8月30日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・デル・パラグアイ」のデイ3がエンカルナシオンのサービスパークを起点に行われ、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(GR YARIS Rally1 5号車)が、最終日も首位を守り優勝。第9戦から3戦連続となる勝利を収めました。また、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合4位で、オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)は総合5位で、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(1号車)は総合34位でフィニッシュ。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)はアクシデントによりリタイアとなりました。そしてGR Yaris Rally2で出場したTGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀は14位で自身初の南米戦を終えています。
ラリー・デル・パラグアイの最終日は、サービスパークの北および北西エリアで、2本のステージをミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。2本の再走ステージの前には、1本の独立したステージをSS20として走り、5本のステージの合計距離は66.35kmと3日間で最短でした。
デイ3のオープニングステージとなったSS18は、降雨によりステージの一部が湿っていたり泥状になっていたりする、トリッキーなコンディションとなり、このステージではオジエがベストタイムを記録。ほぼドライコンディションとなったSS19、SS20ではソルベルグが連続でベストタイムをマークしました。一方、デイ2終了時点で総合2位のヘイデン・パッドン(ヒョンデ)に24.1秒のリードを築いていた首位パヤリは、確実性を重視したクリーンな走りを続けながらも、3本のステージが終了した時点で差は26.1秒と僅かに拡がりました。リピートステージの1本目となるSS21では、出走順トップの勝田がハイスピードなセクションでクラッシュ。勝田とジョンストンは無事でしたが、念のため病院で検査を受け、その後問題がないことが確認され午後には病院を出ました。このクラッシュによりステージはキャンセルとなり、ドライバーたちは最終のパワーステージ、SS22へと向かいました。
全長10.21kmのパワーステージ「エンカルナシオン2」では、ソルベルグがベストタイムを、オジエが2番手タイムを記録。パヤリは最終ステージでも慎重なアプローチを崩さず、7番手タイムで走り切り、総合2位のパッドンに25.8秒差をつけて優勝しました。24歳のパヤリは今シーズン、地元開催イベントの第9戦ラリー・フィンランドでWRC初優勝を成し遂げ、続く第10戦ラリー・エストニアでも優勝。今回の勝利により、パヤリとコ・ドライバーのサルミネンは、キャリア最初の3勝を3戦連続で成し遂げた、WRC史上初のクルーとなりました。
デイ2終了時点で総合3位につけていたエバンスは、総合4位のアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)に3.3秒のリードを持ってデイ3をスタートしましたが、SS18で総合4位に後退。最終的にはフォルモーと5.1秒差の総合4位でラリーを終えました。それでもパワーステージでの4番手タイムと、日曜日のみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」で5位になったことにより、貴重なボーナスポイントを獲得。ドライバー選手権における首位の座を守り、選手権2位のパヤリを20ポイントリードしてシーズン最後の3戦に臨むことになります。
2番手タイムのオジエに2.2秒差をつけてパワーステージを制したソルベルグは、総合5位でフィニッシュ。スーパーサンデーでは1位のオジエと同タイムとなり、合計9ポイントのボーナスを獲得し、勝田を抜きドライバー選手権3位に順位を上げました。また、オジエはデイ1でのデイリタイアが響き最終的な順位は総合34位でしたが、ボーナスの9ポイントを獲得。TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権で首位を守り、2位のライバルに対するリードを173ポイントとしました。なお、残りの3戦で獲得可能な最大ポイントは180ポイントとなるため、次戦の結果次第ではマニュファクチャラーズタイトルを決定することも可能です。
サポート選手権のWRC2では、ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ)とコ・ドライバーのロヘリオ・ペニャーテ(スペイン)が首位を守り切り、MSiレーシングチームと共にWRC2初優勝を飾りました。また、2位と3位にはレースセブンが用意したクルマで出場したガス・グリーンスミス(イギリス)/ヨナス・アンダーソン(スウェーデン)組と、アレハンドロ・ガランティ(パラグアイ)/マルセロ・トヨトシ(アルゼンチン)が入り、GR Yaris Rally2は初の1-2-3フィニッシュを達成しました。また、今回がラリー・デル・パラグアイ初出場だったTGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀は、SS19で5番手タイムを、SS22で6番手タイムを刻むなど速さを示し、デイ1で技術的な問題によるデイリタイアで大幅なタイムロスを喫しながらも、14位で自身初の南米戦を走破しました。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
ラリー・パラグアイに参戦したチームの皆さん、開催いただいた皆さま、荒天のラリーウィーク本当におつかれさまでした。強風に飛ばされたサービスパークの写真も見せてもらいました。ただでさえ厳しい道のラリー・パラグアイが無事に終了してホッとしています。皆さま、ありがとうございました。
そんな中でサミとマルコが勝利してくれました。エストニア、フィンランドに続く3連勝。サミ、マルコ、おめでとう!
