6月28日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦アクロポリス・ラリー・ギリシャの最終日デイ4が、ルートラキのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 1号車)が優勝し、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合3位で表彰台を獲得。TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合5位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合7位で、オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)は総合16位でフィニッシュしました。また、GR Yaris Rally2で出場したTGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀は最終ステージで今季初のクラストップタイムを記録し、WRC2クラス10位でラリーを終えました。
アクロポリス・ラリーの最終日は、ルートラキのサービスパークの東から北にかけてのエリアで、「アギー・テオドリ」と「ルートラキ」という2本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。いずれもこのラリーでは名の知れたステージですが、ルートは昨年と大きく異なり、SS14/16アギー・テオドリは2013年以来のルートを使用。全長は25.39kmと今大会最長でした。一方、S15/17ルートラキはこれまでより距離が大幅に伸び16.61kmに。最終のSS17は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されました。
最終日も天気は非常に良く、日中の気温は30度前後まで上昇。空気は非常に乾燥しており、ドライコンディションでの戦いになりました。前日のデイ3で首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)との差を4.1秒まで縮めたオジエは、オープニングステージのSS14で、3番手タイムのヌービルよりも5.4秒速い2番手タイムを記録。その結果1.3秒差でトップに立ちました。続くSS15ではオジエとヌービルがベストタイムを分け合い、順位とタイム差は変わらず。ルートラキでのミッドデイサービスを挟んで始まったループステージのSS16でも、オジエはベストタイムを記録しました。一方、このステージではヌービルがタイヤにダメージを負い、オジエと53.5秒差の11番手タイムに。順位は変わりませんでしたが、両者の差は54.8秒と大きく拡がりました。そしてオジエは、最終のパワーステージもベストタイムで走り切り、第5戦ラリー・イスラス・カナリアス以来となる今シーズン2勝目、WRC通算69勝目を飾りました。また、オジエは日曜日のみの合計タイムによって競われる「スーパーサンデー」も制し、パワーステージ1番手タイムによるボーナスと合わせてトータルでは最大値となる35ポイントを獲得。パーフェクトウィンを達成した結果、ドライバー選手権ランキングではここまで2戦を欠場しながらも、5位から3位へと順位を上げました。なお、アクロポリス・ラリーでのオジエの初勝利は2011年で、今回は15年ぶり2回目の優勝でした。
2番手という不利な出走順でデイ2のステージを走行しながらも、デイ3終了時点で総合3位まで順位を上げていた勝田は、前後のライバルとの差が大きくついていたこともあり、最終日は確実性を重視して走行。オープニングのSS14では、総合4位につけるアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)が、5番手タイムの勝田より20.3秒速いベストタイムを刻んだことにより、差は23.3秒に縮まりました。ところが、続くSS15でフォルモーはタイヤにダメージを負い大幅にタイムをロス。総合5位に後退し、3番手タイムを記録した勝田との差は2分以上に拡大しました。その時点で総合4位に順位を上げたジョシュ・マッカーリーン(Mスポーツ・フォード)と、総合3位勝田の差は1分13.6秒に。勝田はSS16で6番手タイム、最終のパワーステージでは4番手タイムを記録して総合3位でフィニッシュし、今シーズン4回目となる表彰台を獲得しました。また、勝田はスーパーサンデー3位、パワーステージ4番手によるボーナス5ポイントも加算し、ドライバー選手権では2位を守り、首位エバンスとの差を20ポイントから7ポイントに縮めました。
デイ2でクルマのトラブルとタイヤのダメージに見舞われながらも、デイ3で総合6位まで順位を挽回したパヤリは、最終日も好調を維持し、パワーステージを含むステージでセカンドベストタイムを2回記録して総合5位でフィニッシュ。スーパーサンデーでもオジエに次ぐ2位となったことで多くのボーナスを獲得し、ドライバー選手権4位をキープしました。また、総合7位から挽回を期して最終日に臨んだエバンスは、オープニングのSS14でタイヤがホイールのリムから外れて空気が抜けタイムをロス。それでも順位は守り、パワーステージ5番手タイムによるボーナスも獲得してドライバー選手権首位の座を守りました。また、デイ2でのデイリタイアにより大きく順位を落としていたソルベルグは、最終日も着実に順位を挽回し続け総合16位でフィニッシュ。スーパーサンデー5位による1ポイントを獲得しました。
なお、TGR-WRTは今季これで8戦7勝となり、今大会で合計46ポイントを獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権におけるリードを140ポイントに拡大しました。
