WRC 第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ3 総合2位浮上のオジエが最終ステージで横転も総合16位で完走
エバンスは総合18位で大荒れのラリーを走破する

2024.9.9(月)- 2:40配信

9月8日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の最終日デイ3が、中央ギリシャのラミアを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合16位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合18位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合30位でラリーを終えました。

17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)

アクロポリス・ラリー・ギリシャのデイ3は、サービスパークの南側エリアで3本のステージを走行。その合計距離は54.05kmと、3日間で最短の一日でした。ステージの路面は、土曜日の夜に激しく降った雨により朝は湿っているところもあり、一部は泥濘状になるなど非常に滑りやすい状態でした。天気は朝から良く、最高気温は日中32度前後まで上昇。そのため、朝は湿っていた路面も昼ごろには乾いている区間が増え、路面コンディションは時間とともに変化していきました。

デイ1で首位に立つも技術的な問題で2分以上を失い、総合4位まで順位を下げたオジエは、デイ2で巻き返し総合3位にポジションアップ。総合2位ダニ・ソルド(ヒョンデ)との差を27.2秒まで縮めました。そしてデイ3では、オープニングのSS13で今大会7回目となるベストタイムを記録。8番手タイムだったソルドを抜き、総合2位に順位を上げました。さらに、オジエはSS14でもベストタイムを刻み、総合3位ソルドに対するリードを20.9秒に拡大。その時点で、日曜日の合計タイムだけで順位を競う「スーパーサンデー」でトップに立っていました。ところが、オジエは最終のパワーステージ、SS15でパンクを喫し、その影響により続くコーナーで走行ラインがワイドに膨らみ横転。幸いにもオジエとランデに怪我はなく、しばらくした後、リペアを施したクルマで走行を再開し、大幅にタイムを失いながらも何とかステージをフィニッシュ。ラミアの最後のタイムコントロールも通過して総合16位で完走を果たし、土曜日終了時点での3位という総合順位に対して与えられる、13ポイントを獲得しました。

パンクや技術的な問題によるデイ1での大きな遅れを、デイ2で着実に取り戻しながら、一時総合13位まで順位を挽回していたエバンスは、デイ2の最後から2番目のステージの終盤で横転。デイリタイアを喫しました。その後、チームはエバンスのクルマを完璧に修理し、エバンスはデイ3で再出走。SS13で5番手タイムを、SS14と最終のパワーステージで3番手タイムを記録しました。また、スーパーサンデーでも3位に入り、エバンスは合計8ポイントを手にしました。

デイ1でペースノートの情報の解釈ミスによりコーナリングラインが膨らみ、クルマの右リヤにダメージを負った勝田は、デイリタイアを経てデイ2で再出走。デイ2、デイ3と2日連続で不利な出走順トップでステージに臨みましたが、SS14では4番手タイムを、パワーステージでは5番手タイムを刻むなど健闘。また、スーパーサンデーでは5位に入り、合計4ポイントを獲得しました。

GR Yaris Rally2で出場のサミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(プリントスポーツ)は、WRC2カテゴリーで今シーズン3勝目を獲得。総合でも4位に入りました。パヤリは、最終ステージでパンクを喫しながらも、ロバート・ヴィルベス(シュコダ)との激しい優勝争いを制しました。その結果、WRC2でパヤリは選手権首位のライバルに3ポイント差に迫りました。今シーズンからWRC2にチャレンジを開始したGR Yaris Rally2は、直近の6戦で4勝を飾っています。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
我々にとっては困難な時です。物事が一度悪い方向に進み始めると、それが続いてしまうことがありますが、今はまさにそのような状況です。厳しい週末になってしまいましたが、セブはファイターですし、金曜日にあのような事が起こった以上、彼はプッシュするしかなかったのです。パワーステージとスーパーサンデーで勝利することができたら、我々は選手権で挽回できる可能性があったので、セブはそれを狙っていたのです。最終ステージで起こってしまったことは残念ですし、大きな代償を払うことになりましたが、少なくとも彼とヴァンサンはクルマをフィニッシュまで運ぶことができました。私たちは戦い続けますし、そのスピリットを失うことなく各ラリーを戦い、結果を待ちたいと思います。ポジティブな面としては、我々のRally2車両がサミとエンニによってWRC2を制したことが挙げられますが、これは本当に素晴らしいことです。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
困難な日々が続いたこの週末、今日も思うように行きませんでした。残念ながら、明らかにスピードが不足していました。いくつかのセクションや場面では、悪くないパフォーマンスを発揮できていましたが、それでも不安を感じることなくプッシュできる、という感じではありませんでした。厳しい2日間を過ごした後だったので、クリーンにラリーを終わらせようとし過ぎたのかもしれません。ここ最近は上手くいかないことが多く、大きな失望を感じているので、正しい軌道に戻らなければなりません。やるべきことはまだありますし、次のイベントには、また新たな気持ちで臨みたいと思います。

