WRC 第13戦 ラリージャパン プレビュー 今シーズン12勝目とドライバーズタイトルの獲得を目指し
愛知県、岐阜県開催4年目のラリージャパンに挑む

2025.10.31(金)- 18:00配信

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、11月6日(木)から9日(日)にかけて愛知県および岐阜県で開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリージャパン」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。地元開催ラリーでの通算3回目の勝利と、今シーズン12回目の優勝、そしてドライバーズタイトルの獲得を目指します。

2025 GR YARIS Rally1
2025 GR YARIS Rally1

前戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーではロバンペラが優勝、エバンスが総合2位に入ったことなどにより、TGR-WRTはシーズン2戦を残した状態で5年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。一方、ドライバー選手権に関してはエバンス、オジエ、ロバンペラがトップ3につけ、タイトルを激しく争う状態が続いています。

初の世界チャンピオンを目指すエバンスは、8度の世界チャンピオンである選手権2位のオジエと、世界チャンピオンに2度輝いたロバンペラという強力なチームメイトに対し、現在13ポイント差をつけてドライバー選手権首位に立っています。過去、エバンスは2023年と2024年にラリージャパンを制しており、2023年大会ではオジエが総合2位、ロバンペラが総合3位とTGR-WRTが表彰台を独占。2024年大会はロバンペラが欠場となりましたが、オジエが総合2位を獲得した結果、TGR-WRTは母国での最終戦で4年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを決定しました。今シーズン、チームはここまで全てのターマック(舗装路)ラリーで優勝しており、クルマ、ドライバーともに舗装路面でも高いパフォーマンスを発揮しています。

一方、前戦に続き4台目のGR YARIS Rally1をドライブする勝田は、2022年のラリージャパンで総合3位を獲得。その後も毎年、戦闘力のあるスピードを発揮してきました。勝田は前戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーでも総合4位に入るなど調子は良く、良い流れに乗った状態で4度目のホームラリーに臨みます。また、昨年GR Yaris Rally2でラリージャパンに出場し、サポート選手権であるWRC2のタイトルを獲得したパヤリは今年、トップカテゴリー車両で日本ラウンドに挑みます。

今年のラリージャパンには合計8台のGR Yaris Rally2が出場。そのうち、ラリー・チリでWRC2今季5勝目を飾り、初のWRC2タイトルを獲得したオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラスでトップだったセントラル・ヨーロピアン・ラリーに続きWRC2ポイント獲得枠外でのエントリーとなります。WRC2に関してはトヨタ・スペインのサポートを受けるアレハンドロ・カチョン(スペイン)、ヤン・ソランス(スペイン)、ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ)の3選手がテオ・マルティン・モータースポーツが用意するクルマで出場。TGR WRCチャレンジプログラムのドライバーである山本雄紀に加え、今年の全日本ラリー選手権王者ヘイッキ・コバライネン(フィンランド/ラリーチーム・アイセロ)、貴元の父親である勝田範彦(ラック ウイズ ルーキーレーシング ラリーチーム)、奴田原文雄(ヌタハラ・ラリーチーム)という3名の全日本ラリー選手権チャンピオン経験者が覇を競います。

2025年のラリージャパンは、過去3大会と同じく今年も愛知県豊田市の「豊田スタジアム」にサービスパークが置かれ、愛知県と岐阜県の山岳地帯を中心とする舗装路でステージが行われます。山岳ステージは全体的に道幅が狭く、非常にツイスティな低速区間が多いことが特徴ですが、流れるようなコーナーが続く、中高速のセクションも随所にあります。路面は全体的にフラットですが、大量の落ち葉が道を覆ったり、不安定な天気によりウェット路面となることもあり、過去には非常にトリッキーなコンディションで行なわれた大会もありました。

ラリーはまず、6日(木)の午前9時過ぎから豊田市鞍ケ池公園の2.75kmのステージでシェイクダウンが行われ、同日の午後から競技がスタート。午後4時過ぎからシェイクダウンと全く同じコースを、SS1「クラガイケ・パークSSS」として走行します。その後、豊田市駅前のエリアでウエルカムショーが行われ、デイ1は幕を閉じます。

