NORTH AMERICA 2015
#01
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Meet a modern cowboy

Report 2015.06.24-07.04 From TORRANCE To ATLANTA

現代のカウボーイと会う。

北米走破の旅は、2017年に全米トヨタの本拠地となる予定のテキサス州プレイノをスタート地点に始まった。その土地に暮らす人々との出会いが、旅の目的でもある。現地現物。実際にそのクルマを生活の一部として暮らしている人々の話ほど、重要な情報はない。テキサス・サンアントニオでは、牧場主と会った。かつての牧畜業のイメージではなく、石油と天然ガスを採掘する現代のカウボーイたちは、巨大な重機をピックアップトラックの荷台に乗せて、荒れた路面を走る。ガソリンスタンドまで50km以上離れた土地に暮らす彼らに必要な機能は、大きなガソリンタンクと圧倒的なパワーだった。

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ハイウェイが知らせる都市の境界。

牧場やトウモロコシ畑に囲まれた、荒れた二車線道路10車線もの巨大な道路へと広がった。9割を占めていたトラックの姿は、ほとんどが乗用車に変わり、眼前のビル群へ吸い込まれる。アメリカでは、ハイウェイを走る車の変化が、都市に近づいていることを知らせてくれる。テキサスの大都市ヒューストンを経て、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダを走り、ジョージア州へ。

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竜巻の生まれる土地を走る。

メキシコ湾沿いのエリアでは、毎日、滝のような雨に遭遇した。眩しいほどの晴天が一気に視界を奪うような豪雨になる。竜巻が発生する土地の強烈なインパクト。コンクリートでできた路面は水を吸い込まない。雨を流すために横溝がつけられ、うねりや段差も多い。不規則な外乱の多い路面で求められるのは直進性の高い、どっしりとしたクルマ。速度制限ギリギリを定常とした長いハイウェイを走って、アトランタに到着する。竜巻を引き起こしていた湿度の高い空気は、少しずつ爽やかな風に変わっていった。

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Column

北米で見た自動車燃料の現在。

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石油燃料が約100年を目処に枯渇すると言われていることもあり、各国各社、新しいエネルギー源への取り組みは盛んだ。自動車大国アメリカでもそれは例外ではない。見渡す限りに広がる風力発電所の風車からは、国をあげての代替燃料開発への意欲が感じられ、都市部からは離れた山間の観光地でも電気自動車のスタンドを目にすることができた。

FCV(燃料電池車)“ミライ”のために。

アメリカのタフな環境下でも実用に耐えうるクルマをつくれるかが、新燃料自動車の分かれ目だ。旅の道中、とあるレストランでトヨタのFCV MIRAIのオーナーと出会った。現在はカリフォルニア州を中心に水素燃料スタンドの増設が進んでいるが、その他の地域にも設置し、長距離でも安心して移動できる環境を実現しなければ、各州で環境の変化の大きいアメリカでの普及は見込めない。自動車の未来を作っていくために必要なのは様々な環境で、一つでも多くの事例を見ること。ここ北米の現場で、開発者たちはその重要性を噛み締めていた。