壮大な夢へ向かって歩み始めた、"Team GAZOO"の挑戦
暖冬に別れを告げ、本格的な春へと一歩近づいた3月11日。Team GAZOOの挑戦が、栃木県のツインリンクもてぎで始まった。
レースにデビューした、夢あふれるオトコたちの挑戦を追う!
大会名は『2007もてぎチャンピオンカップレース』。 旧型の1000ccヴィッツを使用し、低コストで楽しめるレースとして人気の『1000cc CUP』の開幕戦、 ここが彼らにとって初めての戦いの場となった。
"キャップ"、"モリゾウ"、"ギッチー"、"カツーン"、"ひらりん"ら6人は40歳台~60歳台のクルマを愛する男たちなのだが、今回がはじめてのレース。じつは、最終目標として世界的に有名な耐久レース「ニュルブルクリンク24時間レース」参戦という壮大な目標を掲げており、ヴィッツレースへの参戦はその序章である。 中古のレース仕様車が30万円ほどから手に入れられること、ナンバーが付いていて"普段はドライブや通勤にも使える"ことから、昨年始まったこの旧型ヴィッツによるレースは人気を集めている。開幕戦には24台ものマシンが揃った。 アマチュアレーサーが主流だが、レース経験者も多く、マシンはかわいらしいがバトルのレベルはとても高い。 初心者がテクニックを磨くにはもってこいのステージである。 予選はあいにくの雨。GAZOO.comのロゴが眩しい6台のヴィッツにそれぞれの思いをのせて緊張気味にコースイン、雨のサーキットを颯爽と駆け抜ける。しかし、初めての予選は、下位に埋もれてしまった。 ドライビングの腕にはおぼえのある6人とはいえ、いきなり上位を狙えるほどモータースポーツの世界は甘くない。 しかも難しい雨のコンディション。経験の差が出た、と真摯に受け止めるしかなかった・・・・・・。
雨の8LAPは、ニュルブルクリンクへと続く
『1000cc CUP』のヴィッツは"ナンバー付のレーシングカー"、車検に通る範囲の最低限のパーツ交換や安全装備の装着以外は基本的にノーマル。 公道をドライブしてサーキットへ行きレースに参加、ゴールしたらまた走って帰路につく。 手軽に楽しめる参加型モータースポーツのお手本と言える。 サーキットの近くには温泉やレジャー施設が多く、レースの前後に仲間や家族で楽しむことも出来る。 そんな楽しさを秘めたレースなのだが、6人の眼差しは真剣そのもの。 わずか8ラップの勝負、いよいよ決勝レースを迎えた。 早朝から降り続く冷たい雨で滑りやすい路面、視界も悪く、プロのレーサーも嫌う最悪のコンディション。 チームスタッフの誰もが祈るような気持ちでモニターを見つめる。 しかし、始まってみれば、スタッフの心配をよそに快走。 徐々にペースをアップして、自己ベストを更新しながら順位を上げていく。 上位のマシンが雨に足をすくわれてスピンやコースアウトを喫する中、全車ノートラブル、しかも、なんと全員がタイムか順位を大幅にアップして、記念すべき生涯初のチェッカーフラッグ。ピット内に大きな拍手がわき起こった!
"モリゾウ"選手は「前のクルマを必死で追いかけていたら、自然とアクセルを踏んでいたんだね。予選タイムよりも9秒も良かった。手応えはあった!」と、雨と汗でビショビショに濡れながらも満面の笑みでこたえてくれた。
歓声と安堵の表情に包まれたピットで、チーム監督のボスは「じつは、今回の目的はあくまでも各自がマイペースで無事に完走して経験をつむこと。こんなに頑張らなくてもよかった。クラッシュしたらどうようかと、本当にドキドキした。」と興奮気味。 とは言いながらも、大健闘の初戦に満足気な笑みを密かに浮かべていたのを見逃さなかった。40歳台~60歳台といえば、例えば会社組織の中ではキャリアも豊富で要職に就きバリバリ活躍している世代。 しかし、サーキットでは、ひとりのレーサーとして誰もが同じ土俵に立って戦わなければならない。 また、月曜日からは再び社会の一員として仕事をこなすために、戦いを無事に終えて"帰る"義務もある。 プロのレーサーとは一味違った背景や苦労は、そのまま彼らにとってのやりがいなのかも知れない。 クルマとレースを愛してやまない、夢あふれるTeam GAZOOメンバーの世界への挑戦は始まったばかり。 元気や勇気、夢を追うことの大切さを教えてくれそうな彼らの壮大なチャレンジからもう目が離せない。