1月25日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4が、モナコを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(GR YARIS Rally1 99号車)が優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合2位で、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(1号車)が総合3位でフィニッシュし、TGR-WRTは表彰台を独占しました。また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合7位に順位を上げてラリーを終えました。
ラリー・モンテカルロの最終日デイ4は、モナコの北側に展開するフランスの山岳地帯で、2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は71.90kmでした。2本のステージはいずれも、ルートを少しずつ変えながらも毎年のように使われてきたクラシックステージ。そのうちSS15/17は有名なチュリニ峠を通過する、モンテカルロのアイコンともいえるステージです。モナコの周辺で前夜から降り続いた雨は、山岳ステージの多くの部分で雪になり、積雪路面、シャーベット状の路面、アイスバーン、ウェット路面と、最終日も目まぐるしく路面が変化する難しいコンディションでの戦いになりました。
デイ1のSS2からデイ3にかけて首位を守り続けてきたソルベルグは、デイ4最初のステージ、SS14を11番手タイムで走行。5番手タイムだった総合2位エバンスとの差は50.8秒に縮まりました。続くSS15ではエバンスが3番手タイムを記録。ソルベルグはシャーベット状の路面でスピンを喫し、10秒以上を失い6番手タイムでした。その結果、エバンスに対するリードは42秒に減りました。再走ステージの1本目、SS16でもソルベルグはコーナリングラインが脹らみタイムを失いましたが、それでも2番手タイムを記録。このステージ10番手タイムだったエバンスとの差を58.3秒まで押し戻しました。そして迎えた最終のパワーステージ、SS17ではエバンスがベストタイムを記録。しかしソルベルグが6.5秒差の2番手タイムをマークした結果、ソルベルグは51.8秒差でエバンス抑えきり、父親であり2003年のWRCチャンピオンであるペター・ソルベルグ氏が果たせなかった、ラリー・モンテカルロ優勝を成し遂げました。なお、ソルベルグはスーパーサンデー5位、パワーステージ2番手によりボーナスポイントも獲得。ドライバー選手権首位に立ちました。ソルベルグは2025年のラリー・エストニアに初めてGR YARIS Rally1で出場し、優勝。そして今回も勝利を手にしたことにより、GR YARIS Rally1での勝率は100%となります。また、24歳という年齢での優勝は現代のラリー・モンテカルロ史上最年少記録となり、WRCではなくIRCとして開催された2009年大会でオジエが樹立した記録を、約1年更新しました。なお、ラリー・モンテカルロで単一マニュファクチャラーのクルマが表彰台を独占したのは2015年以来となり、トヨタにとっては初となります。また、ソルベルグがもたらした勝利は、トヨタにとって7回目のモンテカルロ優勝となります。
エバンスは、ソルベルグと51.8秒差の総合2位でフィニッシュ。スーパーサンデー2位(Rally1ドライバーの中では1位)、パワーステージ1番手によりボーナスポイントも獲得しました。エバンスにとっては今回がTGR-WRT での7回目のモンテカルロ出場となり、通算5回目のポディウム獲得となりました。
昨年ラリー・モンテカルロ10勝目を獲得したオジエは、ソルベルグと2分2.2秒差の総合3位でラリーを走破し、チームの表彰台を独占に貢献しました。オジエは今回が17回目のモンテカルロ出場でしたが、今回の3位により表彰台獲得回数は15回となりました。なお、オジエはパワーステージで3番手タイムを刻んだことにより、ボーナスポイントも獲得。ドライバー選手権3位につけました。
デイ2でパワーステアリング・システムにダメージを負って大きく遅れながらも、デイ3で総合9位まで順位を挽回していた勝田は、最終日を確実に走破。順位をふたつ上げ、総合7位でフィニッシュしました。
今シーズン、GR Yaris Rally2でWRC全戦に初めて出場する、TGR WRCチャレンジプログラムのドライバー山本雄紀は、2回目の出場となるラリー・モンテカルロで昨年以上のパフォーマンスを発揮。最終日も1本目のSS14が終了した時点でRally2クラス6位につけるなど順調でした。ところが、2本目のSS15でクルマにダメージを負い、残念ながらラリーを完走することはできませんでした。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
オリバー、エリオット、優勝おめでとう!
2回目のおめでとうを、こんなに早く言えるとは思いませんでした。TOYOTA GAZOO Racing WRTの一員に頼もしい仲間が加わってくれてうれしく思います。
シーズン初戦を1-2-3フィニッシュにしてくれたエルフィンとセブにも感謝します。ドライバーとして悔しい気持ちはあると思いますが、2人の安定した走りは、いつもチームを支えてくれています。ありがとう。
久々にチーム代表として現場に戻ってきてくれたヤリ-マティもおつかれさまでした。「ドライバーでいたい!走りたい!」といつも言っているヤリ-マティが「今回ばかりはドライバーじゃなくチーム代表でよかった」と冗談混じりに言っていたと聞きました。
ヤリ-マティがそう思ってしまうほど、今年のモンテカルロは厳しい道だったということです。そんな道でも最高の結果を残してくれたこと、チームのみんなに感謝したいと思います。今シーズンも様々な厳しい道に出会えると思います。色んな道で”もっといいクルマづくり”を続けていきましょう!