2人の猛追がチャンピオン争いをとても面白くしてくれています。サミ、マルコ、そしてエルフィンとスコットも、残り3戦、思い切って走ってチャンピオンを目指してください! みんなを応援しています!
追伸
実は、昨年来「ラリー・パラグアイに来て欲しい」とパラグアイの皆さまから熱烈なお誘いをいただいておりました。手術後ということもあり、今年はパラグアイに行くことを断念しましたが、現地の様子を聞いて「晴れ男の私が行った方がよかったかなぁ」と思っておりました。来年こそチャンスあれば!
<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
初勝利から3戦連続で優勝という、驚くべきリザルトをサミが達成したことを、私たちは大変嬉しく思っています。エストニアとフィンランドは彼にとってより馴染みのあるラリーでしたが、パラグアイでのこの大会は誰にとってもまだ非常に新しく、これまでとは大きく異なるチャレンジでした。コンディションは決して容易ではなく、特に金曜日は波乱の連続でしたが、サミは大きなトラブルなく乗り切りました。彼は無理なリスクを冒すことなく安定した走りを続け、素晴らしい仕事をしてくれました。エルフィンも、金曜日は少し不運でしたが、非常に賢明にラリーを戦い抜きました。また、オリバーとセブは最終日を最大限に活かすことができました。一方、貴元にとっては厳しいラリーとなりましたが、最も重要なのは彼とアーロンが二人とも無事であるということです。今回の戦いは私たちにとってかなりハードでしたが、マニュファクチャラーズタイトルの獲得にまた一歩近づいたので、チリが楽しみです。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
今週末は金曜日の午前中は順調なスタートを切りましたが、午後にタイヤの問題が発生してからは、なかなか良いリズムで走れず、非常に好調だったアドリアンを抑えるだけのペースがありませんでした。金曜日の波乱の後、コンディションが過酷だったこともあり、少し慎重になりすぎたのかもしれませんが、リスクとリターンのバランスを取るのは容易ではありませんでした。今週末の結果に完全に満足しているわけではありませんが、より厳しい状況に陥ったドライバーたちもいましたし、私たちはまずまずのポイントを獲得できたと思います。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
今日はオリバーと良いバトルを繰り広げ、厳しい週末の中で少しでも多くポイントを取り戻すことに努めました。パワーステージまでは満足できる展開でしたが、多くのドライバーが苦戦していたと思われる泥だらけのセクションで、ハーフスピンをしてしまいました。それでも、たとえチャンピオンシップの行方に大きく作用するものではなくても、9ポイントを獲得できたのは悪くありません。今回は望んでいた結果は得られませんでしたが、それでも走る喜びを感じ、ファンの皆さんと楽しい時間を過ごすことができました。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
今朝最初のステージでは、クルマが走るごとに路面がどんどん泥だらけになっていったため、少しタイムを失ってしまいました。しかし、その後は走行した全てのステージで優勝することができたので、その点については満足しています。メカニックたちは、信じられないくらい荒れた展開となった今回のイベント期間中、クルマを走り続けさせるために、素晴らしい仕事をしてくれました。チームにはとても感謝しています。金曜日は細かな部分で少し不運があり、それがタイムロスにつながったと思いますが、それでもファンの皆さんの情熱と応援を肌で感じて笑顔になれた、素晴らしい週末でした。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
アクシデントの衝撃はかなり大きかったですが、アーロンも自分も無事だったことが、自分たちの安全を守るためにクルマがいかに強く作られているかを示しています。チームと、レギュレーションを定めてくれたFIAに感謝するとともに、アクシデント後に自分たちを助けてくれたり、サポートをしてくれた全ての人々に感謝します。何が起こったのか正確には分かりませんが、クルマのリヤが滑り出し、立て直そうとしたところイン側の小さな土手にぶつかり、クルマの2輪が浮いてしまいました。それでも何とか立て直そうとしたのですが、横転してしまいました。自分のミスですし、チームには申し訳なく思っていますが、それでもサポートを続けてくれることに心から感謝します。この週末はうまくいきませんでしたが、良い時も悪い時もあるのは戦いの一部なので、より強くなって戻ってきます。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
本当に嬉しく、誇らしい瞬間です。これまで誰も成し遂げたことのないようなことを達成したのだと知り、本当に特別な気持ちです。改めて、チームに心から感謝します。ドライバーにとってもチームにとっても決して簡単なラリーではなかったからこそ、これほど信頼性の高いクルマを作り上げられたことが、今回の成功の鍵となりました。このラリーはエストニアやフィンランドとは全く異なり、常に全開で走るのではなく、様々な状況に対応し、クレバーに運転することを心がけました。本当に厳しいラリーでしたが、だからこそ優勝できた喜びは格別です。チャンピオンシップ争いでも好位置につけています。まだポイント差はありますが、これからもできる限りベストを尽くし続けます。
<<山本雄紀 (WRCチャレンジプログラム GEN2)>>
