3月15日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦「サファリ・ラリー・ケニア」の最終日デイ4が、ケニアのナイバシャを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(GR YARIS Rally1 18号車)がWRC初優勝を達成。TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)が総合3位を獲得しました。また前日のデイリタイアから再出走したオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)は総合10位で、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(1号車) は総合11位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合13位でフィニッシュしました。
サファリ・ラリー・ケニアの最終日デイ4は、ナイバシャ湖の南側エリアで「オセレンゴニ」と「ヘルズゲート」という、2本の定番ステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は57.40kmでした。最終日は朝から良い天気に恵まれ、路面コンディションは概ねドライ。しかし、一部には湿ったセクションもありました。
首位を争っていたチームメイトたちのデイリタイアもあり、勝田はデイ3でラリーをリードする立場に。総合2位のアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)に1分25.5秒、総合3位のパヤリに4分45.8秒の差をつけてデイ4に臨みました。2位以下に対し十分なリードを築いていることから、勝田は確実性を最優先して走行。オープニングのSS17オセレンゴニ1では7番手タイムを記録し、3番手だったフォルモーとの差は1分8.8秒に。続くSS18ヘルズゲート1では9番手タイム。4番手だったフォルモーとの差は1分0.3秒に縮まりました。SS17の再走ステージとなるSS19オセレンゴニ2でも勝田は堅実な走りを続け、8番手タイムを記録。6番手だったフォルモーとの差は42秒とさらに縮まりました。そして迎えた最終のSS20、ヘルズゲート2はボーナスポイントがかかるパワーステージ。勝田はこのステージを9番手タイムで走り切り、総合2位フォルモーを27.4秒差で抑え切り、WRC初優勝を達成しました。
日本人ドライバーがWRCで総合優勝をしたのは、アフリカのラリー・コートジボワールを1991年と1992年に制した篠塚建次郎選手以来となります。また、サファリ・ラリーについては、2リッター・ワールド・ラリー・カップ(W2L)の一戦として開催された1995年大会で、トヨタ・セリカGT-FOURを駆り優勝した、藤本吉郎選手以来となる2人目の日本人ウイナーとなりました。
WRCでもっとも過酷なイベントとして知られるサファリ・ラリーに、これまで勝田は5回出場して3回表彰台に立ってきました。2021年はWRCでの初ポディウムとなる総合2位を獲得し、2022年は総合3位に。2024年は再び総合2位を獲得し、2025年も最終日まで表彰台争いに加わっていましたが、最終ステージでロールオーバー。ステージは何とか最後まで走り切るも、完走はなりませんでした。そして勝田は今年、昨年悔し涙を流した因縁のステージで優勝を決め、嬉し涙でラリーを締めくくりました。勝田の今回の勝利により、TGR-WRTはサファリ・ラリーが2021年にWRCのシリーズに復活してから負けなしの6連覇を達成。トヨタとしては通算14回目のサファリ・ラリー制覇となりました。
総合2位のフォルモーとも、総合4位のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)とも大きな差がついていたパヤリは、確実性の高い走りで4本のステージを走破。前戦ラリー・スウェーデンに続く、総合3位表彰台を獲得しました。デイ3で首位を走行しながらも、トラブルによりリエゾン(移動区間)でデイリタイアとなったソルベルグは、TGR-WRTのメカニックによって修理されたクルマで再出走。最終日は、同じくリエゾンで止まり再出走したオジエを抑え、総合10位でフィニッシュ。SS19および最終のSS20でベストタイムを刻み「パワーステージ」を制覇しました。また、日曜日のステージのみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」でも最速だったことから、最大となるボーナスの10ポイントを獲得しました。また、オジエはSS17でベストタイムを、SS19とパワーステージでは2番手タイムを記録し、総合11位でフィニッシュ。スーパーサンデーでは2位となり、ソルベルグに次ぐ多くのボーナスポイントを手にしました。デイ3でクルマにダメージを負いデイリタイアを喫したエバンスは、SS18でベストタイムを記録し、パワーステージは3番手タイムで走り切り、総合13位でフィニッシュ。スーパーサンデー3位によるボーナスポイントも獲得し、ドライバー選手権では2位のソルベルグと8ポイント差、3位の勝田と11ポイント差で首位の座を守りました。なお、TGR-WRTはマニュファクチャラーズ選手権首位の座を堅守しました。
サポート選手権のWRC2にGR Yaris Rally2で出場したガス・グリーンスミス(イギリス)はクラス2位、総合でも6位を獲得。ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ)はクラス5位、総合9位でフィニッシュしました。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
”世界で勝てる日本人ラリードライバー”が
日本の子供たちの憧れになる日が来てほしいとずっと思っていました。
憧れの存在がいれば
それを超えていこうとする子供や若者が現れます。
勝田貴元を超えたい!と頑張る子供や若者が
日本のモータースポーツのレベルを上げていってくれます。
この勝利は、そんな日本の若者たちへの本当に大きなプレゼントになりました。
貴元、ありがとう!
貴元には、もっともっと”すごい憧れ”の存在になっていって欲しい。
ラリージャパンで、そんな姿を見せましょう!
一方、他のドライバーたちには
辛いラリーをさせてしまいました。
またみんなでポディウムに立てるよう
サファリでの学びを次に活かしていこう!
