WRC 第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ1 アクロポリス・ラリー初日はTGR-WRTにとって試練の一日に。
トラブルに見舞われるもオジエが総合4位につける

2024.9.7(土)- 5:10配信

9月6日(金)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の競技初日デイ1が、中央ギリシャのラミアを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合4位につけ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合20位につけました。なお、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)はデイリタイアを喫しました。

17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)

第7戦ラリー・ポーランド、第8戦ラリー・ラトビア、第9戦ラリー・フィンランドと、3戦続いた超高速グラベル(未舗装路)イベントが終了し、WRCは第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャでラフグラベル・イベントにシフト。中央ギリシャのラミアを中心に開催されるこの伝統の一戦は、9月5日(木)午前中のシェイクダウンを経て、6日(金)の朝からデイ1として競技がスタートしました。デイ1はラミアのサービスパークを中心に、北西から南西にかけての山岳エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は135.02kmと、3日間で最長の一日でした。

第8戦ラリー・ラトビアで総合2位に入り、第9戦ラリー・フィンランドで今シーズン3勝目を獲得したオジエは、非常に荒れた路面コンディションとなった午前中の3本のステージのうち、2本でベストタイムを記録。総合2位のライバルに5.9秒のリードを築きました。TGR-WRTの3人のドライバーの午前中のタイヤ選択はそれぞれ異なりましたが、オジエはソフトコンパウンドタイヤを3本、ハードコンパウンドタイヤを3本チョイス。チームメイトを含む他の誰よりも多くソフトなタイヤを選んだ結果、大きなグリップを得ることに成功しました。ミッドデイサービスを挟んで始まった午後の再走ステージでは、最初のSS4で今大会3本目のベストタイムを記録。オジエはリードを11.7秒に拡大しました。ところが、一日の終わりにかけてターボ関連の問題が発生し、SS5で総合2位に、SS6で総合4位に後退。首位との差は2分26.4秒に拡がりましたが、ラリーはまだ2日残っているため、チームは問題の原因の調査を進め、オジエは表彰台圏内に復帰することを視野に入れて、明日のデイ2に臨みます。

勝田はライバルよりも1本少ないスペアタイヤで午前中のステージを走行。SS1で4番手タイムを、SS2でベストタイムを記録し、首位と0.2秒差の総合2位につけました。しかし、続くSS3でペースノートの情報を誤解してコーナーに進入した結果コントロールを失い、クルマの右リヤにダメージを負いデイリタイアに。チームはサービスパークでクルマの修理を進め、勝田は、明日のデイ2で再出走する予定です。

エバンスは、オープニングのSS1でタイヤとホイールを交換したことでタイムを失い、その後ターボに関するトラブルが発生したことで大幅にペースダウン。午前中のセクションで8分以上のタイムを失い、上位争いから大きく後退しました。チームはミッドデイサービスで問題を解決し、午後の再走ステージをエバンスは問題なく走行。総合20位で一日を終えました。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
正直なところ、我々にとっては厳しい一日でした。残念ながらモータースポーツにはこのような日もあり、受け入れなければならない時もあります。エルフィンとセブのクルマの両方にターボの問題が発生し、現在その原因を調査しているところです。残念ながら、午前中には貴元も戦列を離れることになりました。ただし、セブは一日の最後のステージで我々の予想よりもタイムロスを少なく抑える素晴らしい走りを見せてくれたので、勝負はまだ続いています。現時点ではあまり良い状況ではありませんが、このラリーのステージは非常に荒れていますし、今日のように何が起こるか分からないので、我々にとって良い方向に転じる可能性もあります。とにかく前を向き、良い方向に向かうことを信じて戦い続けるしかありません。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
今朝は最悪のスタートでした。まず、最初のステージでパンクをしてしまいました。大きな突き上げがある路面だということは分かっていたので、減速しようと試みたのですが、十分ではありませんでした。そしてステージの終盤に向けてはパワーが落ちてしまいました。原因が何なのかはっきりとはわかりませんでしたが、チームはミッドデイサービスで問題を解決してくれました。タイムを多く失ってしまったので、今は間違いなく非常に難しい状況にあります。しかし、明日はクルマに関していくつかのことを試し、フィーリングを確かめるチャンスなので、とにかく長い一日を乗り切ることが何よりも重要です。

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
午前中のステージは満足のいく内容でした。2番手という出走順から、自分たちができることは全てやったと思います。路面はかなり滑りやすかったので、首位に立ち続けられたことはちょっとした驚きでしたが、ソフトタイヤを他よりも多く選択するという戦略が功を奏したのだと思います。また、ドライビングのリズムもかなり良かったと思います。午後も引き続き全て順調で、フィーリングも良好でした。しかし、最後から2本目のステージの終盤でパワーが落ちてしまいました。自分たちにできることはあまりなかったですが、タイムロスを最小限に抑えて午後のループを終えることに専念しました。チームにとっては厳しい一日でしたが、まだ明日と日曜日の長い2日が残っているので、最後まで諦めるつもりはありません。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
朝はかなり良いスタートを切ることができました。クルマのフィーリングも良く、SS2では無理をせずともベストタイムを記録することができました。もちろん、出走順による多少のロードクリーニング効果もあったと思いますが、全体的には満足できる内容でした。そして、SS3でも同じように走り続けたのですが、残念ながら、ツイスティな林道セクションでペースノートの情報を誤解してしまいました。コーナーに差し掛かかった時、自分が思っていたことと状況が異なっていたため、コーナリングラインがワイドに膨らんでしまい、クルマの右リヤにダメージを負ってしまいました。本当に辛い瞬間でしたが、前を向いて進み、努力し続けるしかありません。

<<アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ1の結果>>
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 1h40m16.9s
2 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +21.8s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +45.2s
4 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m26.4s
5 ロバート・ヴィルベス/アレクス・レスク (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m10.9s
6 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +3m12.4s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +4m08.4s
8 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia RS Rally2) +4m09.0s
9 ファブリツィオ・ザルディヴァー/マルセロ・デル・オハネシアン (シュコダ Fabia RS Rally2) +4m19.7s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +4m22.5s
20 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +9m55.5s
TBC 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +39m45.7s
(現地時間9月6日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
競技2日目となる9月7日(土)のデイ2は、サービスパークを起点に、ラミアの南から南東にかけての非常に広いエリアで6本のステージが行われます。そのうち同じステージを2回走行するのはSS9/11のみとなり、一日の終わりにはスーパーSSが予定されています。デイ2はサービスの設定がなく、タイヤフィッティングゾーンでの簡易的な整備作業のみで一日を走り切らなくてはなりません。6本のステージの合計距離は116.23km、リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は695.64kmとなり、朝ラミアのサービスパークのパルクフェルメを出てから、夜戻るまで約16時間という非常に長い一日となります。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
セバスチャン・オジエ
セバスチャン・オジエ
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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