サポート選手権のWRC2では、GR Yaris Rally2のアレハンドロ・カチョンが3位、ローぺ・コルホネンが4位、ディエゴ・ドミンゲスが5位でフィニッシュ。TGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀は、最終日もコ・ドライバーのジェームス・フルトンと共にGR Yaris Rally2で速さを発揮し、SS14と16で5番手タイムを、SS15で4番手タイムを、最終のSS17では今季初となるベストタイムを記録。デイ2で2回パンクを喫してタイムを失ったことでWRC2クラスの順位は10位でしたが、結果以上に印象的な速さを示した一戦となりました。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
セブ、ヴァンサン、最終日での逆転勝利をありがとう!スーパーサンデーもパワーステージも制してフルマークでのポイント獲得。そしてランキングも3位に浮上…さすがです。
貴元も3位表彰台おめでとう!今シーズン、2回に1回は表彰台に乗った貴元を見られています。シーズン後半も、そんな貴元の姿が見られることを楽しみにしています。
セブはラリージャパンのとき、ラリー中にも関わらずサービスで私をつかまえて、“ある相談”をしてくれました。その相談に私も“ある提案”で返しました。もしかしたら、その会話が、今回のセブの速さに繋がったのかなと思っています。セブ、あなたから相談されたこと、もちろんちゃんと覚えています。シーズン後半戦もがんばってください!(笑)
セブだけでなく、ラリージャパンでは、ユハやヤリ-マティとも色々と話をすることができました。今のチームメンバーのことから、将来の参戦についてまで…。直接会って話せたことは本当に有意義でした。素敵なチームにしてくれている二人に改めて感謝します。後半戦も、またどこかで話しにいけたらと思います。
実は…モリゾウは故障を直す手術をしていました。まだまだ闘病中。みんなのこんなに素晴らしい活躍が一番の良薬です。チームのみんな本当にありがとう!
<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
このラリーで勝てたことは本当に大きな意味があります。ここ数年、ギリシャではかなり不運が続いていましたが、今回は最終のひとつ前のステージでヌービルがダメージを負うなど、運が味方してくれました。それまでは本当に素晴らしい戦いが続いていましたが、セブは今回もまた見事な走りを見せてくれました。彼はトラブルと無縁でしたし、このイベントでの2回目の優勝にふさわしい戦いでした。貴元も本当に素晴らしかったですし、彼が再び表彰台に立つ姿を見ることができて良かったです。サミも最終日に見事な走りを見せ、順位を挽回し続けました。エルフィンは今回はあまり運に恵まれず、オリバーにとっても厳しい戦いでしたが、次のラリーは彼らにとってもっと良いものになるでしょう。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
事前に予想していた通り、厳しい週末になりました。金曜日は難しいスタートでしたが、その後状況は良くなり、土曜日の午後にはそれほど悪くない展開になっているように思えました。しかし、最後のステージでパンクをしてしまいました。今日は順位を挽回しようと頑張ったのですが、最初のステージで土手に接触し、タイヤがホイールのリムから外れてしまいました。この結果にはがっかりしていますが、こういうこともあります。次戦に向けて前に進むしかありません。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
長年の時を経て、アクロポリス・ラリーで再び優勝することができて良い気分です。まるでギリシャの神々が再び味方してくれたかのようでした。いつものように、今回もまた非常に厳しいラリーでしたし、特にタイヤに関して非常にタフだったので、今回はトラブルに巻き込まれずに済んで本当に良かったです。ティエリーとは接戦でしたし、パワーステージも路面が非常に荒れていたので、気を抜く暇はありませんでした。できるだけジェントルに走ろうとしたので自分のタイムには驚きましたが、求めていた最大ポイントをすべて獲得することができて本当に良かったです。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
今日はできる限りのことをやったと思います。少なくともスーパーサンデーではエルフィンを抑えて1ポイントを獲得できましたが、出走順を考えると、これ以上の結果は望めなかったと思います。今週末もまた痛い目にあってしまい、とても残念です。ここ最近はこうした小さなミスが重なり、厳しい状況が続いています。とにかく自分を信じ続け、気持ちをリセットしてより良い方向へと進む方法を見つけなければなりません。これからはよく知っているラリーが控えているので、楽しみにしています。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
これほど過酷なラリーを戦い抜いて表彰台に立つことができ、本当に嬉しいです。序盤は出走順が2番手で苦戦しましたが、それは想定内のことでした。トラブルやミスを避け、ただ状況をコントロールするという明確なプランをたて、それが上手く行きました。アーロンとチームに感謝します。クルマには全く問題がなく、良い週末でしたし、これから臨むことになるハイスピードラリーも楽しみです。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
自分たちにとって今日はまさにスーパーサンデーでしたし、そのことを心から喜ぶべきでしょう。ラリーの序盤は自分たちにとって非常に厳しい状況で、そこから挽回するのは難しかったですが、できる限りの結果を残すことができたと思います。順位を大きく上げ、日曜日に追加で8ポイントを獲得できたので、最終的には悪くないイベントになりました。チャンピオンシップでも依然良い位置につけていますし、この後には自分たちが得意なラリーも控えています。
