば出走順が早いドライバーたちは不利な滑りやすいコンディションでの走行を強いられます。また、同じステージを2回目に走行する「再走ステージ」では、砂状のグラベルが履け、表面がザラザラとしている岩盤が露出してタイヤに大きな負担がかかるため、タイヤマネージメントが非常に重要となります。加えて、気温が30度前後に達する年も多く、タイヤに厳しいラリーとして知られています。ステージは全体的に高速でありながら道幅が狭いセクションが多く、木や大きな岩が路肩に迫るコーナーも多いため、小さなミスも許されません。
2004年の初開催から20年を迎える今年のラリー・イタリア サルディニアは、サービスパークが前大会のオルビアから、島北西部の古都アルゲーロに移動。大会期間を圧縮することを目的とする新しいフォーマットにより、シェイクダウンは通常の木曜日午前中よりも一日遅い、5月31日の金曜日午前中に行われます。その後、競技は午後2時33分からスタート。サービスパークの北東エリアで2本のステージを各2回走行します。その合計距離は77.82kmと比較的短い一日ですが、ミッドデイサービスやタイヤフィッティングゾーンが設定されないため、タイヤマネージメントとクルマを傷めない走りが求められます。競技2日目の6月1日土曜日は、大会のステージ距離の半分以上となる149.00kmを走行する最長の一日。デイ1よりもさらに東側のエリアで、まず午前中に2本のステージを各2回走行。午後は、ビッグジャンプで有名な「モンテ・レルノ」を含む2本のステージを各2回走ります。デイ2はラリー最長の一日であるにも関わらずミッドデイサービスが設定されず、タイヤフィッティングゾーンでのタイヤ交換および簡便な整備作業のみで一日を走り切らなければなりません。最終日となる2日の日曜日は、サービスパークの北側エリアで2本のステージを各2回走行。金曜日と同様、ミッドデイサービスおよびタイヤフィッティングゾーンの設定はありません。そのうち、SS14の再走ステージとなるSS16は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。48時間という非常に短い時間内で全16本のステージを走行し、その合計距離は266.12kmと、今季ここまでのところ最短。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、1035.46kmが予定されています。
なお、前戦ポルトガルでWRC2初優勝を飾ったGR Yaris Rally2は、サミ・パヤリ(プリントスポーツ)、ゲオルグ・リンナマエ(レッドグレイ・チーム)、ローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)、ヤン・ソランス(テオ・マーティン・モータースポーツ)、ジャン-ミッシェル・ラウー(EレースWRT)、そしてTGR-WRTネクストジェネレーションの小暮ひかると山本雄紀という7名のドライバーがステアリングを握り、今回のラリー・イタリア サルディニアに出場します。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
よりコンパクトになった新しいフォーマットで開催される今年のサルディニアは、興味深いラリーになるでしょう。イベント自体は短くなりますが、各デイは長く走行距離も依然長いので、これまで以上にエキサイティングな展開になるかもしれません。とくに土曜日の午後は、難しいことで知られるモンテ・レルノのステージを含む長くてタフな一日なので、タイヤのマネージメントと岩を避けて走ることが成功の鍵になるでしょう。前戦ポルトガルで今年も勝てたことは素晴らしかったですし、パフォーマンスも良かったのですが、我々のドライバー数名にとってはベストなラリーではなかったですし、いくつかの小さなミスによりポイントを多く獲得することができませんでした。ですので、サルディニアではいいパフォーマンスを維持し、全車が問題なく走行できることを願っています。ポルトガルではクルマについて学びがあり改良を進めることもできました。さらに、事前テストでは、サルディニアに向けてより良い合わせ込みができたと思います。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
自分たちにとってポルトガルは困難な週末になってしまいましたが、シーズンはまだ序盤ですし、ここからの数戦はより力強く戦わなくてはなりません。どのラリーも重要ですし、今回のサルディニアでもチャンスを最大限に生かす必要があります。ポルトガルではクルマのフィーリングが確実に良くなったので、テストの時間が限られている状況では決して簡単なことではありませんが、サルディニアに向けてさらに改善するためチームと一緒に取り組んでいます。このラリーはポルトガルとかなり似ているところもありますが、よりトリッキーなところも多くあります。それでも、状況を好転させ、より良い週末にすることができると確信しています。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
クロアチアとポルトガルで優勝するなど、ここ最近いい流れに乗れていると思いますので、もちろんこの流れに乗り続けたいですし、サルディニアでも好調を維持することが目標です。最近行なった事前テストは上手く行きましたし、ポルトガルでも路面が砂っぽくなり、サルディニアに似たコンディションになった時にクルマはとても調子が良かったので、今回もそうなることを願っています。いずれにせよ、自分たちはいい位置につけていると思います。長いステージがあったり、タイヤマネージメントが求められるなど難しいチャレンジになると思いますが、自分のキャリアにおいてサルディニアは、そのような難しい状況をマスターし、好きになることができたラリーなので、今回もまたいい旅になることを願っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
ポルトガルは望んでいたような結果になりませんでしたが、クルマのフィーリングは週末を通して良かったので、サルディニアでもそれが続くことを期待しています。グラベルの質や路面はポルトガルと少し違うので調整しなければならないところもありますが、最近行なったテストの内容は良かったですし、エンジニアを含むチームの全員がさらに強くなるために努力しています。路面が非常に滑りやすいこのラリーでは、これまであまり大きな自信を持って走ることができていませんでしたが、金曜日の出走順はいいと思うので、最初から自信を持って走れるように頑張ります。
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