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
ラリー・モンテカルロで我々の3クルーが表彰台を独占したのは、非常に特別なことです。モンテカルロはチャンピオンシップで最も難しいラリーであり、とくに今大会は過酷でした。場所によってはコンディションが悲惨で、今回は自分自身がドライバーでなくて良かったと心から思います。今回のラリーの厳しさを考えると、この結果を可能にしたチームの仕事は驚くべきものだったと思います。オリバー・ソルベルグがこのラリーの新たな勝者となったのは素晴らしいことですし、経験豊富なドライバーたちに対して見せた彼のパフォーマンスは驚異的でした。ほとんどのドライバーと同様、彼にも危ない場面はありましたが、このラリーで勝つためには技術だけでなく運も必要です。彼と我々のチームにとって、モンテカルロは素晴らしいスタートになりました。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
チームにとって素晴らしい結果になりましたし、素晴らしいパフォーマンスを発揮したオリバーとエリオットを心から祝福します。もちろん、優勝争いができたならさらに良かったのですが、この週末は彼らに対抗する力はありませんでした。間違いなく、私のキャリアの中でもっとも厳しいラリー・モンテカルロでした。これまでも難しいラリーはありましたが、あらゆる要素が組み合わさって、本当に困難な週末になったと思います。今日もそのトリッキーさはまったく変わらなかったので、日曜日に多くのポイントを獲得できたことに、私たちは満足しています。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
率直に言って、非常に厳しかったラリーの最後に表彰台に立つことができて嬉しく思います。もちろんラリー・モンテカルロでは最上段に立つことに慣れていましたが、今週末のオリバーの走りは素晴らしく、勝利に相応しいものでした。友よ、おめでとう! チャンピオンシップにとって、新たな選手がラリーで勝つのは良いことですし、今後も彼との戦いが楽しみです。チームがトップ3を独占したことは、シーズンにとって非常にポジティブなスタートですので、今日は笑顔でいられます。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
ラリー・モンテカルロで優勝するなんて信じられない結果ですし、夢が叶いました。おそらく、これまでの人生で最もクレイジーな出来事です。自分を信頼してファクトリードライバーに起用してくれたチームに、心から感謝します。共に挑んだ2戦目で、2勝目を挙げることができました。あらゆる路面、コンディションで快適に走れるように、チームは完璧にサポートしてくれました。雪や氷のトリッキーなコンディションではプッシュしましたが、それによって差をつけることができたと思います。チームの1-2-3フィニッシュは、特にマニュファクチャラー選手権において、シーズンの開幕戦としてこれ以上ないほど素晴らしいスタートになりました。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
このラリーをフィニッシュすることができてハッピーです。おそらくほとんどのドライバーが、全行程を通してこれほど難しいラリー・モンテカルロを経験したことはないと思います。毎日非常に厳しく、ミックスコンディションの路面は変化が激しく、対応や予測は容易ではありませんでした。全体的には満足できるラリーではありませんでしたが、少なくとも完走しポイントを獲得することはできました。所々で苦戦した原因を分析する必要がありますが、次戦のスウェーデンは全く異なるラリーなので、楽しみにしています。
<<山本雄紀 (WRCチャレンジプログラム GEN2)>>
これまでで最も難しいラリーだったと思います。不必要なリスクを避け、忍耐強く走ろうと心がけていました。経験を積むという点では最終日まで順調でしたが、全面雪に覆われたチュリニ峠の頂上を通過した後、下り坂のドライなターマック区間で十分なグリップを感じたため、必要以上にアクセルを開けてしまいました。しかし、減速をした場所がブラックアイス路面だったためブレーキがロックしてしまい、エンジンがストールしてクルマを止めることができませんでした。残念な結末になってしまいましたが、昨年大会と比べればポジティブな点もありましたし、確実な進化を感じることができました。
<<ラリー・モンテカルロの結果>>
1 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) 4h24m59.0s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +51.8s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m02.2s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +5m59.3s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +10m29.8s
6 レオ・ロッセル/ギヨーム・メルコレ (シトロエン C3 Rally2) +12m58.4s
7 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +13m05.4s
8 ロベルト・ダプラ/ルカ・ググリエルメッティ (シュコダ Fabia RS Rally2) +15m07.9s
9 アルトゥール・ペラムルガ/バスティアン・プジェ (ヒョンデ i20N Rally2) +18m09.4s
10 エリック・カミリ/ティボー・デ・ラ・アイユ (シュコダ Fabia RS Rally2) +18m36.4s
R サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間1月25日20時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<第1戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 オリバー・ソルベルグ 30ポイント
2 エルフィン・エバンス 26ポイント
3 セバスチャン・オジエ 18ポイント
4 アドリアン・フォルモー 17ポイント
5 ティエリー・ヌービル 10ポイント
6 レオ・ロッセル 8ポイント
7 勝田 貴元 6ポイント
8 ヨアン・ロッセル 6ポイント
9 ロベルト・ダプラ 4ポイント
10 アルトゥール・ペラムルガ 2ポイント
<<第1戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 59ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 35ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、2月12日(木)から15日(日)にかけて、スウェーデン北部の都市ウーメオーを中心に開催される、第2戦「ラリー・スウェーデン」です。森林地帯の未舗装路が舞台となるこのラリーは、2026年もカレンダー唯一のフルスノーイベントとなります。ステージは全て積雪路となり、ラリーカーは金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれた雪道専用の「スタッドタイヤ」を装着して走行。平均速度は非常に高く、WRCの全イベントの中で例年3本の指に入る超高速ラリーとなります。
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