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
週末を通して全力を尽くしました。多くの物事を正しく進め、クルマのフィーリングもペースも良かったので、最後のステージまで全力で戦い続けました。残念ながら、最終ステージをスタートして1kmほど走ったところでパンクしてしまい、次のコーナーでブレーキのタイミングが遅れて横転してしまいました。幸いにもクルマを修理してサービスに戻ることができたので、チームに数ポイントをもたらすことはできました。とても奇妙な週末で、ほぼ完璧だったと思いますが、ラリーは最後まで走り切らなければ意味がありません。あまりリスクを冒したくないラリーで、リスクを冒すためには運も必要ですが、今回は運が味方してくれませんでした。それでも、こうして戦い続けていることには満足しています。限界までプッシュするのは楽しいですし、クルマの運転も楽しんでいます。それでも、長年ラリーを戦ってきて、思い通りにならないことも時々あると十分理解しています。この後は残る3戦に出場するので、ベストを尽くして戦い続けます。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
とてもタフなラリーでした。最終日の今日も、いくつか難しい場面がありました。ステージはかなり荒れていて、パワーステージではできるだけ多くポイントを獲得しようと試みたのですが、残念ながらパンクしてしまいました。きっと、それによってより多くのポイントを獲得するチャンスを逃したと思います。自分たちにとっては残念な週末となり、チームに申し訳なく思っています。ラリーの序盤はクルマの調子も非常に良かったのですが、自分の小さなミスで全てが終わってしまったので、今後はもっと上手く仕事を進めなくてはなりません。

<<アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果>>
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 3h38m04.2s
2 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m46.8s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +2m57.3s
4 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m01.1s
5 ロバート・ヴィルベス/アレクス・レスク (シュコダ Fabia RS Rally2) +7m01.1s
6 ヨアン・ロッセル/フローリアン・バラール (シトロエン C3 Rally2) +7m31.9s
7 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m54.0s
8 ファブリツィオ・ザルディヴァー/マルセロ・デル・オハネシアン (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m27.9s
9 ジョシュ・マッカーリーン/ジェームズ・フルトン (シュコダ Fabia RS Rally2) +12m27.2s
10 ロベルト・ダプラ/ルカ・ググリエルメッティ (シュコダ Fabia RS Rally2) +13m44.9s
16 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +23m44.5s
18 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +24m45.5s
30 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +41m22.2s
(現地時間9月8日17時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<第10戦 終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 ティエリー・ヌービル 192ポイント
2 オィット・タナック 158ポイント
3 セバスチャン・オジエ 154ポイント
4 エルフィン・エバンス 140ポイント
5 アドリアン・フォルモ− 130ポイント
6 カッレ・ロバンペラ 86ポイント
7 勝田 貴元 80ポイント
8 ダニ・ソルド 44ポイント
9 サミ・パヤリ 34ポイント
10 エサペッカ・ラッピ 33ポイント

<<第10戦 終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 413ポイント
2 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 388ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 215ポイント

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、9月26日(木)から29日(日)にかけて、南米のチリで行われる第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」です。ラリー・チリは2019年に初めてWRCとして開催され、今年で3回目となります。ラリーの中心となるのは、チリ中南部ビオビオ州の州都「コンセプシオン」。路面はグラベルで、森林地帯のテクニカルな中高速ステージが大部分を占め、全体的にはスムーズですが、タイヤに厳しい路面も多くあります。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
セバスチャン・オジエ
セバスチャン・オジエ
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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