<<山本雄紀 (WRCチャレンジプログラム GEN2)>>
非常にラフなこのラリーで完走することができて良かったです。とても速いペースを維持できただけでなく、安定した走りもできました。とはいえ、このようなコンディションでのラリーマネージメントや、パンクやトラブルを回避する方法については、まだまだ学ぶべき点があります。それでも、将来に活かせる多くのことを今回学んだと思います。また、パワーステージでステージ優勝を飾ってラリーを締めくくれたことも、本当に良かったです。
<<アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果>>
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h36m40.7s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +58.3s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m04.8s
4 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +4m55.5s
5 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +5m02.2s
6 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +5m08.7s
7 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +5m54.9s
8 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +8m05.8s
9 ロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m50.1s
10 アンドレアス・ミケルセン/ヨルン・リステルード (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m52.5s
16 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) +15m31.2s
(現地時間6月28日19時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<WRC2の結果>>
1 ロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) 3h46m30.8s
2 アンドレアス・ミケルセン/ヨルン・リステルード (シュコダ Fabia RS Rally2) +1m02.4s
3 アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m03.2s
4 ローペ・コルホネン/アンシ・ヴィニッカ (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m53.3s
5 ディエゴ・ドミンゲス/ロヘリオ・ペナーテ (トヨタ GR Yaris Rally2) +3m43.1s
6 レオ・ロッセル/ギヨーム・メルコレ (ランチアYpsilon Rally2 HF Integrale) +4m10.6s
10 山本 雄紀/ジェームス・フルトン (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m57.6s
<<第8戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 158ポイント
2 勝田 貴元 151ポイント
3 セバスチャン・オジエ 125ポイント
4 サミ・パヤリ 114ポイント
5 オリバー・ソルベルグ 103ポイント
6 アドリアン・フォルモー 97ポイント
7 ティエリー・ヌービル 95ポイント
8 ヘイデン・パッドン 21ポイント
9 エサペッカ・ラッピ 21ポイント
10 ヨアン・ロッセル 20ポイント
<<第8戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 416ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 276ポイント
3 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 126ポイント
4 M-Sport Ford World Rally Team 107ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、7月17日(金)から19日(日)にかけて、エストニアで開催される「ラリー・エストニア」です。グラベル(未舗装路)のラリーながらステージの特徴はアクロポリス・ラリーと大きく異なり、全体的にハイスピードで、路面はスムースで基本的には大きな石もありません。その点においてはラリー・フィンランドと似たキャラクターですが、フィンランドより道幅が狭くツイスティなセクションも多く、また、路面が軟らかいため同じステージを2回目に走行する時は、深い轍ができやすいのが特徴です。
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第8戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ
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