最大高低差297.3m!他に類をみない過酷極まる魔のコース
出典:『グランツーリスモ4ザ・バイブル(宝島社刊)』」
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『グランツーリスモ』リシーズ公式webサイト「グランツーリスモ・ドットコム」
モータースポーツを語るには違和感のある人も多いであろう、かのアドルフ・ヒトラーの命により1927年にドイツ北西の山間部に建設されたのがニュルブルクリンクである。一般にはF1の開催されるGPコースとしてお馴染みな南コースをイメージさせるが、本来は現在の北コースと呼ばれるロングコースがその正体だ。北コースはレーシングサーキットであると同時にその過酷極まるコース条件から、一般市販車、特にハイパワースポーツカーを開発するために世界中のメーカーがテストの場としてしのぎを削っている。
山間部の地形が上手に活用され、20kmを超す全長のトラックは、高低差が標高で300mもあり、最大で17%の勾配はマシンとドライバーの力量が常に試される場所である。170を超えるコーナーが待ち受け、それらは日本のサーキットでは考えられないバリエーションに富んでいる。その殆どはカーブの先が見えないブラインドコーナーで、高速走行では車体がジャンプしてしまうポイントもある。更にはコース幅も狭い為に、前走車を抜くにも高度な技術を要求されるので、その一瞬の判断が一周のタイムに大きく影響を与えてしまう。その厳しさは運転者の技術と度胸がなくては挑む事すら阻まれる程と言えるのだ。
ニュルブルクリンクの楽しみ方
ニュルブルクリンクのコースの特徴、走り方
約80年前、風光明媚なアイフェルの山並みを縫って建設されたニュルブルクリンクは、サーキットというより「峠」の連続。右に左に曲がりくねって見通しは効かないし上り下りも多いし、よほど経験を積まないとコースを覚えることもできません。速いクルマだと、途中で勢い余ってジャンプしてしまう地点もあります。
そんな難コースなのに、特別なイベントの時以外は一般の観光ドライブにも開放されているのがニュルブルクリンクの凄いところ。1周19ユーロ(約2600円)の切符を買って、自分のクルマでプロと同じコースを実際に走ることができます(レンタカーでも)。もっと走りたければ25周で345ユーロ(約4万8000円)の切符もありますが、普通の旅行者なら、1周しただけで満腹のはず。
このドライブ、腕に自信があれば少し攻めても大丈夫ですが、クルマだけでなく本気で全開のスーパーバイクから団体の観光バスまで全部いっしょなので、何よりマナーをわきまえて安全運転するのが第一です。そのコツは、どのコーナーでもまず確実にブレーキで減速すること。先が見通せないところもあるので、出口では安全を確認してからアクセルを踏み込むこと。うっかり速すぎるスピードでコーナーに飛び込んだりするとコースアウトしやすく、意外に壁やガードレールまで余裕がないので、ぶつかってしまうこともあります。
もちろんミラーにも目配りは欠かせません。後ろから速いクルマやバイクが追い上げてきたら進路を妨げないように気をつけるのですが、その時は無理して左右に避けないように。慎重に本来のラインを守っていれば、向こうが抜いて行ってくれますから。 そんな冒険をせずにニュルブルクリンクを堪能するなら、ベテランが超高性能セダンBMW・M5を運転してくれる「タクシー」がいいでしょう。1周185ユーロ(約2万6000円)と少し高価ですが、3人で割り勘もできます。
- 熊倉 重春
1946年(昭和21年)、東京生まれ。現在60歳。
クルマ大好き少年がそのまま育ってしまい、1970年に自動車雑誌カーグラフィックに入り、1995年まで在籍。
その後フリーランスのライターとして現在に至る。