- 加藤 浩幸氏
- トヨタ自動車株式会社
スポーツ車両統括部 主任 - 最初のクルマはワンダーシビックで、学生の頃はAE86に乗っている友人が多く、峠を走る友人を良く見に行っていたという。現在は家族優先でファミリーカーに乗っているが、またスポーツカーに乗りたいと話す。
東京オートサロン2010で大好評を得たマークX G'sコンセプトの第2弾。「FR Sports Sedan」を提案し、スタイルにさらに磨きを掛け、走りの性能も高次元で熟成させた新しい「マークX G SPORTS Concept II」。G'sのイメージリーダーとして再び登場。
──「マークX G SPORTS Concept II」の開発を担当されている加藤さんに、色々お話しをお伺いしたのですが、まずはTOYOTA GAZOO Racingブースのキャッチフレーズ「I Love Cars」にちなんで、まずは加藤さんの車歴を教えて下さい。
- 加藤 浩幸氏(以下加藤):
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学生の頃に最初のクルマ、ワンダーシビックを手に入れて通学やドライブを楽しんでいました。当時は“ハチロクブーム”で、私の友人でもAE86ユーザーが多く、よく峠を走っているのを見ていました(笑)。学生の頃はラリーが好きで、当時はWRCにトヨタも出場していたので雑誌を買い漁って読んでいました。また、F1も日本で開催されるようになった頃で、鈴鹿サーキットに観に行ったこともあります。
トヨタに入社してから購入したのがハイラックスサーフで、本当はMR-2が欲しかったのですが、配属先が自然の多いところだったことと、SUVブームの時でもあったのでハイラックスサーフにしました。その後は家族もいるので、イプサムやアイシスなどファミリーカーを乗り継いでいます。
小さい頃は、クルマに乗ると親に色んな所に連れて行ってもらえたので、子供の時から自分にとってクルマは特別なモノでしたね。
──今回、この「マークX G SPORTS Concept II」の開発を任されたわけですが、当時はどんな気持ちで開発に携わったのですか。
- 加藤:
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正直なところ、「えっ、私が」という気持ちがありました。今の部署に異動するまでは、車体設計を担当していましたので、製品企画開発の仕事、それも「マークX G SPORTS Concept Ⅱ」をやれと言われて驚きました。
ただ、私たちの部署はクルマ好きな人たちばかりで、「クルマに対してこんなに熱い人たちがいるんだ」と再認識した次第です。クルマを本当に楽しんでいる人が多い部署で、正直なところ別の世界に来たと思ったぐらいです。でも逆に自分が若かった頃にクルマに抱いた思いを呼び起こさせてくれる環境で、「楽しいクルマを作ろう」と思うようになりましたね。
──「マークX G SPORTS Concept II」は2010年の東京オートサロンで大好評だったわけですが、そこからどのように手を加えていったのですか。
- 加藤:
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前回のコンセプトカーは大変好評だったので、目指すところは決まっていました。ただ、コンセプトカーとしては尖ったデザインを採用したため「少し若向けすぎる」という声も頂きました。「実際に街中で走るにはもう少し洗練したモノにして欲しい」という声があったため、お客様のご意見を反映して洗練されたデザインに変更しています。
今回はコンセプトカーというだけでなく、量産も視野に入れて開発を行ってきています。前のコンセプトを残しつつも、それを越えるデザインでお客様が見て「あっ」と思うようなクルマ、満足してもらえるクルマに仕上げたかったのです。また、「マークX G SPORTS Concept II」はG'sのスポーツイメージリーダーとしての立場があり、その具現化に苦労しました。
──デザインの印象としては、正直なところベース車の面影が残ってないように思うのですが。
- 加藤:
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この「マークX G SPORTS Concept II」は“カッコいいクルマを作りたい”という思いが詰まっています。このクルマは86(ハチロク)に続くFRスポーツの提案であり、前から見るとスポーツカーで横から見ると4ドアというスタイルにしたかったのです。ですから、デザインの初期段階では、デザイナーにイメージを伝える時も、「86(ハチロク)を4ドアにしたイメージで」と伝えたぐらいです。
この「マークX G SPORTS Concept II」のターゲット層は20代から30代の若者で、ベース車のユーザー層が50代であることを考えると、相当違います。若者のクルマ離れが言われるようになって久しいですが、このクルマは若い人に乗って欲しいクルマです。単なる移動の手段だけでなく、「クルマはこんなに楽しい乗りモノなんですよ」というクルマの楽しみを見つけて欲しいという思いもあります。そのような思いから、マークXとは違う顔にしたかったのです。
──デザインはカッコ良く仕上がっていますが、足回りなど“走り”も相当こだわっているそうですね。
- 加藤:
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“走り”を追求するために床裏ブレースとスポット増打でボディー剛性をアップさせています。そして足回りはスポーツサスペンションでサーキットも十分走れる、楽しめる足まわりとなっています。G'sの狙いである意のままにクルマを操り、気持ち良く走ることが実感できるはずです。
──内装もスポーティーなイメージにしているのでしょうか。
- 加藤:
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インテリアは黒を基調として、カーボン調の加飾を施すことでスポーティーな室内空間を演出しています。ベース車は木目調で高級感が漂う室内なので、スポーティーな内装にガラッとイメージを変えています。また、シートも専用設計で、サイドが合皮で座面背面がアルカンターラーを奢っています。さらにシート形状はスポーツシートに変更し、テストドライバーに性能優先で作り上げてもらったもので、運転中のホールド性などを重視、スポーツ走行に耐えるシートに仕上がっています。
──加藤さん自身、この「マークX G SPORTS Concept II」はどのような楽しみ方をしたいですか。
- 加藤:
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まずは長距離ドライブを楽しみたいですね。テストコースでしか走ったことが無いので(笑)。その後にはサーキット走行なんかも楽しんでみたいと思います。それがこのクルマの良さが一番分かる楽しみ方ですから。ですからお客様にもまずはG'sの味を楽しんでほしい、その後に「マークX G SPORTS Concept II」をベースにお客様自身の味に仕上げていって欲しいと思っています。
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