チームのみんなよろしく頼みます。
<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
貴元とアーロンがこのラリーで優勝したことを、チーム全員が心から喜んでいます。これまで何度も優勝にあと一歩というところまで迫っていましたが、今回の勝利はまさに彼らにふさわしいものです。貴元は素晴らしいドライバーですし、日本人ドライバーが再びWRCのラリーで優勝する姿を見ることができたのは、私たちにとって本当に嬉しいことです。サファリ・ラリーは41年前、私がWRCで初優勝したラリーでもあり、これほど難易度の高いイベントで優勝できたというのは、まさに特別なことです。今回のサファリ・ラリーは、WRCのカレンダーに復帰して以来、最も過酷なラリーでしたし、私たちにとってもジェットコースターのような週末でした。昨日は3台がリタイアするという大惨事もありましたが、オリバー、セブ、エルフィンは今日懸命にプッシュし、チームのために日曜日のポイントを最大限獲得してくれました。貴元が優勝し、サミも多くのステージ優勝を含む素晴らしい走りで再び表彰台に立ったので、我々としては大いに喜ぶことができます。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
間違いなくタフな週末でした。頭を使って走ろうとしましたが、それでもラリー全体を走り切ることはできませんでした。ラリーではこのようなことも時々あるのは分かっています。今日の走りにも少しがっかりしています。午前中の最初のステージはかなり遅く、コンディションも理想的ではありませんでした。頑張ったのですが、期待していたほどのポイントは獲得できませんでした。それでもチャンピオンシップの首位を維持できているのは嬉しいですし、次のクロアチアが楽しみです。貴元とアーロンは一生懸命努力してきたので、この勝利は彼らにふさわしいと思いますし、とても嬉しいです。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
今日はできる限り多くのポイントを獲得しようと努めましたが、パワーステージのようなコンディションで限界までプッシュをするのは決して簡単ではありません。轍の中ではクリーンに走ることを心がけましたが、本気でプッシュすればもっと速く走れたはずです。スピードという点では良い週末だったと思いますが、このラリーは一年の中でスピードが最も重要ではないイベントでもあります。それでも、貴元がチームと自分自身のために優勝を勝ち取り、本当に嬉しいです。長年の努力が報われた、まさに彼にふさわしい勝利です。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
今日の目標は、昨日の悔しさを晴らすために最後の力を出し切ることでした。とにかく挽回しようと全力を尽くしましたが、スーパーサンデーとパワーステージで優勝するという素晴らしい一日になりました。挽回するためにできる限りのことをやり切ったので、今日の結果には本当に満足しています。自分たちが優勝できなくとも、貴元とアーロンがラリーで勝ったことを嬉しく思います。これまでの貴元の努力と情熱を考えれば、彼は本当にこの勝利にふさわしいと思います。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
この結果を成し遂げることができて、本当に素晴らしい気分です。フィニッシュラインを通過した時の気持ちを言葉で表わすのは難しいですが、とにかくクレイジーでした。これまで本当に多くの困難な瞬間を経験してきたので、それらの記憶が頭の中を駆け巡りました。決して楽な道のりではありませんでしたが、ついにここまで来ることができました。自分と一緒に一生懸命努力してくれたアーロン、そして常に僕を信じてくれたチームの皆に感謝します。今日は小さな岩ひとつひとつが目に入ってしまい、それを避けるのは本当に大変でしたが、何も問題なく走り切ることができました。こんなにも強いクルマとサポートを提供してくれたチームに感謝します。自分たちがここまで来られたのは決して諦めなかったからですし、これからもこのような結果を出せるように努力し続けます。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
再び表彰台に立つことができて本当に嬉しいです。今回はまさに冒険のような、非常にタフなラリーでしたが、それがこのイベントの本質です。特に金曜日に発揮したパフォーマンスは良かったと思いますし、ベストタイムを5本記録することができたので最高です。今日も自分たちにスピードはありましたが、とにかくトラブルなく完走することが一番重要でした。一週間を通してクルマを最高の状態に保ってくれたチームに感謝します。また、貴元とアーロンの初優勝を、私とマルコは本当に嬉しく思っています。
<<サファリ・ラリー・ケニアの結果>>
1 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h16m05.6s
2 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +27.4s
3 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +4m26.1s
4 エサペッカ・ラッピ/エンニ・マルコネン (ヒョンデ i20 N Rally1) +6m07.3s
5 ロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m37.8s
6 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +12m09.0s
7 ファブリツィオ・ザルディヴァー/マルセロ・デル・オハネシアン (シュコダ Fabia RS Rally2) +12m20.0s
8 アンドレアス・ミケルセン/ヨルン・リストゥルード (シュコダ Fabia RS Rally2) +12m30.7s
9 ディエゴ・ドミンゲス/ロヘリオ・ペナーテ (トヨタ GR Yaris Rally2) +13m28.4s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) +16m44.5s
11 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +17m30.7s
13 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +26m20.9s
(現地時間3月15日19時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<第3戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 66ポイント
2 オリバー・ソルベルグ 58ポイント
3 勝田 貴元 55ポイント
4 アドリアン・フォルモー 47ポイント
5 サミ・パヤリ 32ポイント
6 セバスチャン・オジエ 26ポイント
7 ティエリー・ヌービル 25ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 21ポイント
9 ロバート・ヴィルヴェス 10ポイント
10 ガス・グリーンスミス 8ポイント
<<第3戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 157ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 114ポイント
3 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 35ポイント
4 M-Sport Ford World Rally Team 23ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、4月9日から12日にかけて、クロアチアで開催される「クロアチア・ラリー」です。2021年にWRCとして初めて行なわれたこのイベントは、2年ぶりの開催となります。ホストタウンは首都ザグレブから、アドリア海に近い都市リエカへと移動。ターマック(舗装路)のステージは舗装路面のコンディション変化が大きく、グリップが変わりやすいことが特徴です。コースは中高速のコーナーとテクニカルなコーナーがミックスされた、攻め甲斐のあるステージによって構成されています
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