8月2日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦ラリー・フィンランドの最終日デイ4が、ユヴァスキュラのサービスパークを起点に行われ、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(GR YARIS Rally1 5号車)が優勝。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)が総合2位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位に入り、昨年大会に続き表彰台を独占しました。また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合6位でフィニッシュしました。
ラリー・フィンランドの最終日デイ4は、サービスパークの南西エリアで今大会最長となる30.02kmのステージ「ヒモス-ヤムサ」を、ミッドデイサービスを挟むことなくSS19/20として2回走行。そのうち2本目のSS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されました。デイ4は夏季の北欧らしい爽やかな天気に恵まれ、ステージの路面コンディションは概ねドライ。最終日に相応しい戦いの舞台が用意されました。
デイ3で首位に立ち、総合2位のソルベルグに46.4秒、総合3位のエバンスに1分36.3秒という大きなリードを築いた24歳のパヤリは、1本目のSS19で確実性を重視した走りにより4番手タイムを記録。ベストタイムを刻んだソルベルグとの差は36.4秒に縮まりました。このステージではエバンスが2番手タイム、勝田が3番手タイムを刻むも、上位の順位は変わらず。そして、パワーステージに指定された2本目のSS20ではエバンスが、2番手タイムのソルベルグと僅か0.025秒差でベストタイムを記録。パヤリは5番手タイムでステージを走り切り、総合2位ソルベルグと26.7秒差で母国ラリー初優勝を飾りました。これでパヤリは、前戦ラリー・エストニアでのWRC初優勝に続く、2連勝を達成。大勢のファンの声援を受けながら、開催75周年記念大会の表彰台最上段に立ちました。なお、今回のパヤリの優勝は、フィンランド人ドライバーにとって記念すべきWRC200回目の優勝となりました。
パヤリは、優勝による25ポイントと、日曜日の合計タイムのみにより順位を競うスーパーサンデーとパワーステージで共に5位だったことで2ポイントのボーナスを加算し、合計27ポイントを獲得。その結果、ドライバー選手権では3位から2位へと順位を上げました。一方、1本目のジャンプの着地による背中の痛みと戦いながらも、前戦エストニアに続き総合2位でフィニッシュしたソルベルグは、スーパーサンデー1位、パワーステージ2位により、合計26ポイントを獲得。ドライバー選手権4位の座を維持しました。また、総合3位のエバンスはスーパーサンデー2位、パワーステージ2位により合計24ポイントを獲得し、ドライバー選手権首位の座を堅持。2位パヤリとの差は30ポイントとなり、チャンピオンシップにおけるリードを拡大しました。
総合5位につけていた勝田は、2本目のSS20でコースオフ。木に当たってクルマにダメージを負い、スロー走行を余儀なくされました。勝田は何とかステージを走り切るもトップからは1分36秒以上の遅れをとり、総合6位にポジションダウン。ドライバー選手権では2位から3位へと後退しました。
なお、土曜日のデイ3中盤までラリーをリードしながらも、激しいコースオフを喫したセバスチャン・オジエとコ・ドライバーのジュリアン・イングラシアは、大きな怪我はありませんでしたが、経過観察のため病院で一夜を過ごすことになりました。しかし、特に問題はなかったため日曜日の朝に退院し帰宅の途につきました。オジエとイングラシア、そしてチームは、大きなサポートと励ましをいただいた医療チームとファンの皆さん全員に、心から感謝いたします。
マニュファクチャラー選手権でのTGR-WRTは、TGR-WRT2からのエントリーとなるパヤリが獲得したポイントこそ加算されませんでしたが、エバンスとソルベルグが得たポイントにより、ライバルに対するリードを174ポイントに拡げました。
サポート選手権のWRC2では、GR Yaris Rally2で出場のテーム・スニネン(フィンランド)が2位で、TGR WRCチャレンジプログラムのヤスパー・ヴァヘル(エストニア)が4位でフィニッシュしました。また、Rally2車両全車が対象となるRC2クラスでは、WRC2にはエントリーしていないTGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ(フィンランド)が、コ・ドライバーのユホ・ハンニネンと共にトップでフィニッシュ。総合でも8位に入りました。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
サミ、マルコ、2連勝そして母国での優勝おめでとう!
