8月3日(土)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・フィンランドの競技3日目デイ3が、ユバスキュラのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が首位を守り、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は総合2位に、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(5号車)は総合5位に順位を上げました。また、総合2位につけていたエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)はデイリタイアとなり、前日のデイリタイアを経てデイ3で再出走した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合46位につけています。
ラリー・フィンランドのデイ3は、サービスパークの南西エリアで「オウニンポウヤ」、「パイヤラ」、「ヴァスティラ」という3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は144.22kmと、4日間で最長でした。前日に続きデイ3も天気は安定せず、雨が降ったり止んだりする一日に。路面は湿っていたり、濡れていたりするなど全体的に滑りやすいコンディションでした。
デイ2で首位に立ち、総合2位のエバンスに8秒差を築いたロバンペラは、全6ステージのうち、午後のSS15を除く5本のステージでベストタイムを記録。総合2位に順位を上げたオジエに対し、44.2秒という大きなリードを築いてデイ3を終えました。その結果、ロバンペラとオジエは明日の最終日を最後まで走り切れば、土曜日終了時点での順位に対して付与されるポイントを獲得することができます。また、同様にTGR-WRTは彼らふたりの活躍により、最大のマニュファクチャラーズポイントを得ることができます。
デイ2終了時点で総合2位につけていたエバンスは、デイ3オープニングのSS11でロバンペラに次ぐ2番手タイムを記録。首位ロバンペラと10.2秒差で総合2位の座を守りました。ところが、続くSS12でエバンスはドライブシャフトにダメージを負い大幅にタイムロス。その後、ミッドデイサービスで修理を行なう中で、ドライブシャフトのダメージが他のコンポーネントにも影響を及ぼしていることが判明しました。それらも交換する必要が生じた結果、40分という規定のサービス時間を超過。2分40秒のペナルティタイムを科せられ、大きく順位を下げることになりました。そして、デイ3最後のステージをポイント圏外の総合順位で走り終えたエバンスは、デイリタイアを選択。再出走規則に基づき、エバンスは明日のデイ4で再出走する予定です。
今回初めてRally1でWRCイベントに出場した地元の新鋭パヤリは、今大会最長となる32.98kmの伝説的ステージ「オウニンポウヤ」の2回目の走行で、3番手タイムを記録。前日よりもひとつ順位を上げ、総合5位でデイ3を走り切りました。また、デイ2でクルマにダメージを負いデイリタイアとなった勝田は、デイ3で再出走。ステージ3番手タイムを2回記録するなど、速さを発揮しました。
今回ドライバーとしてGR Yaris Rally2のステアリングを握る、TGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、総合7位に順位を上げ、WRC2カテゴリーでは2位の座を守りました。
<<カイ・リンドストローム (スポーティング・ディレクター)>>
一日が終わり、少々複雑な気持ちです。土曜日を1-2で終えることができたのは、チームにとって良いニュースですが、エルフィンのクルマに問題が発生したことは非常に残念です。エルフィンにとっては、本当に重要かつ貴重なポイントを失うことになってしまいました。カッレとセブ、そしてトラブルに見舞われるまでのエルフィンのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。また、彼らだけでなく、サミと貴元も含めた我々の全ドライバーがこの難しい土曜日のステージで良い走りをしました。最大ポイントを獲得するなど強さを発揮することができたので、全体的には良い一日だったと思います。しかし、明日も多くのポイントを獲得できる可能性があるので、最後まで全力を尽くさなければなりません。
<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
とても長く、難しい一日でした。午前中は雨で路面がぬかるんでいました。それでも自分たちはプッシュし続け、クリーンに走り続けることができましたし、今日はそうすることが何よりも重要でした。午前中のオウニンポウヤのステージではセブと僅か0.1秒差のタイムでしたが、それは二人ともかなり速いペースで走っていたことを証明するものであり、マージンはあまり残っていませんでした。午後はセットアップがさらに良くなり、より自由自在に走れるようになりましたし、良いタイムを記録することができたので、かなり楽しめました。とはいえ明日も非常にトリッキーなステージがあります。特にラーヤヴォーリのパワーステージは難しそうですが、ベストを尽くして最後までラリーを走り切りたいと思います。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
今朝は悪くないスタートを切りましたが、2本目のステージでジャンクションに差し掛かったところで、4輪のうち1輪の駆動が失われてスピンをしてしまいました。そして、そこからはクルマをサービスまで無事に運ぶことに専念するしかありませんでした。チームはミッドデイサービスでクルマを修理してくれましたが、素晴らしい作業だったにも関わらず予想以上に直さなくてはならないところが多くありました。そして午後は、ポイント圏内に近づくためにはタイム差が大きすぎたので、ただ無事に走り切ることに専念しました。明日はできるだけ多くのポイントを獲得するために、頑張らなくてはなりません。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
チームの1-2フィニッシュを確定させるため、今日は確実性を最優先して走りました。何本かのステージは自分が過去に走ったことがなかったため、路面のグリップの状態を把握しづらく、特に午前中は苦戦し少し自信を失いかけました。オウニンポウヤのステージは素晴らしかったのですが、他の2本は雨の影響で濡れていて、かなり滑りやすいコンディションでした。そのようなセクションではあまり走りを楽しむことができませんでしたが、それを乗り越えて、自分たちがすべき仕事をやり遂げることができました。そして、カッレと共にチームに最大ポイントをもたらす権利を獲得しました。明日の目標はとてもシンプルで、全力でプッシュするだけです。それこそが、ここまでの自分たちのパフォーマンスを最大限に活かすための、唯一の方法なのです。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
今日のステージはとても素晴らしく、特にオウニンポウヤは本当に楽しめました。ただし、決して簡単ではなく、雨でコンディションがトリッキーだった再走ステージは特に大変でした。そのため気持ち良く走れたとは言えませんが、クルマは非常に調子が良く、午前中のステージでは良いタイムを出すこともできました。明日の日曜日はクルマのフィーリングをさらに向上させ、可能な限り多くのポイントを獲得することが目標です。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)>>
今日は、より楽にクルマについて学ぶことができました。雨が降ったり止んだりしてはいましたが、それでも天気は比較的安定していたので、ステージを楽しむことができました。また、クルマのフィーリングも良く、自信をさらに深めることができました。オウニンポウヤは期待通り非常にエモーショナルなステージでしたし、とても良い走りができました。それでも、カッレとの間には小さいながらも差があることを実感しました。常に改善できることを探し、何か新しいことを見つけなければなりません。約33kmのステージで5秒しか遅れなかったとはいえ、全てのコーナーを完璧に走れるように努力し続ける必要があります。
<<ラリー・フィンランド デイ3の結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h03m53.8s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +44.2s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m23.8s
4 アドリアン・フォルモ−/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m49.7s
5 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m19.2s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +7m32.4s
7 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m20.0s
8 ラウリ・ヨーナ/ヤンニ・フッシ (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m52.4s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +8m57.7s
10 ミッコ・ヘイッキラ/クリスチャン・テモネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m04.8s
22 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +19m17.5s
46 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +52m30.5s
(現地時間8月3日21時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技最終日となる8月4日(日)のデイ4は、サービスパークから比較的近いエリアで、「サーロイネン-モクシ」と、久々に復活したクラシックステージ「ラーヤヴォーリ」の2本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。ラーヤヴォーリの2本目、SS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4本のステージの合計距離は41.66km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は230.39kmが予定されています。
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