今回のラリーは最初の2ステージでパンクに見舞われ、なかなかリズムをつかむことができず、厳しいスタートとなりました。午後はフィーリングも区間タイムも良くなりましたが、その後トラブルでデイリタイアを余儀なくされました。土曜日も序盤は色々と問題が発生しましたが、午後は状況が良くなりました。普段通りの感覚で走ることができ、全てがスムースに進みました。そして最終日はミスもなく、ステージタイムも良かったので、本当に良い一日となりました。この良いフィーリングをチリに持ち越すことができればと思っています。
<<ラリー・デル・パラグアイの結果>>
1 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h13m28.5s
2 ヘイデン・パッドン/ジョン・ケナード (ヒョンデ i20 N Rally1) +25.8s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +40.0s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +45.1s
5 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m57.0s
6 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +4m19.0s
7 ディエゴ・ドミンゲス/ロヘリオ・ペニャーテ (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m40.5s
8 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m03.2s
9 アレハンドロ・ガランティ/マルセロ・トヨトシ (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m23.0s
10 テイラー・ギル/ダニエル・ブルキク (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m36.9s
34 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +1h03m41.6s
R 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間8月30日16時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<WRC2の結果>>
1 ディエゴ・ドミンゲス/ロヘリオ・ペニャーテ (トヨタ GR Yaris Rally2) 3h21m09.0s
2 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +22.7s
3 アレハンドロ・ガランティ/マルセロ・トヨトシ (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m42.5s
4 テイラー・ギル/ダニエル・ブルキク (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m56.4s
5 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (ランチアYpsilon Rally2 HF Integrale) +4m16.3s
6 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (ランチアYpsilon Rally2 HF Integrale) +4m26.4s
14 山本 雄紀/ジェームス・フルトン (トヨタ GR Yaris Rally2) +31m14.7s
<<第11戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 216ポイント
2 サミ・パヤリ 196ポイント
3 オリバー・ソルベルグ 175ポイント
4 勝田 貴元 160ポイント
5 アドリアン・フォルモー 149ポイント
6 セバスチャン・オジエ 148 ポイント
7 ティエリー・ヌービル 129ポイント
8 ヘイデン・パッドン 38ポイント
9 ジョシュ・マッカーリーン 29ポイント
10 エサペッカ・ラッピ 25ポイント
<<第11戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 554ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 381ポイント
3 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 210ポイント
4 M-Sport Ford World Rally Team 138ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、9月10日(木)から13日(日)にかけて南米のチリで開催される、第12戦「ラリー・チリ・ビオビオ」です。約1週間のインターバルを経て行われるこのラリーは、今年でWRC開催5回目。チリ中南部ビオビオ州の州都「コンセプシオン」を中心に、グラベルラリーとして3日間にわたり競技が行われます。太平洋を見渡す森林地帯に設定されるコースは中高速のステージが大部分を占め、路面は全体的にスムースですが、タイヤの摩耗に厳しいセクションも多くあります。
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