ユヴァスキュラの表彰台に6人で乗ってくれたことも本当に素晴らしいことだと思います。地元ファンの皆さまに何よりのお礼ができました。これは33号車のメカたちの力がなかったら実現していなかったことです。彼らは地面に3回転もしてボロボロになったクルマを、たった30分で蘇らせ、何のペナルティもなくエルフィンたちを勝負の道に戻してくれました。こうしたメカの活躍はWRCでは良く聞く話ですが、交換したパーツが「前後バンパー、サイドパネル、ボンネット、リアゲート、左ヘッドライト、右ドア」と聞くと、彼らの技が本当にすごいものだと感心します。メカのみんな、ありがとうございました。
チームのみんなをまとめ、ドライバーたちに的確なアドバイスを送り続けてくれたユハにも感謝します。
今回は、ラリー後に家で家族と過ごせるメンバーも多いと思います。次戦パラグアイまで1ヶ月ないですが、後半戦に向けて、少しでも夏休みを楽しんでください。
オリバーもしっかり体を休めて今季2勝目に向けた万全の準備を頼みます。2戦連続のワンツーフィニッシュをありがとう。
追伸
ヤリ-マティもRally2優勝おめでとう!新しいカラーリングは気に入った?最初は私からの提案を少し嫌がっていたけど…笑
<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
我々のホームイベントであるここフィンランドで、今回もまたポディウムの全ての段に自分たちのクルーが立つという結果を得られたことを嬉しく思います。このラリーを40年以上見てきましたが、これほど多くのハプニングに遭遇したのは初めてかもしれません。ファンの皆さんにとっては見どころ満載のラリーだったと思いますし、我々にとってもハラハラする場面が何度もありましたが、最終的には良い結果になりました。サミは今回も素晴らしい走りを見せてくれましたし、ラリー・フィンランドでまた一人、フィンランド人のウイナーが誕生したことを誇りに思います。サミは今日、確実に優勝することに集中していましたが、オリバーとエルフィンも非常に速く、多くのポイントを獲得することができました。また、セブとジュリアンが無事で、すでに帰国していることを嬉しく思いますし、彼らの一日も早い回復を願っています。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
表彰台に立つことができたのは嬉しいですが、これは昨日、私のミスで壊してしまったクルマをサービスで直してくれたチームのおかげです。スーパーサンデーは非常に高速なステージで、いつものようにハイペースな展開でした。1回目の走行では少し勇気が足りなかったかもしれなかったので、2回目の走行ではさらに攻めてみました。グリップはかなり高かったのですが、それを十分に活かせなかったかもしれません。それでも、自分たちが獲得したポイントには満足しています。サミ、マルコ、おめでとう。ホームラリーで優勝する喜びがどれほど特別なものか、私にもよく分かります。彼らと私たち、そして早期の回復を願っているセブとジュリアンの間には、それほど大きな差はありませんでした。それでも、最後まで動じることなく走り切った彼らは、この勝利にふさわしいと思います。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
このような形でラリーウィークが終わることは望んでいなかったですし、とくに、それまでは全てが非常に順調だっただけになおさらです。しかし何よりも重要なのは、私たちがふたりとも無事だったことです。このような強靭なクルマを作ってくれたチームに心から感謝します。また、大きな衝撃を受けた直後に私の身体を気づかい、家族に私が無事であることを知らせてくれたジュリアンにも感謝しなければなりません。これから少し休養を取り、早く万全の状態で復帰できるように頑張ります。また、たくさんのメッセージをいただき、ありがとうございます。またしても優勝したサミとマルコ、そしてホームイベントで今回もまた表彰台を独占したチームにおめでとうと言いたいです。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
クレイジーな週末、そしてクレイジーな一日でした。フィニッシュにたどり着き、再び表彰台に立ち、スーパーサンデーで優勝できたことを本当に嬉しく思います。パワーステージではほんのわずかな差でベストタイムを逃しましたが、他の多くの場所では慎重に走っていたので、最終ステージを可能な限り速く走れただけでも満足です。多くの貴重なポイントを獲得することができましたし、チームにとってまたしても素晴らしい結果になりました。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
本当に厳しい週末でした。今日はボーナスポイントの獲得を目指しましたが、結局うまくいきませんでした。最終ステージでイン側に突き出た岩が見えたので避けようとしたのですが、ラインから外れた場所に大量のルースグラベルが拡がっていました。そのためコーナリングラインがワイドになってしまい、次の右コーナーを曲がりきれず木にぶつかってしまいました。自分のミスによるものですし、チームには本当に申し訳なく思っています。気持ちを切り替えて、次はもっと良い結果を出せるように頑張ります。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