山岳地帯の舗装路を舞台とする本格的なステージは7日(金)のデイ2から始まり、愛知県でSS2「イナブ/シタラ1」、SS3「シンシロ1」、SS4「イセガミズ・トンネル1」という定番のステージを走行。このうち隧道で有名なイセガミズ・トンネルのステージは、進行方向がこれまでと逆になります。その後、豊田スタジアムでのミッドデイサービスを経て、午後はSS5「イセガミズ・トンネル2」、SS6「イナブ/シタラ2」、SS7「シンシロ2」の順に3ステージを再走。6本のステージの合計距離は108.30kmとなり、一日の最後には豊田スタジアムで45分間のフルサービスが実施されます。

競技3日目、8日(土)のデイ3は愛知県と岐阜県が舞台に。今年新たに豊田市に設けられたSS8「オバラ1」(愛知県)、SS9「エナ1」(岐阜県)、昨年初めて笠置山の周辺に設けられたSS10「マウント・カサギ」(岐阜県)の3ステージを、岐阜県中津川市の恵那峡ワンダーランドでのTFZ(タイヤフィッティングゾーン)での簡易的なサービスを経て再走。午後はSS11「マウント・カサギ2」、SS12「エナ2」、SS13「オバラ2」という順で3ステージを走ります。その後、昨年まで行われていた豊田スタジアム内でのスーパーSSに替わり、新たに豊田スタジアムのすぐ横を流れる矢作川の周辺に設けられた、全長3.05kmのSS14「トヨタ・シティSSS」を走行。一日の最後には豊田スタジアムで45分間のフルサービスが行われます。7本のステージの合計距離は121.91kmと長く、4日間で最長の一日となります。

競技最終日となる、9日(日)のデイ4の舞台は愛知県。SS15「ヌカタ1」、SS16「レイク・ミカワコ1」という定番の2ステージを走行した後、岡崎市の中央総合公園で「オカザキSSS」がSS17、18として2本連続で行われます。その後、ステージに隣接するエリアでのTFZを経て、午後はSS19「ヌカタ2」、SS20「レイク・ミカワコ2」と2本のステージを再走。最終ステージとなるSS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4日間で20本のステージを走行し、その合計距離は305.34km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は933.87kmとなります。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
ラリージャパンは、私たちのチームにとって常にエキサイティングかつ重要なラリーです。今年はマニュファクチャラーズタイトルを獲得してから臨めること、そして日本のファンの皆さんと一緒にタイトルを祝える機会を得られたのは、素晴らしいことです。我々のドライバー間ではドライバーズタイトル争いも非常に白熱しています。エルフィンは素晴らしい仕事を続けており、過去2年連続でラリージャパンを制しています。しかし、セブもセントラル・ヨーロピアン・ラリーでの結果を挽回すべくモチベーションをかなり高めていると思いますし、カッレも現在ターマックで並々ならぬ速さを発揮しています。どのドライバーにも優勝の可能性があるので、誰もが楽しめるエキサイティングなラリーになると思います。もちろん、貴元にとっても特別なラリーですので、彼にも好成績を期待しています。

エルフィン・エバンス / スコット・マーティン
(左から) エルフィン・エバンス / スコット・マーティン

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
TGRのホームイベントである、ラリージャパンのラリーウィークは常に重要ですし、非常に特別な雰囲気です。このラリーはとても厳しく、ツイスティなステージが多く決して簡単ではありません。そしてここ数年、時には非常に難しいコンディションになること見てきました。路面がドライであってもマージンは非常に少なく、小さなミスでも大きな代償を払うことになりかねません。まずは問題なく走り切ることが重要ですし、その次に重要なのはクルマに対するフィーリングを良い状態に保ち、全てのコーナーで集中力を維持することです。私たちは過去このラリーで良い走りをしてきたので、今回もホームイベントを迎えるチームと、チャンピオンシップを争う私たち自身のために、可能な限り良い結果を目指します。

