No.01
An hour of bumping along the road
1時間クルマを揺らし続ける波状路
路肩では山羊や乳牛が頻繁に歩き、歩行者が突然クルマの前を横切るタンザニアの街。アフリカ走破は、混沌から始まった。だが喧騒のオンロードを一本曲がれば、自然を分け入るオフロードが延々と続く。ンゴロンゴロ保全地区とセレンゲティ国立公園をつなぐ道では、波状路が1時間以上も体を揺らし、ショックアブソーバーに強烈な負荷をかけた。
29 August 2018
タンザニアから、ザンビア、ジンバブエへと東アフリカを南下していく。その長い道の途中にはいくつもの国立公園があり、原始の姿を見せてくれる。シマウマが草を食み、キリンや象が闊歩する大地を抜けて行く道は、やはり強烈なインパクトを与えてくれる。ショックアブソーバーを揺さぶり続ける細かな波状路やゴツゴツとパンクを引き起こす岩交じりの道。頭で描いていた「アフリカ」が、まさに目の前に広がっていた。
一方で、自分たちの想像をはるかに超えるアフリカも知ることになる。荷台に人がギュウギュウ詰めにされたトラックが、クラクションを鳴らしながら喧騒の町を走り、その前をヤギの群れと民族衣装を身にまとった男が横切っていく。スタックしそうなナミビアの深い砂漠の道があるかと思えば、南アフリカに入ると欧米と同様に整備された道が延々と続く。「アフリカ」と一括りに考えてしまうが、当然のことながら国や地域によって、環境はまったく異なることを知る。
およそ2ヶ月の間、アフリカを走って体感したのは、自分たちが大いなる大地のことをほとんど何も知らないという事実だった。かの地で暮らす人々が、いったいどんなクルマの使い方をして、どんなクルマを求めているのか? 真摯に向き合うためのとば口に立つために、この走破はどうしても必要な時間だった。アフリカはとても広く、多様で、美しかった。
TEAM1:2018年8月27日–9月20日 TEAM2:2018年10月9日–11月1日
フォーチュナー / ランドクルーザー 200 / ハイラックス ダブルキャブ / ランドクルーザー プラド / ランドクルーザー 79 ダブルキャブ / RAV4 / カローラ / クエスト
No.01
路肩では山羊や乳牛が頻繁に歩き、歩行者が突然クルマの前を横切るタンザニアの街。アフリカ走破は、混沌から始まった。だが喧騒のオンロードを一本曲がれば、自然を分け入るオフロードが延々と続く。ンゴロンゴロ保全地区とセレンゲティ国立公園をつなぐ道では、波状路が1時間以上も体を揺らし、ショックアブソーバーに強烈な負荷をかけた。
No.02
サファリで動物を見るために使われているランドクルーザーが、ザンビアでは地下1,000mを越す銅の採掘場で使われていた。切り開いたばかりの地下道で、働く人々を運ぶ。過酷な環境で求められる信頼感に、メンバーたちの背筋が伸びる。さらにポットホールが多すぎるために、路肩を走ることを余儀なくされる道など、ザンビアは想像を超えていた。
No.03
ジンバブエのザンベジ国立公園では横目にキリンを見ながら走り、ボツワナのチョベ国立公園では信じられないほどのゾウの群れが迎えてくれた。それぞれの国立公園で少しずつ環境が異なり、必然、路面も変わる。チョベ国立公園では深い砂地を低速で走っていたために数台がスタックしてしまう。求められる性能は国ごとに少しずつ変わることを痛感する。
No.04
ジンバブエでは明らかに薄かったアスファルトが、国境を越えて南アフリカへと入ると一変する。ほとんどヨーロッパと呼んでいい整備された道路が現れる。国の経済状況で変わる路面。ただし直線はあくまで大地に線を引くように続き、クルーガー国立公園内では動物たちが闊歩する。環境によって変わるもの、変わらないもの。アフリカの多様性を知った。
No.05
チーム2のスタートは、ナミビアの首都ウイントフックだった。郊外に出て大西洋へと向かう道でナミブ砂漠とぶつかる。雪に慣れたドライバーは、砂埃を雪煙と同じ対処法で乗り切っていく。経験値を積み重ねることの意味を感じながら、さらに砂漠の奥へ。ホテルがないためにテントを設営し、一日中砂塵のオフロード走行を続けて次の町へ向かった。
No.06
ナミビアと南アフリカの国境を越えるために、10時間もの時間を要し、文化の違いを体で知らされた。砂漠から少しずつ草木が生え、小麦畑へと環境が変化していく。大都市ケープタウンに近づくにつれて、クルマが増えていく。トヨタの中古車を見るたびに、どれほどクルマが求められているかを感じ、その信頼に応える必要を改めて、強く認識していく。
No.07
アフリカ最南端を経由して、沿岸の道を西へ向かう。想像するサバンナではなく、日本や欧米のような整備されたオンロードが続く。違いは、そのスケール感。延々と続く道はテストコースでは再現しえない。だからこそ、実際に走ることに意義がある。同時に長い距離を歩いている人々を多く目にして、もっと身近なクルマづくりの重要性を強く感じた。
No.08
南アフリカ共和国に囲まれた内陸国のレソト王国へ入る。経済状況の違いが如実に道に現れ、中古車ばかりの混沌とした街。高度は3,000mを超えた。ワインディングでも速度の高いクルマを多く目にして、「ドライバーの意図通りに動くクルマ」の重要性に思いを馳せる。再び南アフリカへ。アフリカを知るための大いなる一歩は無事に、ゴールへと到着した。
アフリカの多様性を知ることは、同時に求められるクルマの幅を 体感することでもあった。さまざまな道は、常に高いレベルを要求する。 次なるは、馴染み深きアジアへと旅に出る。 環境も文化も異なる国と地域を巡ることによって、 さらなる高みを目指していく。近くて遠い、アジアの国々よ。 道はどこまでも続いている。 もっといいクルマを求める旅は、まだ終わらない。