ラリー・フィンランドで勝てたことは、ただただ素晴らしいとしか言いようがありません。またひとつ自分たちの夢が叶いました。エストニアでの初優勝も大きな出来事でしたが、地元での優勝はやはり特別なものです。フィンランド人ドライバーにとって、地元での優勝は必ずしも容易なことではありませんでしたが、このクレイジーなラリーを戦い抜き、何とかそれを成し遂げることができました。今回のラリーはエストニア戦よりも過酷で、より激しい戦いでした。セブとエルフィンとは本当に接戦で、ラリーの大部分でほぼ同じくらいのタイムでした。自分が「1000湖ラリー」の勝者になれたのは信じられないことです。マルコと私は、伝説的なドライバーたちがこのラリーで優勝する姿を見て育ちました。そして今、自分たちも表彰台の頂点に立つことができたなんて、本当に信じられないことです。チームとファンの皆さんの応援に心から感謝します。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (GR Yaris Rally2 40号車)>>
ラリー・フィンランドでこの結果を成し遂げることができて、最高の気分です。2019年を最後にWRCへのフルタイム参戦を辞めて以来、このような結果を残すことをずっと夢見てきました。トップカテゴリーでの自分の時代は終わったことは分かっていますが、本当に速い若手ドライバーたちとRally2カーで戦えたのは素晴らしい経験でした。私たちのGR Yaris Rally2は素晴らしいクルマですし、ユホと共に優勝を成し遂げられたことを本当に誇りに思います。ユホは普段TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクターとしてドライバーたちを指導している時と同じように、ラリー期間中は私をコーチングしてくれました。天候の影響もあり、今回のラリー・フィンランドはこれまでで最も過酷な大会の一つでしたし、我々のRally1クルーにとっても厳しい戦いになりましたが、サミとマルコが地元で優勝し、表彰台を独占できたのは良かったです。
<<ラリー・フィンランドの結果>>
1 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h27m58.0s
2 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) +26.7s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m19.5s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m35.9s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m52.5s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +4m18.2s
7 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +4m32.7s
8 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m25.5s
9 ロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m46.9s
10 テーム・スニネン/ヤンネ・フッシ (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m03.0s
R セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間8月2日18時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<第10戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 201ポイント
2 サミ・パヤリ 171ポイント
3 勝田 貴元 160ポイント
4 オリバー・ソルベルグ 156ポイント
5 セバスチャン・オジエ 139ポイント
6 アドリアン・フォルモー 129ポイント
7 ティエリー・ヌービル 125ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 25ポイント
9 ヘイデン・パッドン 21ポイント
10 ジョシュ・マッカーリーン 21ポイント
<<第10戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 514ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 340ポイント
3 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 184ポイント
4 M-Sport Ford World Rally Team 130ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は8月27日(木)から30日(日)にかけて開催される、第11戦「ラリー・デル・パラグアイ」です。南米大陸ではこれまでアルゼンチンやチリでWRCが行われてきましたが、昨年初めてパラグアイがカレンダーに加わり大きな成功を収めました。ラリーの中心となるサービスパークは今年も南部の都市「エンカルナシオン」に置かれ、粘土質の赤土と変わりやすいグリップが特徴のグラベル(未舗装路)ステージが戦いの舞台となります。
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第10戦 ラリー・フィンランド
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