TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、9月5日(木)から8日(日)にかけて、ギリシャ中央部のラミアを中心に開催される、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)の、3台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。今シーズン7回目の優勝と、マニュファクチャラー選手権での首位復帰を目指します。
ホームイベントである第9戦ラリー・フィンランドで、チームはオジエの優勝により今シーズン6勝目を獲得。第7戦ラリー・ポーランドから3戦連続で続いた超高速グラベル(未舗装路)ラリー3連戦を全て制し、勢いを保ったままシーズン終盤戦に臨みます。その最初のイベントとなるアクロポリス・ラリー・ギリシャは、同じグラベル・ラリーでありながらも、これまでの3戦とはキャラクターが大きく異なり「ラフグラベル・ラリー」に分類されます。長い歴史を誇り、神々のラリーとも呼ばれるこの一戦は、大きな岩が転がる荒れた路面のステージが多く、かつてはWRCで1、2を争う過酷なラリーとして名が知られていました。しかし、近年はラフな路面だけでなく、比較的スムースな路面も多くあり、またツイスティな低中速コーナーだけでなく、ハイスピードなコーナーも多く含まれるコース設定となった結果、総合力が求められるようになりました。ドライコンディションであれば気温がかなり上昇し、クルマとドライバーは暑さとも戦わなければなりません。また、タイヤのマネジメントも非常に重要な要素となります。しかし、近年は雨が降ることも多く、路面が泥に覆われ非常に滑りやすいコンディションでの戦いとなることもあります。
TGR-WRTは、アクロポリス・ラリーが久々にWRCのカレンダーに復帰した、2021年の大会でカッレ・ロバンペラが優勝。さらに、ロバンペラは2023年大会でも勝利をおさめましたが、今年は欠場となります。今回出場するドライバーのうち、オジエは2011年大会で優勝しており、久々のアクロポリス優勝に狙いを定めています。ロバンペラと同様、オジエも今シーズンは全戦には出場しませんが、ここまでのところ9戦中6戦に出場し、優勝3回、総合2位3回という好成績をおさめています。また、前戦ラリー・フィンランドでの優勝により、ドライバー選手権では首位と27ポイント差の2番手に順位を上げました。
一方、フィンランドで優勝争いに加わりながらも不運なトラブル等により順位を下げ、完走を逃すことになったエバンスは、昨年のアクロポリス・ラリーで総合2位に入りました。エバンスはフィンランドで惜しくもポイントを逃したことにより、ドライバー選手権では4番手に後退しましたが、2番手のオジエとは9ポイント差につけています。また、2大会連続で総合6位に入るなどギリシャで安定した結果を残している勝田は、今回はマニュファクチャラーズポイント獲得資格を持つドライバーとしてノミネートされています。
ラリーはこれまでと同じように、首都アテネの約200km北西に位置する、中央ギリシャ地方の首都「ラミア」にサービスパークが置かれます。しかし、昨年までとはルート設定や各デイの構成が大きく変わり、ラリーは金曜日の朝からデイ1として競技がスタート。ラミアのサービスパークを中心に、北西から南西にかけての山岳エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。デイ1は3日間で最長のステージを走行する一日となり、6本のステージの合計距離は135.02kmとなります。翌日土曜日のデイ2は、ステージのエリアが大きく南側に移り、選手たちは南部のペロポネソス半島の入口に近いシーサイドタウン、ルートラキまで足を伸ばします。デイ2は全部で6本のステージが用意されますが、そのうち2回走行するのはSS9/11のみとなります。また、一日の終わりにはスーパーSSが予定されています。デイ2はリエゾン(移動区間)が非常に長く、合計116.23kmのステージを含めた一日の総走行距離は695.64kmに。朝、ラミアのサービスパークのパルクフェルメ出てから、夜戻るまで約16時間という、非常に長い一日となります。ラリー最終日のデイ3は、サービスパークを中心に南側のエリアで3本のステージを走行。そのうち、SS14のステージを、ラミアでのサービスを挟んで再走する最終のSS15は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。全15本のステージの合計距離は305.30km、リエゾンも含めた総走行距離は1392.24kmが予定されています。
なお、前戦ラリー・フィンランドで初めてTGR-WRTの一員としてトップカテゴリーのGR YARIS Rally1 HYBRIDをドライブし、地元イベントで総合4位を獲得したサミ・パヤリは、プリントスポーツのGR Yaris Rally2で出場。現在選手権ランキング2位につけているWRC2で、今シーズン3回目の優勝を狙います。また、今回のギリシャにはヤン・ソランス(テオ・マーティン・モータースポーツ)、ゲオルグ・リンナマエ(レッドグレイ)もGR Yaris Rally2でWRC2に挑みます。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
アクロポリス・ラリーに向けて、我々のチーム全員が高いモチベーションを持っています。前戦ラリー・フィンランドの最終日は、優勝したにもかかわらず、失ったポイントのために少々苦い思いをしました。しかし、同時にそれは、このチャンピオンシップにおいては状況が急速に変化する可能性があることを示すものでもあります。ファイティングスピリットを保ち、好調を維持し、戦い続けることが必要です。昨年のギリシャでは、荒れたグラベル路面でGR YARIS Rally1 HYBRIDが大きな進化を示し、良いリザルトを得ました。この種のタフなイベントでは信頼性も重要ですが、それに関してもこれまで我々が強みとしてきた要素です。多くのことが起こり得るラリーですが、トラブルさえ回避することができれば、良い結果を手にするチャンスがあると思います。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
アクロポリスはタフなコンディションが予想されるラリーですが、それでもペースがかなり速いことも特徴です。長い一日を含む長い一週間なので、耐久力が求められる上、気温がかなり高くなる可能性もあります。昨年は土曜日にクルマにダメージを負ってしまいましたが、何とか表彰台までたどり着きました。今回もいつも通り全力を尽くして臨み、可能な限りベストな成績を目指します。前戦のフィンランドは、まずまずのスタートを切ったものの、明らかに計画通りに行きませんでした。しかし、少なくともギリシャは、今年ここまでのグラベルラリーではおそらく自分たちにとってベストな出走順になるはずなので、それを最大限に活かす必要があります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
アクロポリス・ラリーは、我々のこのスポーツの歴史において伝説的なイベントのひとつですし、私はギリシャを訪れるのが大好きなので、今年もまたチームと共に出場しようと計画を立てていました。私はキャリアの初期に一度このラリーで優勝しましたが、その後何年もWRCのカレンダーに含まれなかったので、今回再び勝利を収めることができたら素晴らしいと思います。昨年は、荒れたコンディションの中、かなりアンラッキーな状況に遭遇するまではトップを走っていました。トラブルを避けるには、運も味方につける必要があるラリーなのです。いつも通り、上位でのフィニッシュと、最大ポイントの獲得を目指して戦います。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
ステージがかなり荒れたり、滑りやすくなることもあるなど、ギリシャは最もトリッキーなラリーのひとつです。ドライバーとしては、いつも通り全力を尽くすのは当然ですが、それと同時にクルマとタイヤのマネージメントも重要です。直近の3戦とは異なるチャレンジになるので、考え方を変えて臨む必要がありますが、先週は実りあるテストができたので、ラリーに対しては良いフィーリングを持っています。昨年は、パンクをするまでは順調でしたが、このようなラリーではそういったことも起こり得るので、トラブルやミスを避けることに集中し、自分たちの戦略を遂行することができたならば、きっと最後に良いリザルトを得られると思っています。
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