カッレ・ロバンペラ / ヨンネ・ハルットゥネン
(左から) カッレ・ロバンペラ / ヨンネ・ハルットゥネン

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
今年もラリージャパンに出場できることを心から楽しみにしています。日本を訪れるのはいつも楽しみですし、ファンの皆さんがこのイベントに他のラリーとは異なる独特の雰囲気をもたらしてくれます。特に、自分たちトヨタのドライバーはその雰囲気をより強く感じます。ラリー自体はトリッキーで、道幅が広く高速な区間もいくつかあって非常に楽しめる反面、狭くてテクニカルな道も多く、過去自分はあまり得意ではなかったかもしれません。しかし今現在は、ターマックでのクルマとタイヤのフィーリングがとても良いので、自分たちに何ができるのか楽しみです。チャンピオン争いは接戦なので引き続き全力でプッシュし、今回もまた良い結果を残せることを願っています。

セバスチャン・オジエ / ヴァンサン・ランデ
(左から) セバスチャン・オジエ / ヴァンサン・ランデ

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
私たちにとってラリージャパンは常に、カレンダーの中で特別な時です。今年はドライバー選手権争いが残り2戦で接戦となっているため、皆さんにとってはより興味深い展開になるでしょう。日本のステージは非常に狭くテクニカルで、ミスが許されない過酷なものです。そして、この時期の天候が状況をさらに複雑にすることも経験してきました。前戦は私たちにとって思うような結果になりませんでしたが、スピードはありましたし、タイトルを争える可能性もまだ残されています。ですので、日本では最高の結果を得るため、そして現地で素晴らしい応援をしてくれるファンの皆さんために全力を尽くして戦います。

勝田 貴元 / アーロン・ジョンストン
(左から) 勝田 貴元 / アーロン・ジョンストン

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
自分にとってのホームラリーであるラリージャパンは、非常に特別な一戦ですし、家族や友人たちの前で再び走れることを心から楽しみにしています。WRC日本大会への出場は今回で4度目となります。2022年には表彰台に立ったので、今年は何としてでも再び表彰台に戻りたいと思っています。狭い山道、変化するグリップレベル、厳しい天候に見舞われる可能性など、決して簡単なラリーではありません。それでも、セントラル・ヨーロピアン・ラリーでの良いステージタイムと結果によって自信をつけたので、自分自身、チーム、そして日本のラリーファンの皆さんのために、過去最高の結果を得るべく全力で臨みます。

サミ・パヤリ / マルコ・サルミネン
(左から) サミ・パヤリ / マルコ・サルミネン

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
トヨタのRally1ドライバーとしては初出場となる、ラリージャパンを心待ちにしています。日本には昨年WRC2のタイトルを獲得した良い思い出がありますし、その時から日本のファンの皆さんの応援を感じていたので、今年はさらに大きな応援を受けられるのではないかと思います。日本のステージは、スピードはそれほど出ませんが、道幅が狭くツイスティなため、非常に精度の高い運転が求められるので楽しいです。セントラル・ヨーロピアン・ラリーではいくつかのステージで速さを示すことができたので、日本でもその速さを維持できればと思います。日本の道はコーナーをカットできる場所が少ないため、各車が比較的クリーンな状態に保たれた道を走ることができます。

WRC 第13戦 ラリージャパン 2025 マップ
WRC 第13戦 ラリージャパン 2025 マップ

最新情報はこちら

TOYOTA GAZOO Racing WRTのSNSアカウント
∇Facebook: https://www.facebook.com/TOYOTAGAZOORacingWRC
∇X: https://x.com/TGR_WRC (@TGR_WRC)
∇Instagram: https://www.instagram.com/tgr_wrc/ (@TGR_WRC)
∇YouTube: https://www.youtube.com/@TOYOTAGAZOORacingJPchannel