メニュー

SUPER GT 2015年 レース車両解説 LEXUS RC F

レース車両解説

昨年デビューしたLEXUS RC Fをアップデート
空力、エンジン、シャシーと全方面で進化

 SUPER GTのGT500クラスは2014年より新たな車両規定が導入された。カーボンコンポジット製のモノコックに、ベースモデルのシルエットを活かしたボディパネル(カーボン製のカウル)を被せるのは、これまでと同様だが、2014年からはドイツのツーリングカー選手権(DTM)との共通部品をGT500クラス参戦の全車が使用することになった。さらにミッションやブレーキ、リアウィングなども共通部品とされている。一方、ボディのシルエットなどはベース車両のものが活かされ、デザインラインと呼ばれる車軸より下方で許される空力パーツが車種間の差に繋がるポイントとなっている。
 LEXUS GAZOO RacingがGT500クラス車両のベース車に選んだのはLEXUS RC F。2013年の東京モーターショーで発表されていたスポーツクーペのRCをベースにLEXUS SPORT Fの中核モデルとして開発された高性能クーペで、2014年10月には日本国内でも市販が始まっている。したがって昨年のSUPER GTに参戦していたGT500クラスのLEXUS RC Fは、市販モデルよりも一足先にデビューしたことになる。
 空力に関しては、ボディ上半分は規定によって基本的には手を加えることができず、より大きなダウンフォースを生み出すためにデザインラインより下半分に工夫が凝らされている。空力のセットは、開幕までに開発した通常の仕様と、超高速サーキットである富士を想定したレスドラッグ仕様になる。昨年は新規定の初年度でもあり"ジョーカー"と呼ばれた追加仕様も許されたが、先の2種類のみ認められている。
 一方、GT500クラス車両のエンジンも2000ccの直列4気筒直噴ターボという新しい規定となり、RI4Aが開発された。これはスーパーフォーミュラ用と共用であるが、SUPER GT用では吸排気を車輛に適応させた仕様の"RI4AG"となっている。この新エンジンとなり、パワー制限の方法も変わった。SUPER GTでは、これまでエンジンの吸気量を制限するエアリストリクターが使用されたが、新規定では燃料の流量を規制することでパワーを制限する"燃料流量リストリクター"が採用されている。そこでエンジンの開発競争では、いかに少ない燃料で高いパワーを引き出すかがテーマとなり、その技術は環境性能向上策として低燃費な市販車用のエンジン開発にも活かされる。

シャシー&ボディ

ベース車両名称LEXUS RC F
ボディサイズ5010×1950×1150mm
(全長×全幅×全高)
最低車両重量1020kg以上
ホイールベース2750mm
トランスミッション6速シーケンシャル 後退1速
クラッチクアドラブルカーボンプレート(ZF製)
サスペンション形式F:ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
R:ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
ブレーキF:ベンチレーティッドカーボンディスク 6ポッド(AP製)
R:ベンチレーティッドカーボンディスク 4ポッド(AP製)

エンジン

エンジン型式RI4AG
エンジン仕様直列4気筒直噴ターボ
排気量2000cc
最高馬力550ps以上