No.05 Driving straight for hours 日常のロングドライブ

長い距離が実感を伴う

広大な南米大陸で様々な国を走ったメンバーたちが口を揃えてその体験の価値を語るのが、とても長い距離クルマを走らせたという事実。1ヶ月以上もの間、毎日およそ400km~600kmもの距離を運転する。日本ではロングドライブだが、街と街との距離が離れている南米では、そのロングドライブが日常。ブラジルを走った第2先進安全開発部の水瀬は、「自分でも長距離を走ることで、クルマの細かな運転のしづらさ、それによる疲労をお客様と同じように感じることができる」と語った。

真っ直ぐが一番難しい

アルゼンチンでは、「ハンドルを真っ直ぐにしての走行が80分続いた」と、車両技術開発部の村松。そして、「真っ直ぐ走ることの大切さを実感した」という。直進安定性こそがクルマの基本だと、5大陸走破プロジェクト3度目の参加となる凄腕技能養成部の関谷は言う。
「長い距離を走ると、普段ならば気にならない箇所が気になってくるんです。特に直線はクルマにとって基本であると同時に、一番難しい道。何も気を遣わずに真っ直ぐ走ることのできるクルマを作らなくてはいけない」

直線の高速のオーバーパス

直線での追い越し時には、日本ではなかなか気づきづらいパワー不足を実感する。ペルーのナスカへと向かう直線、ハイエースに乗車した車両技術開発部の早川は、追い越しでかなり気を使ったとこぼした。「日本では追い越し専用レーンを使うから多少の余裕があるけれど、反対車線に出て追い越しをするペルーでは、時速100km以上で迫る対向車の合間を縫って、一気に前のクルマをパスする必要がある」。南米でグッと加速するパンチ力のあるクルマが好まれる理由はここにあった。ただし、チリの4000mを超える高地では、加速力が失われたという報告もある。

路肩で牛が寝るハイウェイ

直線路が延々続けば、スピード感覚も麻痺してくる。時速100km以上もの高速で対向車とすれ違い、追い抜きをかけてくるクルマは時速150kmを超えている。それなのに、ブラジルではハイウェイのすぐ脇を人が歩いている。「ガードレールもない路肩では動物がくつろいで、スマホを見ている少年がいる。その隣を時速100kmのクルマがビュンビュンと走っていく不思議な光景でした」と第2先進安全開発部の水瀬。

ロングドライブによって南米大陸に体を馴染ませることで知った“日常”は、新たな“安全”への契機となるだろう。危険な道路条件の下では、クルマが安全を担保する必要がある。

crew’s VIEW 南米大陸で隊員たちが得たもの

本日の担当セクションで厳しかった直線。ほぼ1時間、ステアリングを切るのは追い越しの時だけ。LKA(レーンキーピングアシスト)があれば楽なのに、と思っていると、路側のラインがなくなる。クルーズコントロールもあったが、あえてOFFで走行してみる。自分に合ったアクセル踏力で快適だったが、アクセルを保持する力が強くても弱くても車速管理が難しく、ストレスになると感じた。普段何気なく踏んでいるアクセルだが、コントロール性はやはり大切であると感じた。
2016.11.29 車両技術開発部 / 鷲見浩文

【写真】ハイビーム点灯車とのすれ違い

AHB(オートマチックハイビーム)は必要な装備の一つだと感じた。ブラジルの高速道路、特に片側1車線を走る際に気をつけなければならないのが「追い越し」である。昼間はまだしも、夜間になると反対車線から来るクルマの存在が非常に判別し辛く、ハイビームを使って前方を探るのが現地流の予防安全手法となっている(日本も同様)。ただし、かなりの確率で対向車はハイビームのまま走行してくるため、双方ともに眩しくて危険な状況が多い。ハイビームの消し忘れを避けるためにもAHBがあればと身をもって感じた。
2016.8.30 レンタリース事業部 / 宮﨑賢太朗

【写真】擦れ跡が残るサイドウォール

横風を受けポッドホールをかわしながらのオーバーパッシング。昨日と同じ国道40号線ですが、ポッドホールが増え、路肩側も崩れたままで路面修復も行き届いていない。対向車が来ていると避けきれずに100km/hでポッドホールを踏んでしまう。道路にはバーストしたタイヤ破片が落ちていました。駐車場で各車のタイヤを見ると何台かサイドウォールに擦れ跡が見え始める。タイヤの耐久性やステアリング応答性がとても重要だと感じます。
2016.11.15 凄腕技能養成部 / 佐々木正徳