10月19日(土)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦「セントラル・ヨーロピアン・ラリー」の競技3日目デイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合1位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位に、それぞれ順位を上げました。また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合5位、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(5号車)は総合6位と、前日までの順位を守りました。
セントラル・ヨーロピアン・ラリーのデイ3は、ドイツ南東部バイエルン州カルプフハムのサービスパークを中心に、ドイツおよびオーストリアで3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は123.46kmと、4日間で最長の一日でした。デイ3のステージは、デイ2までのチェコの道よりもスムースかつクリーンなものになると予想されていましたが、午前中は霧や朝露、小雨などにより路面の多くが湿った状態となり、依然、非常に滑りやすく難しいコンディションでの戦いになりました。
デイ2で首位の座を失うも、トップのティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と6.4秒差の総合2位につけていたオジエは、デイ3オープニングのSS9で2番手タイム。総合2位の座をオィット・タナック(ヒョンデ)に明け渡し総合3位に後退しました。しかし、ドイツとオーストリアの2ヶ国をまたぐSS10では、ベストタイムのエバンスに次ぐ2番手タイムで、タナックを抜き総合2位に復帰。首位ヌービルとの差を2秒に縮めました。そして、午前中もっともトリッキーなコンディションとなった、オーストリア国内でのSS11ではベストタイムを記録。首位のヌービルがコースオフにより大きくタイムを失ったこともあり、総合1位に返り咲きました。
ミッドデイサービスを挟んで始まった午後の再走ステージでは、1本目のSS12でタナックがベストタイム。オジエは2番手タイムを刻むも、リードは4.5秒から1.1秒に縮まりました。しかしオジエはSS13と、デイ3最終のSS14で2連続ベストタイムを記録。タナックとの差を5.2秒に拡大してデイ3を締めくくりました。また、SS11で総合3位に順位を上げたエバンスは、SS13以外は全てトップ3に入るタイムをマークするなど、一日を通して非常に安定した速さを発揮。総合2位タナックと8.8秒、首位オジエと14秒差の総合3位で土曜日を走り切りました。その結果、オジエとエバンスのふたりは、土曜日終了時点での順位に対するポイントを得る権利を獲得。日曜日を最後まで走り切れば、TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権で首位とのポイント差を大きく縮めることも可能です。
勝田とパヤリは、トリッキーなコンディションが続いた土曜日のステージでも確実性を重視した走りを続け、デイ2までの順位を堅持。勝田は総合5位、パヤリは総合6位の座をそれぞれ守り、TGR-WRTはトップ6以内に全4人のドライバーがつけています。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
とてもエキサイティングな一日でした。路面のグリップレベルが変化する難しいコンディションで、多くのドライバーがミスを犯し、コース外に飛び出すシーンも見られました。そして、ヌービルが小さなミスを犯したことで、我々にとっては選手権におけるチャンスが開けました。これで土曜日までのポイントを多く獲得できる権利を手にすることができましたが、選手権争いを続けるためには、スーパーサンデーのポイントと、パワーステージで良い結果を残す必要があるので、明日も非常に重要な一日になります。トップ3のドライバーたちのペースを考えると、コンマ数秒を争う中でミスがそれほど多くないのはとても印象的です。彼らのパフォーマンスは素晴らしいのひと言に尽きます。そう考えると、貴元とサミのドライビングにも満足するべきでしょう。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
昨日よりもさらに変化に富んだコンディションの道で、堅実に戦うことができた一日だったと思います。特に午前中は霧によって路面がかなり湿っていたので、非常に難しいコンディションでした。我々のルートノートクルーが走った後、自分たちが走るまでの間にかなりコンディションが変化していたので、我々自身の判断で対処せざるを得なかったのですが、タイムを見る限りそれほど悪くなかったようです。午後はコンディションがドライになっていきましたが、それでも道は泥でかなり汚れていて、あまり上手く対処することができませんでした。マージンはかなり少なく、そこで少し遅れをとってしまいました。それでも、チームにとってはいい一日になりました。明日もさらなるポイント獲得を目指して戦い続けます。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
一日を通してかなりの接戦が続きましたが、満足しています。今朝はトリッキーなコンディションでしたが、我々は安定した走りができていました。ループの1本目のステージでは午前、午後ともオィットが非常に速かったので、すぐに反撃しなくてはならず、とくに午後は、再びリードを拡げるために全力を尽くしました。一日の最後の2本のステージではさらにプッシュしたのですが、5秒という差はそれほど大きなアドバンテージではないので、明日も同じようなアプローチが必要でしょう。自分たちにとって6ヶ月ぶりのターマックラリーであることを考えると、ここまでのところ良い週末になっていますし、クルマも好調です。土曜日を終えた時点での順位により、マニュファクチャラー選手権でも追い上げているので、明日もさらにポイントを獲得できるように頑張ります。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
今日もクリーンに一日を走り切ることが目標でした。午前中は、路面が頻繁に変化しグラベルが路面に出ていた最後のステージを除くと、上手くいきました。その最後のステージでは、コーナーでブレーキング中にグリップが十分でないことに気づいたので、あえてそのまま真っすぐ行くことにしました。草の上を長い時間滑走しているように感じましたが、問題を抱えることなく道に戻ることができました。午後のループは、路面がかなり乾いたので走りやすくなり、クリーンに走り切ることができました。明日は、まず最初の2本のステージで良い走りをして、パワーステージで何ができるか様子を見るつもりですが、自分がするべき仕事はチームのために戦うことです。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)>>
今日はとても楽しむことができました。午前と午後ではコンディションがやや異なり、午後は路面が乾いていったのでグリップが良くなりました。しかしそれは、新たに学ばなくてはならない、異なるチャレンジでした。とにかくトライして頑張るしかない状況でしたが、Rally1カーでそうするのは非常に大変なことです。上位の選手たちは非常に速くハイペースですが、初めてのターマックラリーでここまで近づくことができているので満足していますし、改善に向けて多くのアイデアがあります。既にラリー中に改善を進めていて、とても上手くいっていますし、自信も順調についてきています。明日、このクルマでさらに4本のステージを走るのが楽しみです。
<<セントラル・ヨーロピアン・ラリー デイ3の結果>>
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h10m12.7s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +5.2s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +14.0s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +39.8s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m31.8s
6 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m07.3s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +3m22.7s
8 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +7m39.6s
9 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m10.6s
10 フィリップ・マレス/ラドヴァン・ブチャ (トヨタ GR Yaris rally2) +9m30.4s
(現地時間10月19日18時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技最終日となる10月20日(日)のデイ4は、ドイツで2本のステージを、ミッドデイサービスやリモートサービスを挟むことなく各2回走行。そのうち、SS16の再走ステージである最終のSS18「パッサウアー・ラント2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。また、日曜日のみの合計タイムによる順位に対しては「スーパーサンデー」として最大7ポイントが与えられます。4本のステージの合計距離は54.08km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は344.60kmとなります。
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